信州生坂村「山紫水明 食と文化癒しの郷!」

山清路、大城・京ヶ倉等の自然。赤地蔵、百体観音等の伝統。おやき、おにかけ等の食文化を持つ生坂村!

生坂農業未来創りプロジェクト会議視察研修&上生坂上空からの風景

2021年11月04日 | 生坂村の取組

 4日(木)は朝霧が立ち込めたものの、徐々に青空が広がり昼間は日差しが届いて穏やかな陽気でした。

 午前8時頃に生坂村を出発して、何かとお忙しい中、10名の委員さんと私と事務局2名の13名で、一日目は最初に飯田市役所に伺い、南信州ワーキングホリデー飯田について視察研修をさせていただきました。

 

 飯田市役所に到着して、佐藤市長さんにご挨拶をさせていただき、研修は私の視察対応に対する御礼と当村の紹介の挨拶で始まりました。

 

 続いて、産業経済部の串原部長さんが、平成10年から始めたワーキングホリデーは、部長さんの実家がモデルのようなものであり、30年前にお母さんが癌で亡くなられて、名古屋の小料理屋のご夫婦が毎週仕事を手伝いに来ていただいたことの労力補完の取組であり、お互いに足りないところを補い合う事業であるなどの説明と歓迎のご挨拶を頂戴しました。

 

 産業経済部 農業課 農業振興センター係 牧内係長さんから、相談に訪れる新規就農希望者が多くなってきたのに研修場所がなく苦慮していた一方、農村は担い手不足が顕著で離農するケースが増え、農業農村の存続や地域文化の継承等が困難になりつつある現状を踏まえ、市田柿の収穫・皮むき・串しなど、短期間に作業が集中する時に、新たな労力を生み出す方法として、観光目的でない「田舎で暮らしたい」「農業をやりたい」といった層にターゲットを絞り、都市からの農業サポーターの募集に至ったとのことでした。

 

 「労力補完」がメインであり、「観光」ではないこと、受入農家は農作業の手伝いの御礼として、農家の生活や農業を教えることに心がけること、金銭の授受(宿泊・体験代・賃金)を発生させないことなどが基本的な考え方であり、作業内容は素人が来て、直ぐにできる作業を選定し、農家自身の作業能率が落ちることを避け、時期は農業の繁忙期に限り3泊4日が基本であり、都市住民が休暇を使い、農家に滞在しながら農作業や林業作業、祭等伝統行事などを無報酬でサポートする、飯田市流にこだわっているとのことでした。

 

 農業労働力の確保により適期作業の能率が上がり、生産性の向上と品質の向上が見られ、参加者と産直等の経済行為の発生が多く、農家の所得アップが図られるなどの農業振興効果があり、また、参加者の中から定住・新規就農者が現れる効果や訪れる度に近くの温泉に行ったり、お土産を買ったりという観光振興効果も少しありますが、最も効果を期待している点は、訪れた人が飯田の良い印象を家族・友人に話をすることで良いイメージが拡大し、飯田の産物が売れるとともに、良い人材が興味を持ち、UIターンが発生するなどの応援団効果とのことでした。

 

 受入実績の延べ人数は、平成10年度の32名から順調に増加し、平成19・20年度の560名をピークに減少気味であり、コロナ禍の前の令和元年度は268名になった理由として、同様の取組を始めた自治体が増えたこととリピーターと農家の高齢化などが考えられるとのことで、令和元年度の参加者は関東地域が一番多く、東京農業大学・明治大学などのゼミ生も受け入れしていました。

 

 新規就農支援については、相談から就農後の経営安定までの一貫した支援体制の強化を目指しており、飯田市や南信州担い手就農ナビHP等で情報を発信し、就農相談会の開催、南信州・担い手就農プロデュース、農業法人や就農アドバイザーとの連携などによる相談体制を整え、就農希望者向けワーキングホリデーや現地訪問見学会、お試し住宅の宿泊などで体験し検討していただき、JA研修、里親研修、法人研修などで研修ができ、新規就農者支援事業・認定新規就農者支援金・里親研修助成・研修中住居費助成などで助成して、平成22年から今年度まで、認定新規就農者は46名で、Iターンが30名、Uターンが5名、地元が11名でして、研修期間は里親研修が34名 JA研修が1名、法人研修等10名でありました。

 

 ワーキングホリデーを開始した平成10年代は参加者が農業を始めたいというきっかけにつながりIターン就農が多くみられ、平成20年代は就農移住の受ける際に飯田市での農業と暮らしを体験してもらう機会としてワーキングホリデーを勧めているとのことでした。

 

 飯田市産業経済部の皆さんには、お忙しい中我々の視察にご対応いただき、丁寧に詳しくご説明をいただき感謝申し上げます。今後は当会議で飯田市の事例を参考にワーキングホリデーについて検討協議を進めていきたいと考えます。

 

 午後は、昼食をいただいた信州新野千石平道の駅の指定管理者「株式会社 蔵」の金田社長さんから話を聞かせていただきました。

 当道の駅は、社長さんが吉田博美先生に道の駅を造ってもらいたいとお願いし、22年前に3億円ほどで建設され、20年くらい経つと老朽化が目立ち、2億5千万円ほど掛けて増築・修繕をし、昨年4月にリニューアルオープンしました。

 

