摩耶舞薮露愚

日々是口実日記(スパムメールの情報など)

不倫サイトの顧客情報流出=ハッカーが「即時閉鎖」要求

2015年07月21日 | 男女の心象風景
先週末、関東地方は梅雨明けとなり、猛暑がやってきた。
東京都心でも最高気温が35度とはたまらない。
熱中症にはくれぐれも気を付けたいものだ。

ところで、「アツい」人たちに冷水を浴びせかけるような事件があったようだ。

不倫サイトの顧客情報流出=ハッカーが「即時閉鎖」要求

「人生一度。不倫をしましょう」を売り言葉に業務を拡大し、利用者が世界46カ国で3700万人を超えているらしい「アシュレイ・マディソン」のサイトがハッカーの攻撃を受けて、大量の利用者の個人情報が流失したのだそうだ。

運営会社によると、「許可されていない参加者」がサイト内の複数のアクセスポイントを通じて利用者のデータを取得し、ネットに掲載した。サイバー攻撃を加えたと主張するグループは、声明で「サイトを即時かつ永久に閉鎖しなければ、本名や住所を含む全ての顧客記録や、利用者の性的妄想を添えたプロフィル」などを公開すると脅迫した。

出会い系サイトにも、こんなに巨大なものがあるのかとさすがに驚いたが、それだけニーズもあるということなのだろう。
ハッカーの侵入を受けた業者はもちろん、登録している顧客にとっては実に深刻な被害につながる虞がある大事件だが、ヤフコメを読んでみると、いかにもヤフコメらしいコメントが並んでいる。
書き込んでいる人々は、如何にも「社会正義」的な感覚でいるのであろうが、こともあろうに不正アクセスを実行して不特定多数の人々を恫喝している「ハッカー」に対し、「良い」とか「正しい」と評価する態度はいかがなものだろうか。
まるで「不倫」などという行為に及んでいる人間に人権など無用!と言っているようにも思える。

もちろん不倫は、読んで字のごとく倫理的な観点に立てば決して許される行為ではない。
この膨大な会員の中には、快楽と刺激のみを求めて肉体関係に走るepicureanもいるのであろう。
あるいはいわゆる「エンコー」みたいなものを期待する向きもなきにしもあらずかもしれない。

しかし、中には現状の結婚生活に耐えきれず、救いを求めてそうした関係に走ってしまった人間だって、それなりの数は存在するのではないか。
オレの知り合いの中でも、配偶者からのモラハラに日々さらされて、ズタズタになった心を慰めてくれる相手方と「許されぬ関係」に陥ってしまった人間がいる。
知り合いは、それが許されぬ行為だということは百も承知で、しかし、その関係が途絶してしまったら自分はこれ以上生きてはいけないだろうと、言っていた。
それは決して、単なる享楽主義者の戯言ではなく、実に切羽詰った感情の迸りであることが感得できた。
最初は否定的見解を述べていたオレも、最後にはモラハラに終始する配偶者に対する怒りの方が大きくなっていたものだ。

それならばいっそのこと別れてしまえばいいではないか、とも思う。
しかし、子供のこと、世間体、お互いの親族や親戚の体面、職場での地位、友人関係、その他もろもろの影響を鑑みれば、現在の婚姻関係を軽々に解消する道を選ぶわけにもいかない。
配偶者には何等の愛情も感じないし、信頼関係も地に落ちてはいるけれども、婚姻関係を継続することによって守られるものが大きい以上、やむを得ない、ということなのかもしれない。
相手方も、もちろんそんな状況を承知している。
だからこそ、せめて二人でいる時間だけは大切にしたい。
「だってそれは私たちにとってかけがえのない宝物なのだから」
と知り合いは言った。

「不倫」などという、当事者(家族を含め)双方ともに深い傷を負うリスクを内在する行為に逃げ込むのではなく、趣味や社会参加などそのほかの精神的なはけ口を見出すべきだという意見は尤もなものだと思うし、オレ自身もそれに強く賛同する。
だが、人それぞれに異なった考えを持ち、様々な価値観に基づいて行動している以上、やはり世の中の形は多種多様のものとならざるを得ない。
心を許せる人との出会いによって慰められる傷もきっとあることだろう。
許されない行為だと批判はしつつも、そうした人々の心中を忖度するに、一方的な断罪が果たして正しいことなのかどうか、オレはしばしば立ち止まってしまうのである。

このハッカーの行為は、そういう人々の持つ様々な事情や想いを全く忖度することなく、一方的かつ暴力的に攻撃しようとするものではないのか。
ましてや、そうした犯罪行為に対して一面的な評価を与えるヤフコメの態度には、二重三重に疑問を禁じ得ない。

「不倫」が許されない行為であることは、その当事者が一番よくわかっているはずだ。
当事者とは全く関係のない傍観者が、あろうことかサイトに不正アクセスをして個人情報の暴露と拡散をもくろむ犯罪者に対し、快哉を叫ぶなど、オレには到底理解できない世界である。
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