谷沢健一のニューアマチュアリズム

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クラブチームと独立リーグ(その4)

2007-10-18 | ニューアマチュアリズム
 今後の予測を端的に言えば、アマ企業球団の衰退を補う形で、クラブチームは一時は増加したが、その存続は容易でなくなるだろう。9月の野球教室で、川口和久氏(広島-巨人)と話を交わした。彼は周知のように、新チーム・鳥取キタロウズの監督になったが、「いや、僕は辞めました。クラブの経費の問題も大きいのですが、他にもね。一度茨城GGに来てもらって有料試合を開催したところ予想だにしない大きな収益があったんです。すると、皆さんが勘違いしてしましてね。自分たちも頑張れば、茨城GGのようなことが出来ると思ったようでして。萩本さんのような特別な人がいない限り、そのマネをしても無理だと考えないんですからね。」
 川口氏は、萩本氏の野球が野球の範疇に入っても、異端に留まるものであることをすぐに悟ったのである。私は、日本野球文化の豊穣化という観点に立てば、萩本さんの野球スタイルもまた許容されるべきだと思うし、実際、茨城GGの岡本代表から試合申込が3回あって、3回とも受諾し、対戦した。正統も異端も両方包括してこそ豊穣だと言うべきである。なぜなら、日本の野球文化はまだまだ貧しいのだから。
 私の右腕とも言うべきYBCのメインスタッフとして、一生懸命指導してくれている久保田コーチも、独立リーグへの選手流出に複雑な思いを抱いているようだ。「週末だけの全体練習や恵まれないグランド確保などに、選手たちの一部は不満なのだろう。高校・大学で部活動に慣れきっていると、インフラが整備されていることなど当たり前だと思っている。企業チームが廃部になってクラブチーム化した場合は、グランド確保が容易だが、それはクラブチームでも例外だとわかっていない。YBCは、月の中旬になると、監督が翌月のグランド確保の交渉に奔走しているのだ。それが何を意味するか、君たちにはわからないか」と、選手たちに訓示したと言うが、どれだけ選手の頭と心に響いただろうか。
 久保田コーチだけでなく、川島・蔵重両コーチも同じ思いだろう。しかし、プロ球団ーアマ企業球団ー独立リーグ球団ークラブ球団というふうに事実上、序列化されつつある昨今の状況下で、もっとも「底辺」で野球組織を維持することは、それなりの誇りと喜びがある。
 その喜びの一つは、大学・高校での野球を終えて、それでもなお硬式野球を続けたいという情熱のある若者たちが、また何人もYBCに飛び込んでくることである。
 さて、来年はどんなチームに飛躍できるのか、去年と今年でレギュラーの半分が入れ替わったように(そして、戦力ははるかにアップした)、きっと有望な雛鳥がフェニーズに加わってくれるだろう。