今年は漫画家の水木しげるさんの生誕100年目の年なんだそうですね。そう、あの「ゲゲゲの鬼太郎」でお馴染みの、水木しげるさんです。ボクが子どもの頃から「♪ゲッゲッゲゲゲのゲ~♪」で始まる主題歌の「ゲゲゲの鬼太郎」は、子どもたちに人気のマンガでした。目玉おやじ、ねずみ男、猫娘などのキャラクターには、今も親しみをもっています。大人になってからは氏の壮絶な戦争体験や独特の人間哲学なども知り多少の興味はもっていたのですが、これまで特に彼について深く知る機会はありませんでした。
ところが今年の「水木しげる生誕100周年」に、NHKが充実した「水木しげる特別番組」をいくつも放送してくれました。しかもその多くは、ボクがコロナの自宅療養期間中。健康は回復しているのに出勤できずに、「暇で暇でしょうがない」というタイミングでの放送でした。番組をじっくり見て、ボクはこの期間中にすっかり「水木しげる」通になっちゃいましたよ。(職場復帰後に放送されたものもあります)
まずは8月23日(火)に放送された、NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕」です。1.5時間の実写ドラマです。主演は今マスコミで話題の鬼才、香川照之氏でした。
昭和18年ニューギニアのラバウル。「総員」が「玉砕」への道に向かわざるを得なかった、あの理不尽な出来事とは…。鬼才、水木しげるが自らの戦争体験を渾身の力で描いた傑作戦争漫画のドラマ化。水木しげる役を香川照之、布枝(妻)役を田畑智子が熱演しました。
続いて8月24日(水)に放送された、「ザ・プロファイラー:水木しげる ゲゲゲの夢見た幸福人生」です。岡田准一が司会の1時間の番組でした。
幸福の秘けつは妖怪にあり?ゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげるの壮絶な人生を、岡田准一がプロファイル!近年発見された水木の手記には、戦争への恐怖や、仕事に追われ歯車のように働く自身の悩みが赤裸々につづられていました。ピンチで何度も不思議な力に救われてきたという水木は晩年、「なまけ者になりなさい」と説きました。その真意とは?とても興味深かったです。
さらに8月26日(金)には、BS-NHKで「水木しげるの妖怪バンザイ」が放送されました。こちらは1.5時間の番組。
妖怪をはじめとした「目に見えぬもの」の存在に魅了された水木しげる。妖怪にリアリティーを持たせる画法、妖怪に言わせた辛辣なセリフの数々、妖怪を信じられなくなった葛藤…。水木の家族をはじめ、晩年の水木をよく知る荒俣宏さん、小松和彦さん、京極夏彦さんなど、多くの証言を交え、水木ワールドを語り尽くしました。面白かった!
そして8月28日(月)には、Eテレで「日曜美術館:水木しげるの妖怪画」です。こちらは美術の観点から水木しげるの描く妖怪画を大特集です。
漫画家の水木しげるもう一つの顔が、妖怪画家です。日本に古くから伝わる妖怪関連の文書を渉猟するとともに、晩年には世界各地へ妖怪探索の旅に出かけ、生涯に数多くの妖怪画を描きました。水木自身が体験したという妖怪もありますが、多くの妖怪画は、水木が精力的に行ってきた妖怪探究の成果です。番組内では、水木しげるの魅力あふれる妖怪画が紹介されました。
最後は9月2日(金)。Eテレで「100分で名著~100分で水木しげる」が放送されました。
古今東西の名著を100分で読み解く「100分de名著」のスペシャル版として放送された「100分de水木しげる」。番組にはヤマザキマリ、佐野史郎、宗教学者の釈徹宗、フランス文学者の中条省平といったさまざまな分野の水木ファンが出演し、「自分がおすすめする水木しげる」の名著をプレゼンし徹底討論しました。面白かった!水木しげるの魅力とその偉大な思想の魅力が十分伝わってきました。
5つの番組を見て、ボクはすっかり「水木しげる」通になりました。同時に「水木しげるについてもっといろいろ知りたいな」「作品も読んでみたいな」とも思うようになりました。ちょっと図書館で関連本を探してみようと思います。