新生ライオンズのキャンプ地は南郷町。広島カープの日南市から車で約30分だ。その近くの串間市はかつて6年間、私たちドラゴンズがキャンプを張った懐かしい土地である。
宮崎入りした2月7日、真っ先に渡辺久信・新監督率いる埼玉西武ライオンズのキャンプを訪ねた。グランドに上がっていくと(息が切れるほどの坂道の先の高台に本球場がある)、投内連係の練習が行われていた。このチームも主力の和田、カブレラ両選手が去り、若いチームに切り替わろうとしている。それだけに若々しい元気な声が響く。「空元気で終わるなよ」と憎まれ口を叩きたくなるほど、とにかく明るい声が飛び交っている。
コーチ陣も黒江ヘッドはさておき、若い潮崎・小野両投手コーチ、打撃はデーブこと大久保博元氏が加わった。森監督時代は鬼軍曹だった黒江さんも、加齢で温厚になったのか、連係ミスが生じても、叱責の声があまり聞こえない。あるいは、選手たちの声にかき消されているのかもしれない。そのせいで、ヘッドコーチの威厳が以前ほど表に出ていないような気がする。
銀仁朗君や中村君がミスをすると、四方八方から他の選手たちの冷やかしや激励の野次が飛んでくる。2人の緩慢な動きもご愛嬌に見えてくる。私も強かった時代の西武野球を思い出し、ファンはその復活を一日千秋の思いで待っているだろうと思って眺めていた。裏金問題のせいもあってだろう、スカウトだけでなく球団フロントも一新といえるほど交代した。
昨年はBクラスに転落した。25年ぶりだった。そんなチーム力の低下を吹き払うように、大久保コーチの叱咤激励する姿がひときわ目立つ。解説者とタレント業及びプロゴルファーの3足の草鞋を全部脱いでたった1足だけになった。大久保氏は「谷沢さん、いらっしゃいませ! 元気でやってますよ!」と叫ぶやいなや、風のようにロッカーからグランドへ身軽(?)に飛び出ていった。返事をする暇もなかったので、大久保コーチについて各方面に取材してみた。
A氏曰く「指導の情熱は人一倍ある」
B氏曰く「これと思う選手を食事に誘ってしっかりコミュニケーションをとる」
C氏曰く「これまでの西武のコーチ像の殻を破っている」
どんな長所にも短所はつきもので、この3氏のことばを裏返しに言うと、「指導が過剰になりやすい」「食事に誘われない選手は無視されているのかとか嫌われているのかと誤解しやすい」「長年のチームカラーに馴染んでいる者には違和感が強い」等の危険性もはらむ。
しかし、球団首脳と渡辺監督は、多少のデメリットは覚悟して、大久保君ほど天性の明るさをもつ持つ者はいないから、それを最重要視してコーチ就任を要請したのだろう。昨年までのチームのイメージを大幅に変革したいにちがいない。コーチ陣の大幅な入れ替えはそれを意味しているとしか考えられない。原点に戻ってもう一度ファンに愛される、勝つことも大事だが、むしろ勝つこと以前に、内部崩壊した球団組織の再構築を意図しているかのような布陣である。
刷新と再構築の表れの一つは、西武から埼玉西武という改称である。あまりにも西武という企業色が強すぎたことの反省だろうが、少し遅すぎた。読売巨人軍のように、読売という企業名を薄めるために、巨人ジャイアンツという仮称を前面に出すという手もある。そうすると、青獅子ライオンズという仮称を掲げるのも悪くない。
宮崎入りした2月7日、真っ先に渡辺久信・新監督率いる埼玉西武ライオンズのキャンプを訪ねた。グランドに上がっていくと(息が切れるほどの坂道の先の高台に本球場がある)、投内連係の練習が行われていた。このチームも主力の和田、カブレラ両選手が去り、若いチームに切り替わろうとしている。それだけに若々しい元気な声が響く。「空元気で終わるなよ」と憎まれ口を叩きたくなるほど、とにかく明るい声が飛び交っている。
コーチ陣も黒江ヘッドはさておき、若い潮崎・小野両投手コーチ、打撃はデーブこと大久保博元氏が加わった。森監督時代は鬼軍曹だった黒江さんも、加齢で温厚になったのか、連係ミスが生じても、叱責の声があまり聞こえない。あるいは、選手たちの声にかき消されているのかもしれない。そのせいで、ヘッドコーチの威厳が以前ほど表に出ていないような気がする。
銀仁朗君や中村君がミスをすると、四方八方から他の選手たちの冷やかしや激励の野次が飛んでくる。2人の緩慢な動きもご愛嬌に見えてくる。私も強かった時代の西武野球を思い出し、ファンはその復活を一日千秋の思いで待っているだろうと思って眺めていた。裏金問題のせいもあってだろう、スカウトだけでなく球団フロントも一新といえるほど交代した。
昨年はBクラスに転落した。25年ぶりだった。そんなチーム力の低下を吹き払うように、大久保コーチの叱咤激励する姿がひときわ目立つ。解説者とタレント業及びプロゴルファーの3足の草鞋を全部脱いでたった1足だけになった。大久保氏は「谷沢さん、いらっしゃいませ! 元気でやってますよ!」と叫ぶやいなや、風のようにロッカーからグランドへ身軽(?)に飛び出ていった。返事をする暇もなかったので、大久保コーチについて各方面に取材してみた。
A氏曰く「指導の情熱は人一倍ある」
B氏曰く「これと思う選手を食事に誘ってしっかりコミュニケーションをとる」
C氏曰く「これまでの西武のコーチ像の殻を破っている」
どんな長所にも短所はつきもので、この3氏のことばを裏返しに言うと、「指導が過剰になりやすい」「食事に誘われない選手は無視されているのかとか嫌われているのかと誤解しやすい」「長年のチームカラーに馴染んでいる者には違和感が強い」等の危険性もはらむ。
しかし、球団首脳と渡辺監督は、多少のデメリットは覚悟して、大久保君ほど天性の明るさをもつ持つ者はいないから、それを最重要視してコーチ就任を要請したのだろう。昨年までのチームのイメージを大幅に変革したいにちがいない。コーチ陣の大幅な入れ替えはそれを意味しているとしか考えられない。原点に戻ってもう一度ファンに愛される、勝つことも大事だが、むしろ勝つこと以前に、内部崩壊した球団組織の再構築を意図しているかのような布陣である。
刷新と再構築の表れの一つは、西武から埼玉西武という改称である。あまりにも西武という企業色が強すぎたことの反省だろうが、少し遅すぎた。読売巨人軍のように、読売という企業名を薄めるために、巨人ジャイアンツという仮称を前面に出すという手もある。そうすると、青獅子ライオンズという仮称を掲げるのも悪くない。