楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

他人の持ち物

2009-10-04 20:25:05 | 気になる。
「麻生三郎とそのコレクション」展
9月19日(土)~11月3日(火)
月曜日(ただし10月12日は開館)、10月13日(火)休館
午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
神奈川県立近代美術館 鎌倉
神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53 0467-22-5000(代表)
※ http://www.moma.pref.kanagawa.jp/index.html

朝、電車の中で新聞を眺めて最終面まで来たときに大津絵が見えた。民藝関連の展示かと思えば、鎌倉の近代美術館の展覧会と知って意外に思い目をやった。他人の家の本棚やレコードバックの中身に興味を惹かれたり、隣の人が食べているものがなぜか美味そうに見えるといった具合に、どうも他所さまのことばかり気になってしまうのは、自分の器の小ささか。
大津絵にジャコメッティ、セザールまであるというのだから、麻生三郎その人にも興味が湧いてくる。新聞の記事にはブリア・サヴァランの言葉が引用されていた。「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言い当ててみせよう」。きっと自分ならば、そんなことを言われたら恐くなってその場から逃げ出してしまうだろう。さて、麻生三郎はどんな人間なのだろう。初めてその人を知るために鎌倉までの小旅行ができると思うと嬉しくなってきた。

夕方からの散歩

2009-10-02 01:00:45 | Weblog
どこかに出かけるのに理由などいらないけれど、一日中家にいるというのは落ち着かないので散歩に出かけた。桜田門の駅で降りてお堀の脇に出ると目の前をジョギングをする人たちが通り過ぎていく。全員が近隣の住人だとは思えないけれど、走りすぎていく人たちを眺めるのは面白い。いかにもジョガーといった人もいれば、コスチューム重視の人、果ては走っている人たちに刺激されたのかシャツにジーンズ、革靴の男性が自分たちを追い越していくのを見て相方とともに笑った。
西の空の赤みが濃くなっていくのを眺めながらゆっくりと歩き続けた。大きな道路を渡って公園を進むと楠成公の像が見えた。その向こうの堀を挟んだ反対にある商工会議所や国際ビルの日本倶楽部の窓から何度も眺めてはいたけれど、その存在すら気付かなかった長年この界隈に勤務していたはずの自分の目は一体どれだけの物を捉えていたのだろう。
軽く飲みたくなって帝劇ビルの地下にある焼鳥屋を覗いたけれど、コースしかなかったので諦めた。申し訳なさそうな店員の表情に自分を覚えている様子を見て恐縮した。それではと、勤め先だったビルの斜向かいにかつてあった百貨店の面影を残す中華料理屋に向かう。帳場の椅子に座っていた店長が自分に気付いたので言葉を交わす。名物だったシウマイとビールを注文して少し遅いおやつを食べた。精算の時に自分が随分前に会社を辞めたことを伝え、店を出ようとすると「お元気で」という声が背中から聞こえた。「近くに来たたらまた寄ってください」というのを続けて聞きながら、実は近くに立ち寄るどころか頻繁に店の真上を通り過ぎていることを思い出し申し訳なく思う。何だか済まない気持ちになりながら、気持ちの良い距離をもって付き合ってくれたこの街がいつまで変わらずにあるのかを想像しながら高層ビルばかりが並んでいる東京駅の方向を見上げた。