 社長さんは理髪屋さんを止めて8人で起業し、指定管理を受けるに当たって1,000万円を借り入れし、オープン当初は、車が5~6分で1台も通らない様な交通量でしたので、弁当屋に力を入れ、20人ほどの雇用を生み、借りた1,000万円は手をつけず返済し、外に出ようとして愛知県・静岡県をターゲットにし、イベントではトウモロコシを主に販売され、今は松川町のリンゴなどの果樹を主に販売し、200人位の農家が協力していただき、従業員は40人ほどであるとのことでした。

 

 

 また、温暖化でお米が日本一美味しく、五平餅の売上が順調であり、新たにレンコンやワイン用ぶどうの栽培をして、ワインやレンコンの加工品も売れ、色々な商品があるとリピーターも増えて、コロナ禍でも赤字なしの経営をされているとのことでした。

 

 静岡県の35店舗あるしずてつストアにも卸して、市田柿が一番人気であり、年間4~5千万円売り上げがあり、イベントでは果樹の規格外が一番喜ばれ、名古屋では3,000円ほどのクイーンルージュが最初に売り切れてしまい、我々が昼食を取った食堂では、季節や地に合った手料理で四季4回の限定料理を提供し、今は買取でなく委託での販売にし、一日平均100万円を目標にして年間3億5千万円ほど売り上げているとのことでした。

 金田社長さんには、大変お忙しい中、「株式会社 蔵」の内容などを詳細に分かりやすくご説明いただき感謝申し上げます。当村の道の駅いくさかの郷は、卸やイベントでの販売はほとんどありませんので、その分野に運営を広げると雇用を生みますので、当会議で検討協議したいと考えます。

 

 1日目の最後の研修は、天龍村の(有)天龍農林業公社の取組について研修をさせていただきました。私から視察対応に対する謝辞と当村の農業施策の説明などの挨拶で始まりました。

 

 竹田副村長さんから、天龍村は長野県の南端、愛知・静岡両県に隣接し、信州に春を告げる村と言われ、山と川により深いV字渓谷をきざむ風景は、熱海に似ていると言われ、今後は直轄砂防の事業により、横穴集水井を掘るなどの対策が講じられ、林野率は93%で海抜は280~1,000mであり、典型的な中山間地域の農業ですが、6次産業化による事業展開で農地の遊休化を防止するために当公社を立ち上げたなどの説明と歓迎の挨拶をいただきました。

 

 次ぎに天龍農林業公社の森さんから、少子高齢化や過疎化により、天龍村では農地・林地の遊休荒廃地が見られるようになり、農地・林地の持つ多面的機能が失われてしまう自体が懸念され、再生・保全のために、農林家に代わって積極的に農林業経営等の事業ができうる実働組織の(有)天龍農林業公社が、平成14年4月に村が100%出資して設立されたとのことでした。

 

 平成25年度には、特産品の「ゆず」「お茶」などの加工販売を行う6次産業へも力を入れ、農業振興を目指し運営を行ってきましたが、令和元年度に加工部門を分社化して、遊休荒廃化の解消を第一の目的として経営を行っていました。

 

 公社は信州の伝統野菜「ていざなす」の栽培振興にも取り組んでいまして、重さ600gくらいで、長卵型の巨大ナスであり、果肉は非常に柔かく灰汁が少ないのが特徴で、焼くととろける様な食感でして、最近では流通も増え、農協への卸、豊洲市場への出荷、各スーパーや業務用にも出荷しているとのことでした。

 

 天龍村農地荒廃化防止事業は、農地の荒廃化の防止及び遊休荒廃農地の解消を図るため、農地を借り受け、農業経営に意欲的に取り組む者に対し補助するもので、補助対象者は村内に住所を有し、1ha以上の農地を借り受け、農業経営に意欲的に取り組む個人または法人であり、農地面積1アール当たり5,000円を上限に補助しており、昨今では中井侍地区で、地域おこし協力隊員が卒業され、お茶の製造販売をされているとのことでした。

 

 農地管理受託事業は、ここ5年間は100万円から300万円超の受託料をいただいていますが、社員が少なく手が回らない状況であり、遊休農地を利用した水稲・お茶・ゆず・野菜など栽培は、なかなか利益が上がらないとのことでした。

 

 天龍村役場で説明を聞いた後、加工部門を分社化した「ゆずすけ」に行き、代表の宮澤さんからも、天龍農林業公社とゆずすけの取組などについて説明を受け、委員の皆さんで「ゆず」の加工品や「お茶」を購入させていただき、良いお土産になったと喜んでいました。

 

 竹田副村長はじめ担当の皆さんには、大変お忙しい中、詳細に丁寧にご説明いただき感謝申し上げます。

 一日目の3箇所の視察研修により、道の駅いくさかの郷や(公財)生坂村農業公社の運営に参考になる内容がありましたので、引き続き委員各位と生坂農業未来創りプロジェクト会議で検討協議を進めてまいりたいと考えます。

 

▽ 毎朝出勤前恒例の撮影は、雲海が立ち込めていたので、上生坂万平集落に行き、雲海の上空からの風景を撮影しました。

上生坂上空からの風景

 

 その他生坂村では、保育園献立会、お誕生教室、地区担当職員会議、健康推進員体操教室、少年少女サッカー教室、上土ふれあい新鮮市などが行われました。

 



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