目指せ!ゼロウエイストな暮らし

モノを減らして、ゼロウエイスト。田舎でイラスト描いて暮らしています。

村の若者たち

2011年01月24日 | おすすめ本
素晴らしい本でした。
素晴らしい本とはどんな本でしょう。

心の中にある、言葉にできないもどかしい想い、

あるいは言葉にすらできないと思っていた疑念や希望、

あるいはそれらへの答えを明快な言葉によって目の前に示してもらった時。


宮本常一の本にはそれがあります。


なぜ佐渡で生まれ育った人は佐渡が嫌いなのか。

それでもなぜ佐渡から離れずに生きているのか。


その理由の一端が、学者言葉でなく、
わかりやすい言葉ですとんと胸におちる言葉で目の前に示されたりなどもしました。


みんな力いっぱい働いていると、
ほかのことをかえりみる暇も、
心のゆとりもなくなるもので、周囲のすべての人々の条件が、
自分と同じようにならないと承知できなくなる。


百姓仕事を心から喜んでしているものが何ほどあるのだろうか。
食わねばならないために働いている。
そして村に残っている者はみんな疲れている。
<村の若者たちより抜粋>



戦後間もなくに書かれた書物です。
だけれども、今の佐渡にも何かうっすらと通じるものがありました。


宮本自身の柔らかくも、するどい洞察と共に示されている村の活性への「回答」に、
不思議な説得力を持つのは、宮本自身が彼らの姿によりそい、
自らも「貧乏生活」の中、農民と同じ視線でもって、ものを語ったからでしょう


抜粋している文章だけを読むと、それこそ絶望の書のように思われるかもしれません。
しかしどうして、そうでもないのです。
宮本は、「(離島や山奥の村々に)何がもっとも必要であるか」
という常に持っていた課題の答えを探すために、
原因を究明しているからです。

とるべき膿をさらしているだけだから、そこに絶望はない。
冷静で客観的な視点があるだけ。
それが読者を安心させてくれるのです。


闇雲な悲観論はしない。さらに言えば、安易な提案もしない。

彼が残した膨大な著作の中には、その道に進む人なら必ず琴線に響く「言葉」があります。
それが確実なヒントになる。
宮本常一の本はそんな本です。


人間の最後のねがいは、みんながしあわせになることである。
みんながしあわせになるためには、
みんなが、生きる自信と勇気を持つようにならなければならない。
そして、生きているということが、なんらかの意味で、周囲の人々に幸福を
もたらすものでなければならない。

そうした考え方が、
社会へ目を向け、社会に対して関心をもつ者の間に、早くから芽生えていた。
人は、一人で生きられるものではない。
人と人との連帯の上に生きているものである。
したがって、自分の日常の行動にはたえず社会が反映し、
また相手の考えをも反映させねばならぬ。



そして、私もまたそんな本に、ひかれている一人です。





トップ画像に一緒にうつっているチケットは、宮本常一がつくるのに尽力した
廃校を利用した博物館「小木民俗博物館」の入場券です。
小木に行くと行きたくなる博物館です。
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