村長の新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
輝かしい令和6年の新春を、お健やかにお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
日頃は、村民の皆さんには、村政運営にご理解とご協力を賜り、村民の皆さんとの協働による村づくりをさらに進めるために、それぞれのお立場でご支援、ご尽力を賜っていますことに心より感謝を申し上げる次第でございます。
さて政府は先月22日、2024年度予算案を閣議決定いたしました。
一般会計の総額は112兆717億円で、23年度当初予算から2兆3095億円減り、12年ぶりに前年を下回りました。
政府はコロナ禍で膨張が続いた歳出を平時に戻す方針を掲げましたが、6年連続で100兆円を超えました。
高齢化や少子化対策の強化に伴い、社会保障費が37兆7193億円と今年度の当初予算より8506億円増えたほか、将来の防衛力強化にあてる資金を除いた防衛費も7兆9172億円と1兆1292億円上回りました。
地方自治体に配分します地方交付税交付金などは、17兆7863億円になり、この中には、定額減税による住民税の減収を補填する分が含まれていて、今年度よりも1兆3871億円多くなっております。
さらに、これまで発行した国債の償還や利払いにあてる国債費は、長期金利の上昇を反映して1兆7587億円多い、27兆90億円となっております。
一方、通常の予備費とは別に今年度の当初予算で5兆円を計上していた物価高騰などに対応します予備費は4兆円減額して1兆円としました。
歳入では、税収を今年度の見通しとほぼ同額の69兆6080億円と見込んでいますが、税外収入を加えても不足します34兆9490億円は、新たに国債を発行して賄う計画で、財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続いております。
そして当村は、国の来年度の予算案も考慮しなければならない状況下、先月20日に令和6年度予算編成会議を開催いたしました。
「生坂村第6次総合計画」を根幹に「いくさか村づくり計画」を実施計画として進めています村政運営に加え、「生坂村まち・ひと・しごと創生総合戦略」も念頭におきまして、4つの重点事業を継続して実施してまいりたいと考えております。
また、新年度は生坂村脱炭素先行地域づくり事業の本格的な実施年度であり、生坂村始まって以来の大きな当初予算編成になると考えております。
各部署でも当事業の関連する予算について計上してもらうため、課長会議で調整をすることと、4つの重点事業とともに、2050年カーボンニュートラルを目指すグリーン社会の対応、デジタル化・村の活性化に向けた各種施策の遂行、人口減少・少子高齢化の対策、防災無線の更新等の防災・減災、災害に強い村づくりなどの事業に取り組むために、引き続き職員も知恵を出し創意工夫をして、真に必要とされる事業へ限られた財源を、効果的に配分し、村民のニーズに応えていきたいと考えているところでございます。
スカイスポーツ公園上空からの風景
それでは、昨年2月20日から私の5期目がスタートし、公約としました4つの重点事業などについて申し上げます。
最初に、「子育て支援事業」としましては、保育園、小・中学校の給食費無償化と保育園給食の主食無償化の継続とともに、村内産の野菜等を多く使用するために、村内農家の皆さんや各種団体の協力を得て、地産地消を図るとともに、給食を通じて子どもたちが食の大切さを学ぶ「食育」にも力を入れてまいりました。
当村における保小中一貫教育については、「生坂村一貫教育基本方針」に基づき、今年4月に施設分離型の小中一貫型小学校・中学校を導入することを目標に、具体的な教育内容の検討を行っております。
保育園では、3~5歳児クラスには空気清浄機能付きエアコンと未満児室にはおもちゃ殺菌庫を新たに設置し、保護者や保育士の負担軽減を図るため、保育園でおむつの処分を新たに始めるとともに、安全・安心な通園のため、送迎バスに置き去り防止装置を取り付けました。
今年度から高校生等通学費補助事業により、通学で村営バスを利用する中学生・高校生等の料金を全額減免する専用乗車券を発行し、さらに家庭の経済負担の軽減やゼロカーボンの推進を図ってまいりました。
これらの取り組みによりまして、生坂村で結婚、出産、育児、教育が安心に一貫して受けられますように、出産祝金・結婚祝金・入学祝金・奨学金貸付制度などにより、安心して健やかに産み育てられ、次代を担う子ども達が個性豊かに育まれる環境づくりと、教育の充実強化に努めてまいりました。
「福祉の村づくり事業」においては、新型コロナウイルス感染症が昨年5月8日から「5類」に移行しましたが、国の指針に沿った感染予防の啓発及びワクチン接種に取り組んで、昨年12月17日現在で村民の皆さんがワクチン接種をされた方は700人以上となり、接種率は高い状況でございました。
