ポケットの中で映画を温めて

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『レイニング・ストーンズ』を再度観て

2021年02月01日 | 1980年代映画(外国)
随分と前に観た『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督、1993年)を再度みてみた。

失業中のボブは、娘のコリーンの聖餐式のために白いドレスを買ってやりたいと願っている。
彼は仲間のトミーと羊泥棒をしたり、金になることなら何でもやるがうまくいかない。
下水道掃除に行った先の教会のバリー神父から、生活さえままならないのに娘の聖餐式にそこまで見栄を張る必要はないと諭されるが、ボブは耳を貸さない。
ある日ボブは、妻のアンとコリーンを連れて洋品店を訪れたが、ドレスの値段を聞いて驚く・・・
(MOVIE WALKER PRESSより修正し一部抜粋)

場所は、イングランド北西部のマンチェスター。
ボブは、7歳の娘コリーンが初聖体拝領を受ける時のドレスを新調するために、失業中で生活もにっちもさっちもいかないのに、金を工面しようと悪戦苦闘する。
下水道掃除の後はディスコの警備員と、ボブは努力してみるがそこでもトラブルが絡む。

それでもボブは、娘のためにひいては自分のためにこだわりどうにかしようとする。
バリー神父だって、中流階級の親はこの日のためにあまり金をかけないと、処世術を教えてくれているのに。
ボブが警備員の仕事を叩き出され、妻のアンも裁縫の仕事をしようと必死になるが、慣れないためにすぐにクビになる。

それでもボブは、親友トミーらと手入れのよい庭の芝生を剥がして盗んだりとかしながら、どうにか娘に白いドレスを買ってやることができた。
しかし、これでメデタシ、メデタシになったかと言うとそうではない。
アンがコリーンのために家でクッキーを焼いていると、そこに突然、高利貸しのタンジーがやって来て借金の返済を要求する。
ボブはタンジーから借金をしていたわけだ。
タンジーは、何も知らないアンから少ししかない現金と結婚指輪を強引に奪い取ってゆく。

それを知ったボブは、逆上してスパナを懐に入れタンジーを追う。
タンジーが持つ借用書によって人生が台無しにされると必死なボブは、地下駐車場でタンジーを追い詰める。
タンジーは車を発進させ、逃げようとして誤って柱に激突し息絶える。

ボブは良心の呵責に耐えきれず、バリー神父を訪ねる。
そんなボブに神父はどう答えるか。
神父の考え方は実に現実的で、返ってボブの純粋な人間性が際立つ。

ラストでボブの住居に警官が訪ねて行く。
こんなに貧しく細やかなボブの家庭の中に、無惨にも権力が入り込むのかと思いきや、ケン・ローチはこの底辺の人々を暖かく包み込む物語とする。
これがケン・ローチの人間への共感性だと、いつしか胸が熱くなる。

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