弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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解雇予告と解雇予告手当

2013-07-25 | 日記
社員を解雇するに当たり,30日前に解雇を予告した上で,平均賃金30日分の解雇予告手当を支払おうと思います。これで問題ないでしょうか?

 貴社の対応で労基法上問題があるわけではないのですが,解雇予告制度(労基法20条)に関し,誤解があるように思えます。
 労基法20条1項本文が要求しているのは,
① 30日前の解雇予告
又は
② 30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払
です。
 つまり,①②いずれかをすれば足り,両方を行う必要はありません。
 ①30日前に解雇予告した場合は,②解雇予告手当の支払は不要です。
 また,解雇予告から30日間は労働契約が存続していますから,退職までの期間は当該社員に仕事をするよう命じることができます。
 ②30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払った場合は,即時解雇しても労基法20条には違反しません(民事上,解雇が有効かどうかは,別問題です。)。

 なお,解雇予告の日数は,平均賃金を支払った日数分短縮することができますから(労基法20条2項),15日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払うのであれば,退職の15日前に解雇予告すれば労基法20条には違反しないことになります。

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解雇していない労働者からの解雇予告手当請求

2013-07-25 | 日記
解雇した覚えがないのに,出社しなくなった労働者から,口頭で即時解雇されたから解雇予告手当を支払えと請求されています。どう対応すればいいでしょうか?

 使用者は解雇した覚えがないのに,出社しなくなった労働者から,口頭で即時解雇されたと労働者から言われて解雇予告手当の請求を受けることがあります。
 退職届が提出されている事案,退職勧奨もしていないのに勝手に自己都合で辞めたいと言い出した労働者が解雇予告手当の請求をしてきたような悪質な事案等の場合は,費用対効果を度外視して戦わなければならないケースが多いかもしれません。
 他方,退職勧奨により辞めてもらうようなケースで,退職届の提出もないような事案については,辞めてもらうために必要なコストだと思って,退職合意書を作成の上,解雇予告手当相当額程度は支払ってあげてもいいケースもあるのではないでしょうか。
 事前の紛争予防策としては,労働者から退職届を取得する努力をすることが重要です。

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