いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

マンジュの森ーーヌルハチの家族の物語19、ヌルハチに濡れ衣

2018年11月01日 11時43分26秒 | マンジュの森 --ヌルハチの家族の物語
我らがヌルハチが生きるのは、東北アジアの一角、極限の原始社会の中である。

祖父と父がなくなった万暦十一年(一五八三)の時点で、長男のヌルハチ二十五歳を筆頭に、四人の弟がいた。

次弟のムルハチは二十三歳、三弟のシュルハチは二十歳、
四弟のヤルハチは十八歳、五弟のバヤラはわずか二歳でしかない。

年端も行かぬ小わっぱ集団に自分と家族の命運を預けるわけにいかないと判断されただろうことは、充分に想像できる。

さらに追い打ちをかけるように、状況は悪化していった。
明側がヌルハチがニカンワイランを脅迫し、自分を「満州国主」に推戴しろと迫った、
と主張し、ヌルハチを非難し始めたのである。

どうやらこれはヌルハチの方にも原因はありそうである。
つまり祖父と父の死後、あまりにもうるさく騒ぎすぎたことがあるのだろう。

八年前(万暦三年、一五七五)にワンガオという勢力をつぶしたところ、
その遺児二人が明に恨みを抱き、勢力を結集して再び明の敵となった、
というのが先のグロ城の戦いの起因である。

その反省を生かし、こうるさいヌルハチは将来きっと争いの火種になるにちがいないから
今のうちにつぶしておこう、と濡れ衣を着せたのではないだろうか。

ヌルハチが祖父と父の死から数ヶ月も経たぬうちに武装蜂起せざるを得なかったのは、
このような追い詰められての、やむに已まれぬ事情があったからに違いない。

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遼寧省の撫順市新賓満族自治県永陵鎮の街中

  


まずは町の食堂で腹ごしらえ笑


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