地域支え合い推進会議では、総合的な観点から生活援助サービスの重要課題を解決するための検討をし、村内の移動サービスの周知については、「生坂村版地域交通のトリセツ」を啓発し、住民相互の支え合いによる地域づくりの場として、検討協議を重ねております。
介護保険制度では「第8期介護保険事業計画」の最終年度となり、来年度からスタートします「第9期介護保険計画」の策定を行い、前回計画の満了を踏まえ、高齢者が地域の中で孤立することのないよう、地域で支え合いながら高齢者の自立を支援してまいりました。
また、在宅で生活している要介護と認定された高齢者を介護している家族に、介護用品の購入に係る費用の一部を助成します「家族介護用品支給事業」は、要介護1・2と認定された方も助成対象に加え、介護度により村民税非課税世帯の方には月5,000円から3,000円、課税世帯の方には月2,000円から1,000円を助成しております。対象となる介護用品も布団シーツやポータブルトイレの脱臭剤などを拡大いたしました。
そして、村民の皆さんには健康管理の意識を高めていただき、健康維持や介護予防に努めて健康寿命を伸ばしていただくことなど、健康な暮らしの継続と福祉の充実による、高齢者の生活の安定に取り組んでまいりました。
「産業振興事業」では、農山漁村振興交付金の「農泊推進対策」を活用し、やまなみ荘といくさかの郷が連携して、農業と観光等の村の魅力を満載した体験型農泊ツアーを再開いたしました。
道の駅いくさかの郷は、生産者組合の皆さんが、54種類の生坂村産ぶどうの「193カラット」をはじめ、多くの農林水産物を出荷していただいたことにより、販売額が大幅に伸びて、順調に運営しているところでございます。
かあさん家は、灰焼きおやきが全国放送で2回放映され大変お客様が増え、おまんじゅう、かあさん豆腐、梅漬けなどの加工品の製造販売を、30歳代から80歳代の女性の皆さんに頑張っていただき、売上と雇用が増え、順調に推移しているところでございます。
昨年10月に農水省から採択されました農山漁村振興交付金の「最適土地利用総合対策事業」は、中山間地域における複数集落を対象に、地域の実情に即した農用地保全のための多様な取り組みを総合的に支援するために、5年間ソフト・ハードの各種事業に交付金をいただき実施してまいります。
そこで、基盤法等の改正法が施行されたことにより、市町村では将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」を令和7年3月までに策定しなければなりませんので、この「最適土地利用総合対策事業」を活用し、地域での話し合いにより、担い手や地域で耕作する農地と今後維持管理が難しい農地等を明確化した上で土地利用構想を作成し、地域計画の着実な策定を進めてまいります。
やまなみ莊の運営につきましては、毎月定例会を開催し、健全経営に向けて職員一丸になって頑張っているところです。
村民の皆さんが集う憩いの場、観光・交流の中核施設として、また、就労の場として村には欠かせない施設でありますので、今までの運営内容に加えて行っています、ギョウザ、魚の唐揚げ、お弁当などのいくさかの郷での店頭販売や冷凍食品としての販売、テイクアウト、仕出し弁当など幅広く取り組んでいるところでございます。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行になり、少しずつお客様が戻ってきておりますから、今後もおもてなしの心を持って頑張ってまいりますので、変わらぬご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。
今年度も消費意欲の喚起と地元消費の活性化、村内事業者と村民の生活を継続的に支援するため、50%プレミアム率の「いくさかマル得商品券スーパープレミアム」の発行補助を行いました。
また、新型コロナウイルス感染症と物価高騰に直面して影響を受けている村民の皆さんの生活の支援や地域経済の下支えのために、今年度は2回の「生坂村物価高騰対策生活応援商品券」を村民の皆さんにそれぞれ1万円分を配布させていただきました。
「県営中山間総合整備事業」は今年度、下生野工区の農業用用排水施設は、下流の揚水機場を改修し、国道下の農地への配水と国道上への送水を行うとともに、用水路工事、上流機場の撤去工事を実施し、小舟工区は、農道の改修工事を実施中であり、日岐工区は、農道・水路の調査・設計を実施し、来年度工事を発注する予定でございます。
以上の農業、商工業、観光の振興、6次産業化等によります「産業振興事業」で当村の経済の活性化を図ってまいりました。
