楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

夕方からの散歩

2009-10-02 01:00:45 | Weblog
どこかに出かけるのに理由などいらないけれど、一日中家にいるというのは落ち着かないので散歩に出かけた。桜田門の駅で降りてお堀の脇に出ると目の前をジョギングをする人たちが通り過ぎていく。全員が近隣の住人だとは思えないけれど、走りすぎていく人たちを眺めるのは面白い。いかにもジョガーといった人もいれば、コスチューム重視の人、果ては走っている人たちに刺激されたのかシャツにジーンズ、革靴の男性が自分たちを追い越していくのを見て相方とともに笑った。
西の空の赤みが濃くなっていくのを眺めながらゆっくりと歩き続けた。大きな道路を渡って公園を進むと楠成公の像が見えた。その向こうの堀を挟んだ反対にある商工会議所や国際ビルの日本倶楽部の窓から何度も眺めてはいたけれど、その存在すら気付かなかった長年この界隈に勤務していたはずの自分の目は一体どれだけの物を捉えていたのだろう。
軽く飲みたくなって帝劇ビルの地下にある焼鳥屋を覗いたけれど、コースしかなかったので諦めた。申し訳なさそうな店員の表情に自分を覚えている様子を見て恐縮した。それではと、勤め先だったビルの斜向かいにかつてあった百貨店の面影を残す中華料理屋に向かう。帳場の椅子に座っていた店長が自分に気付いたので言葉を交わす。名物だったシウマイとビールを注文して少し遅いおやつを食べた。精算の時に自分が随分前に会社を辞めたことを伝え、店を出ようとすると「お元気で」という声が背中から聞こえた。「近くに来たたらまた寄ってください」というのを続けて聞きながら、実は近くに立ち寄るどころか頻繁に店の真上を通り過ぎていることを思い出し申し訳なく思う。何だか済まない気持ちになりながら、気持ちの良い距離をもって付き合ってくれたこの街がいつまで変わらずにあるのかを想像しながら高層ビルばかりが並んでいる東京駅の方向を見上げた。