国民主権の多義性

2022-07-18 16:57:31 | 公法・現代政治学
[「主権」概念と日本国憲法] ・ジャン・ボダン(1529/30-96)は、「主権(souverainete)=国家の絶対的かつ恒久的な権力」を定義した。国家に帰属する主権を行使する君主は、国内ではあらゆる勢力に超越しており、対外的にはローマ教皇などから自由であって干渉を受けない。主権の外延の第一は立法権であり、ほかには外交権・人事権・最終裁判権・恩赦権・貨幣鋳造権・度量衡統一権・課税権などであっ . . . 本文を読む
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日本国憲法の制定過程

2022-05-03 23:40:18 | 公法・現代政治学
本文全体につき、国立国会図書館(高見勝利監修)「日本国憲法の誕生」を参照。→関連記事《占領体制下の国制》   [1945年10月:前期ー内大臣府による改憲作業と内閣の追随] ・10月4日夕方、東久邇宮稔彦内閣の無任所大臣(副総理格)であった近衛文麿は、連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters, the Supreme Commander for . . . 本文を読む
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日米軍事同盟の実情

2022-03-16 01:31:54 | 公法・現代政治学
[安保と再軍備小史(1)] 陸自:(総理府)警察予備隊→(保安庁)保安隊→(防衛庁・防衛省)陸上自衛隊 海自:(海上保安庁)海上警備隊→(保安庁)警備隊→(防衛庁・防衛省)海上自衛隊 空自:(防衛庁・防衛省)航空自衛隊 ・1948年5月、海上保安体制強化のために海上保安庁が設置された。再軍備を警戒するGHQは厳しい制約を課し、海上保安庁法25条として . . . 本文を読む
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現代国際法の「戦争」と「武力行使」

2022-03-06 20:49:29 | 公法・現代政治学
ウクライナへの違法な武力行使が止むことを祈る。   [第二次世界大戦前の「戦争」] ・かつての国際法では「戦争(war)/戦争に至らない武力行使(use of force short of war)」が概念上区別されていた。学説の多くは、宣戦布告に代表される「戦争意思」の有無で両者を区別していた。□和仁264-8、大沼532 [具体例1]第一次大戦における中独関係は、武力行使を伴 . . . 本文を読む
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ポルノグラフティの規制と表現の自由

2021-03-31 17:46:40 | 公法・現代政治学
[ハードコア・ポルノはspeechか] ・ウォーバートンは、単なるfactsの伝達も保護の対象とすべく、free expressionではなくfree speechという用語を用いる。□ウォーバートン7 ・一般に、とりわけ露骨な性行為が表現された「ハードコア・ポルノ(hardcore pornography)」と、描写が緩やかに制限された「ソフトコア・ポルノ(softcore pornogra . . . 本文を読む
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占領体制下の国制

2020-03-20 10:31:55 | 公法・現代政治学
[敗戦と降伏の憲法史的意味] ・日本政府は、1945(昭和20)年8月14日にポツダム宣言を受諾し、9月2日に降伏文書に調印した(→関連記事《ポツダム宣言の受諾》)。 〔降伏文書〕 下名はここに、日本帝国大本営並びに何れの位置にあるを問わず一切の日本国軍隊及び日本国の支配下にある一切の軍隊の連合国に対する無条件降伏を布告す。 下名はここに、何れの位置にあるを問わず一切の日本国軍隊 . . . 本文を読む
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人権思想とその実定化

2019-10-05 12:04:37 | 公法・現代政治学
[近代自然権思想と社会契約論] ・現代の「人権(human rights,individual rights)」観念の直接的な起源は、17~18世紀の自然権(natural rights)思想に求められる。その代表的な論客であるロックは、「…自然状態はそれを支配する自然法をもち、すべての人間がそれに拘束される。そして、その自然法たる理性は、それに耳を傾けようとしさえすれば、全人類に . . . 本文を読む
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中央省庁における「委員会」と「庁」

