[ハードコア・ポルノはspeechか]
・ウォーバートンは、単なるfactsの伝達も保護の対象とすべく、free expressionではなくfree speechという用語を用いる。□ウォーバートン7
・一般に、とりわけ露骨な性行為が表現された「ハードコア・ポルノ(hardcore pornography)」と、描写が緩やかに制限された「ソフトコア・ポルノ(softcore pornogra . . . 本文を読む
[近代自然権思想と社会契約論]
・現代の「人権(human rights,individual rights)」観念の直接的な起源は、17~18世紀の自然権(natural rights)思想に求められる。その代表的な論客であるロックは、「…自然状態はそれを支配する自然法をもち、すべての人間がそれに拘束される。そして、その自然法たる理性は、それに耳を傾けようとしさえすれば、全人類に . . . 本文を読む
【例題】乙税務署長Yは、Xに対して課税処分をした。Xはこの課税処分が違法であるとして国税不服審判所長に対する審査請求をしたが棄却裁決がなされたので、Xは、国を被告とする処分取消訴訟と国家賠償請求訴訟を併合提起した(行政事件訴訟法16条1項参照)。
[取消違法]
○取消訴訟の訴訟物
・処分取消訴訟における訴訟物は「行政処分の違法性一般」である。□塩野(2)89-91,159、芝 . . . 本文を読む
学生に煮え切らない講義をしてしまった反省による記事。
2022-12-22追記。
[主要学説による説明]
・田中二郎294「行政庁の自由裁量に属する範囲においては、その判断が、法律上、行政庁の自由に委ねられているのであるから、仮りにその判断を誤ることがあっても、それは単に不当であるに止まって、直ちに違法とはならないのが原則である」、324「...公益に反する場合(不当の行政行 . . . 本文を読む
旧記事の全訂版。
【例題】県立高等学校の教員Xは、校長Yより、卒業式の国歌斉唱の際に起立するよう職務命令を受けた。Xがこの職務命令にしたがわなかったため、YはXに戒告処分(地方公務員法29条1項1号・2号・3号)をした。
[憲法19条の保障内容]
○最高裁は「歴史観ないし世界観」が思想良心の核心だと把握しているように読める。□青井山本66-7
・最三判平成1 . . . 本文を読む
【例題】甲市の市長は、市民Xに対して市民税の賦課決定(定義は地方税法17条の4第1項1号)をした。Xは、この賦課決定へ不服がある。
[不服申立前置か否か]□橋本青木植山32-5
・行政事件訴訟法は、「不服申立てを経ない取消訴訟提起も原則OKだが、個別法が不服申立前置と設計することも可能」との建前を採る(行政事件訴訟法8条1項)。平成26年の行政不服審査法全面改正に伴い、不服申立 . . . 本文を読む
[することができる;効果裁量]
国家公務員法
(懲戒の場合)
第82条(第1項) 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。※以下略
・「●●をすることができる」との文言は、法主体に法律上の能力や権利があることを示す。□吉田用語50、外山183
・「できる規定」の主体となる行政庁は、(1)当該処 . . . 本文を読む
2018-05-06追記;その後に全訂。
日本国憲法19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」
[問題の所在]
・一般職に属する国家公務員及び地方公務員は、法令や職務上の命令に従う義務を負う(国家公務員法98畳1項、地方公務員法32条)。通常、その職務命令は「〇〇せよ(するな)」というように外部的行為(不作為)を要求する形をとる。しかし、命令を受 . . . 本文を読む
学部LSを通じ、「プライバシー権」がさっぱり理解できなかった。2016年発行の憲法教科書2冊が明快簡潔に解説していて勉強になったので、とりあえずの理解としたい。いずれも独立の章を設けてプライバシーを解説していた。
[不法行為プライバシー(私生活秘匿権)]
・Warren&Brandeisは、新しい写真技術と印刷技術により、新聞社・出版社が個人の生活を不特定多数にさらけ出すことが . . . 本文を読む
平成28年4月1日から施行されている新行政不服審査制度の超概観。
(1)処分庁→審査請求人;処分+不服申立て教示
(2)審査請求人→審査庁;3か月以内に審査請求書の提出
※審査庁=原則として処分庁の最上級庁。
※個別法があれば簡易な「再調査の請求」というルートもある。
(3)審理員による審理手続;
※審理員=審査庁に所 . . . 本文を読む
ある岐阜県議が「同性愛を社会全体で容認していたらさらなる人口減少につながる」と発言したそうだ。公務員によるマイノリティへの弾圧発言として記憶されるべきであろう。
笠井潔『国家民営化論』[知恵の森文庫版2000(原著カッパサイエンス版1995)]pp86-92。※いまいち理解できていない箇所もあるが…
・個人には子供をもうけない自由がある。
・しかし、市場として存 . . . 本文を読む
山本龍彦「信教の自由と政教分離」『憲法学の世界』[2013]pp205-219。エンドースメントテストの視点から、わが国の「政教分離判例」を読み直すもの。勉強になった。
<合衆国憲法>※土井真一訳
修正第1条[1791];合衆国議会は、国教を樹立する(respecting an establishment of religion)法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律&hel . . . 本文を読む
市川正人「表現の自由とヘイトスピーチ」[2015]を読む。月報司法書士に掲載拒否されたという曰く付きの論文。
数日前の記事で「態度を決めかねている」と書いた。法律云々を脇におけば、「特定の民族への憎悪を煽る表現」には強い嫌悪をおぼえるし、被害に遭った方々には心から同情する。しかし、法的規制の是非を冷徹に検討すれば、(心情には反するが)市川論文のとおりだと思う。深読みすぎかもしれないけど、市川論文 . . . 本文を読む
[NHK NEWSWEB:2014年5月12日12時51分より]
美味しんぼ 福島県が「容認できず」
雑誌に連載されている漫画「美味しんぼ」の12日に発売された内容の中で、登場人物が「福島県内には住むな」とか、「人が住めるようにすることはできない」などと話す場面があり、福島県は「断固容認できない」とする見解を12日朝、公表しました。
小学館の週刊ビッグコミックスピリッツに連載中の「美味しんぼ . . . 本文を読む
君塚正臣『憲法の私人間効力論』を読む。長年モヤモヤしていた私人間効力論を再確認するのに大いに参考になった。以下は,君塚説のほか,新正幸氏,阪本昌成氏の論説を参照したものである。1.前提―公法私法二分論憲法学が対象とするのは,国家と国民(私人)の間の関係である。国家が私の自由を制約しようとするとき,私は,権利章典が定める自由権規定を援用して,その妨害の排除を求めるだろう。国家側は,正当な根拠(=公共 . . . 本文を読む