ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジュリアン・デュヴィヴィエ・2〜『白き処女地』

2017年11月12日 | 戦前・戦中映画(外国)
『白き処女地』(ジュリアン・デュヴィヴィエ監督、1934年)を観る。

舞台は、カナダのケベック地方のある村。
そして、そこのフランス系住民の開拓者たち。
原始林に囲まれて暮らしているシャプドレヌ家にとって、唯一の楽しみは村に出かけて行くこと。
ある日、シャプドレヌが村に出かけた時、出稼ぎから戻ってきたフランソワと出会う。
フランソワは、彼の娘マリアが美しくなっているのを見て、心を惹かれる。

そして、マリアに愛を打ち明ける。
今までの無頼の生活を改めて、山の仕事で資金を貯え来年春には戻ってくるので待っていてほしいという。
マリアは、フランソワのその言葉に素直に頷き・・・

人里離れたシャプドレヌ家のマリアに、フランソワ以外に二人の男が思いを寄せる。

一人は、祭の頃にシャプドレヌ家を訪れた、都市人のロランゾ。
そのロランゾは、一緒に大都市へ行って暮らそうとマリアを誘う。
もう一人は、マリアの家の近くに小屋を建てて、原始林を切り開いている青年ユトロープ。
ユトロープは、内気で自分の思いを素直に打ち明けることができない。

フランソワは、原始林の中へ夏場の仕事を求めて入って行き、やがて厳しい冬が雪の中にすべてを閉じ込める。
年も押し迫った日、フランソワはマリアへの思いが募り、危険だと言う仲間の制止を振り切り、一人歩いて故郷に向かう。
そして吹雪の中、とうとう命を落としてしまう。

観ている方の期待としては、まさか主人公が死んでしまうとは思わず、ビックリ。
そう言えば、フランソワ役のジャン・ギャバンが有名になっていくのが、翌年の『地の果てを行く』(同監督、1935年)辺りだから、こういうのも有りかと思う。

その死を知って、ショックを受け落胆するマリア。

その後の、ロランゾから改めての結婚の申し込み。
そして、ユトロープからの告白。
悩むマリアが選んだ先は?

この作品は、一女性に対する三人の男の愛の告白みたいな物語になっているが、それより重要なのが、カナダにおけるフランス人入植者の思いということ。

映画は、夏が短く、冬が長いカナダの厳しい自然の中で、入植者の生活を詩情豊かに描き、家族の一体感も漂わせている。
そんな中で、マリアの母が亡くなり、葬儀で牧師が説教する言葉。
“我々は、フランスからこの地に来て300年になるが、外国人たちは言うだろう、この人々は滅びを知らない人種なのかと。
私たちは先祖が暮らしたこの土地に留まなければいけない。、子供たちに伝えるべき掟のためにも”

この牧師の言葉で、マリアは決心する。
母のように、この地に根付いていこうと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする