写真は、太郎を前に立ち止まるK。その背にゾエの声が飛ぶ。
「太郎に、行くんですか?」
太郎のメニューを凝視するK。その背にゾエの声が飛ぶ。
「太郎に、入るですか」
私たちは意を決して太郎に入った。店はおじさん2人で切り盛りしていた。おじさんAが水を3つテーブルに置き身構えた。すかさず私は答えた。
「太郎焼きと鳥南蛮のセット」
ややあってkが
「太郎焼きとクリームコロッケ」
視線をゾエに落とすおじさんA。ゾエは迷っている。
「タロコロ、タロナン」
私とkのオーダーを奥に通すおじさんA。ゾエは迷っている。いったん厨房に引き上げるおじさんA。意を決したゾエの口が開いた。
「豚のバター焼きと」
すかさずおじさんAの声が飛ぶ。
「うちに来たら太郎焼き食べなきゃ」
ゾエが口をアグアグさせている。声にならない声が言っている。
~ならばメニューにのせるなよ~
「じゃ、太郎焼きとハンバーグ」
「タロハン追加」
満足気のおじさんAの声が響いた。
私のタロナン。
kのタロコロ。
ゾエのタロハン。
「早く太郎を食べてよ、写メ撮って太郎に送るから」
「写真はいいですけど、太郎さんに写メ送るのだけは絶対にやめてください」
「ゾエ、太郎を食べ尽くす、いいじゃんいいじゃん」
「絶対にイヤです、太郎さん連れて来て、太郎が太郎を食べ尽くすにしてください」
「うまいなゾエ、当たり飯に認定」
「そうきましたか、勝手にしてください」
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