「地域活性化対策等事業」では、今年度からコンビニエンスストアでの納付が可能となり、昨年2月に運用が開始されました各種証明書等のコンビニ発行サービスにより、村民の皆さんの利便性向上はもとより、税金や料金の収納率の向上につながっております。
また、「デジタル田園都市国家構想推進交付金デジタル実装タイプ」の事業として、「申請簡単デジタル窓口簡素化事業」が採択され、今までの各種手続きにおいて、村民の皆さんと職員が共にデジタルで申請手続きを行うことで、村民の負担軽減と職員のサービスレベルの平準化と業務の効率を図っているところでございます。
一昨年6月16日に「生坂村ゼロカーボンシティ宣言」をさせていただき、昨年は、脱炭素ロードマップを策定するとともに、環境省に「脱炭素先行地域づくり事業」を申請し、4月28日には脱炭素先行地域に選定されました。
当事業に関しましては、10区に出向き村民説明会を開催させていただき、村民の皆さんにアンケートをお願いし、その結果、当村の脱炭素の実現に向けた取り組みについての問では、必要28%、どちらかといえば必要、33%で合わせて61%という結果から、脱炭素事業への取り組みに関しましては、村民の皆さんに一定のご理解をいただいているものと考えております。
当村が当事業を遂行することは、ゼロカーボンに向けて積極的に取り組むことであり、それによって生坂村の経済を活性化させるとともに、再生可能エネルギーの積極的な導入により、産業と雇用を創出し、村民の皆さんの生活と地域のレジリエンスが向上することに結び付くと考えております。
そして、脱炭素先行地域づくり事業の進捗状況については、広報等でお知らせしておりますので、簡潔にご報告させていただきます。
マイクログリッド事業では、中部電力と配電線利用に向けた進捗状況や今後の予定の打合せをし、引き続き、事業計画や設計について作業を進め、2月から3月にかけては、接続を予定する公共施設の冬季電気使用状況調査を実施する予定です。
木質バイオマスの活用に向けた山林調査は、山林の適正な管理と森林資源の有効活用が両立できる仕組みづくりに向けて、各地区の方に聞き取り調査を実施しました。
また、やまなみ荘への木質ボイラー導入に向けて、村内の支障木や剪定枝等が燃料材として活用可能かを確認するため燃焼実験を行っております。
オンサイトPPAは、民家、事業所を中心に個別訪問によって、事業説明や設置調査を進めており、オフサイトPPAは、10区との調整会議を済ませ、今後、会議で決定した区ごとの進め方に沿って、野立て太陽光パネルの候補地を地区と調整してまいります。
生坂ダムの小水力発電は、現地調査や視察を行い、村で導入を計画していく設備の提案書によって、関係機関と協議を行いながら設計内容を決めていきます。
EV充放電設備の設置については、専門会社による村内の現地調査を行い、公用車のEV化については、現在運行状況調査を行っており、その稼働状況を基に、設備の設置や事業の企画提案をいただく予定でございます。
古民家脱炭素リノベーションについては、関係者と聞き取り等を行い、候補物件となる空き家の調査を実施し、事業設計に向けて手法や内容を検討しております。
事務局運営サポート業務は、「合同会社ヒッタイショ」が上生坂旧窪田商店を事務所として開設し、相談窓口や直接訪問に対応しております。
下生坂雲根地区のいくさか『創造の森』では、コミュニティスペースを拡充し、松本山雅の皆さんにもご協力をいただき、「ピザパーティー」と「森のレストラン」を開催し、村民の皆さんが交流する機会を創出するとともに、村内外の皆さんに対し、脱炭素型ライフスタイルを提唱しております。
以上のように、着実に脱炭素先行地域づくり事業が遂行されておりますので、村民の皆さんも当事業に感心を持っていただき、人口減少、少子高齢化などの課題を抱える当村の環境や未来の生活のために「地域エネルギー」の重要性を認識していただき、当事業にご理解とご協力をお願いする次第でございます。
防災・減災、災害に強い村づくりでは、自主防災組織との連携、防災士の養成、避難所のWi-Fi環境整備及び地域の防災力の要であります消防団員の団員報酬と出動報酬拡充の処遇改善、分団運営交付金、消防団員応援商品券の交付による団員の確保と、昼間の火災や大規模災害に備え、特定の活動に従事する機能別消防団員制度を導入し、防災力のさらなる強化を図っております。
簡易水道の有収率及び漏水対策の一層の強化を図るために、毎月「簡易水道有収率対策プロジェクト会議」で協議し、迅速な漏水対応や漏水箇所を絞っての配水管の布設替え工事などを実施し、その結果有収率が向上し、それを維持しており、また計画的に施設の老朽化及び耐震化の対策事業を実施し、ライフラインの水道水の安定的な供給に結び付いております。
今年度より村内と池田町をつなぐ池田町営バス・池坂線の運営を当村で引き継ぎ、池田町内のあづみ病院への通院やスーパーへの買い物、通学など公共交通機関の存続は必須であり、運行経費等の増額分を特別会計に繰り出し、村民生活の足を確保いたしました。
これらの事業によります安全・安心な生活の確保及び人口減少対策、地域・村の活性化に努めてまいりました。
以上の4つの重点事業をそれぞれに実施することで、それによります相乗効果を引き出し、生坂村の課題解決や方向付けをしてまいりました。
ホームタウンになっています松本山雅FCは、大変残念なことにJ2復帰はならず、来期も再度J2復帰を目指して戦うことになりました。
当村とは脱炭素先行地域づくり事業の共同提案者として、環境省の第3回脱炭素先行地域に選定され、地域エネルギー会社の「株式会社 いくさかてらす」にも出資していただき、当事業に大変なご支援をいただいております。
また引き続き、雲根地区の「創造の森プロジェクト」にもご協賛いただき、夜のレストランやピザパーティーなどにもお力添えをいただくとともに、例年のイクラン2023松本山雅FC、松本山雅フィジカルトレーニング、保育園での山雅サッカー教室なども行っていただきました。
そして、自助・共助・公助を基本とし、村民の皆さんと行政が対等な関係と信頼関係で結ばれ、さらなる協働による村づくりを推進するための「絆づくり支援金」は、選定の結果、3事業、支援金額は71,1千円になり、それぞれ協働による取組として、農業振興、観光振興、林業振興、歴史伝承と多岐にわたり、各地区や団体で協働によります活動で、さらに地域、村の元気を生み出す取組を行っていただいております。
県の「地域発 元気づくり支援金」によります事業につきましては、村名申請の3件、団体申請1件に対してまして、8,033千円の支援金を交付していただき、総事業費12,047千円で各種事業を実施しております。
この元気づくり支援金を活用した事業でも、村民の皆さんが協働による事業を実施していただき、さらに地区、村の活性化、村民の皆さんの生きがいづくりに結びつけ、村内外に生坂村の元気と活気を発信していただきたいと思うところでございます。
「男・女村活性化対策」につきましては、「おじさま倶楽部」は、「信州ひすいそば」と「野沢菜」を栽培し、やまなみ荘での手打ちそばの提供などに取り組んでいただき、「女・人竹っこくらぶ」は、竹っこおやき、おいしん棒、竹っこ弁当などの製造販売をされ、それぞれいくさかの郷特産市で定期的に販売されるなど、多岐に渡って活動していただいております。
「お父さん頑張る会」は、今年度28年目に入り、引き続き農業公社の豆腐や味噌などの原料になる品質の良い大豆を1町歩ほど栽培され、木炭や竹酢液も製造販売して、例年通り活動されております。
また、多くの団体・グループの皆さんが、村づくり、村の活性化、環境保全などのご活動をされているところでして、それぞれのご活動で、村政運営に参画されている割合は大変多く、心から感謝を申し上げる次第でございます。
現在、当村で実施しています国の主な事業関係では、小立野築堤工事は完成し、続いて下生野地区の築堤工事の事業に着手され、現在用地補償を行っております。
国道19号山清路防災トンネル事業は、防災1号トンネルが貫通して、現在はトンネル内の舗装工事と排水施設工事を行っており、竹の本法面対策工事は、用地買収に伴う手続きを行っており、鳥原地区防災対策工事は年度内の竣工に向けて対策工事を行っております。
次に県の主な事業関係につきましては、牛沢地区の犀川の堤防の施設機能向上事業が実施中であり、草尾地区護岸復旧工事は今年8月15日までに完成するために進めております。
大町麻績インター千曲線は、東広津工区の現道拡幅工事は詳細設計を行っており、中村団地の急傾斜地崩壊対策事業と「道の駅 いくさかの郷」上部の桧沢砂防堰堤工事は、本体工事の施工中であり、来年度の完了予定で進めております。
また、林務関係は、万平地籍の工事が完了し、雲根林道の災害復旧工事も先月完了いたしました。
第6次総合計画の将来像は、「確かな暮らしを明日につなぎ 明るく 健やかに生きる村」であります。キャッチフレーズは、「新たな発想で 未来を創り出し 人と自然が輝く いくさか」でございます。
村民の皆さんには、生坂村に愛着と誇りを持っていただき、地域の絆を大切に、支え合い守り育てていこうという責任感を共有する中で、村民の英知を結集して、自信と希望を持って、安全で安心して暮らしていける生坂村であり続けるために、本年も村民の皆さんのご理解とご協力の基、協働による村づくりの継続をお願いする次第でございます。
結びに、生坂村の発展と村民の皆さんのご健勝、ご多幸を祈念し、本年も、変わらぬご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、村民の皆さんにとりまして、幸せ多き年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和6年元旦
生坂村長 藤澤泰彦