2019-08-18 16:28:09 | 公法・現代政治学
2022-6-6追記。   [府省の外局(1):委員会] ・内閣府と各省には、外局として「委員会(行政委員会)」と「庁」を置くことができる(内閣法設置法49条1項、国家行政組織法3条3項)。 ・委員会の定義規定は存在しないものの、歴史的経緯からは次の要素が抽出できる。□塩野73-4 [1]3条機関の一つ。省と同様に国家意思を決定して外部に表示する機関である。 [2]内閣からの . . . 本文を読む
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内閣とその周辺

2019-08-15 13:34:02 | 公法・現代政治学
2022-6-6追記:大石眞『憲法講義1〔第3版〕』[2014]を最新の『概論1』に差し替えた。四人組を追加した。   [内閣の歴史的意義] ・内閣とは、国務大臣が国務を議するために組織する合議制の機関をいう。イギリス憲政史において、1660年代に国王顧問官達の内部集団として現れ、ジョージ3世が即位する1760年までには、国王に対する内閣の組織としての独立性が確立した。□大石290 . . . 本文を読む
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君主・元首・天皇

2019-05-01 09:42:36 | 公法・現代政治学
[君主の意義] ・アリストテレスは、国家の統治形態を「君主制/貴族制/民主制」と三分した。マキャベリ以降は、「君主制(monarchy)/共和制(republic)」と二分するのが通常である。□清宮140、大石立憲22 ・もともと、「君主制/共和制」の区分は、国家主権のあり方に関わる組織原理類型を意味していた。しかし、大臣責任制の進展に伴って君主の実質的権限が限定されていくのに伴い、「君主制= . . . 本文を読む
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法令における「政府」の意義

2019-04-01 20:09:41 | 公法・現代政治学
2020-02-26追記。   [多義的な「政府」] ・e-Govで「政府」との用語を含む法令を検索すると2131件もヒットする(2020-02-26時点)。この現状からは、渋谷論じ方6「現在、法令用語として、「政府」はほとんど使われていない…」との記述はよくわからない。 ・法令上の「政府」なるタームは3通りの用法が存在するため、法令の趣旨や文脈からその意味を確認す . . . 本文を読む
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行政処分の取消違法と国賠違法

2018-07-09 23:33:02 | 公法・現代政治学
【例題】乙税務署長Yは、Xに対して課税処分をした。Xはこの課税処分が違法であるとして国税不服審判所長に対する審査請求をしたが棄却裁決がなされたので、Xは、国を被告とする処分取消訴訟と国家賠償請求訴訟を併合提起した(行政事件訴訟法16条1項参照)。   [取消違法] ○取消訴訟の訴訟物 ・処分取消訴訟における訴訟物は「行政処分の違法性一般」である。□塩野(2)89-91,159、芝 . . . 本文を読む
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行政法学の「不当」概念

2018-05-18 20:56:21 | 公法・現代政治学
学生に煮え切らない講義をしてしまった反省による記事。 2022-12-22追記。   [主要学説による説明] ・田中二郎294「行政庁の自由裁量に属する範囲においては、その判断が、法律上、行政庁の自由に委ねられているのであるから、仮りにその判断を誤ることがあっても、それは単に不当であるに止まって、直ちに違法とはならないのが原則である」、324「...公益に反する場合(不当の行政行 . . . 本文を読む
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公権力は思想に反する外部的行為を強制できるか(全訂)

2018-05-06 22:29:04 | 公法・現代政治学
旧記事の全訂版。   【例題】県立高等学校の教員Xは、校長Yより、卒業式の国歌斉唱の際に起立するよう職務命令を受けた。Xがこの職務命令にしたがわなかったため、YはXに戒告処分(地方公務員法29条1項1号・2号・3号)をした。   [憲法19条の保障内容] ○最高裁は「歴史観ないし世界観」が思想良心の核心だと把握しているように読める。□青井山本66-7 ・最三判平成1 . . . 本文を読む
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条例制定権と国法による制約

2018-04-28 17:03:22 | 公法・現代政治学
[日本国憲法] 第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 第29条 2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 第84条  . . . 本文を読む
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