写真は、小池 光 歌集 砂子屋書房 1500円+税
歌を拾ってみよう。
廃駅くさあじさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり
日なたにて干し柿くひぬ干し柿は円谷幸吉の遺書にありしや
ひと夏の陽に食まれつつなお高くひまわりは父のたてがみ保つ
夜の淵のわが底知れぬ彼方にてナチ党員にして良き父がゐる
バルサの木ゆうべに抱きて帰らむに見知らぬ色の空におびゆる
幻影の大きな手あらわれて地上にわかき鳩を抑えへき
春ほそきあめくだる園の水のうえ自然死を待つ白鳥うかぶ
目を閉じて菜の花のうえにわれは見つ海へなだるる野鼠のむれ
私のアンテナが鈍いのか、最近とんと小池光を見かけない。あの滋味深きエッセイや評論などを読んでみたい。今日あたりジュンク堂をのぞいてみますか。