早起き梟のひとりごと

仕事に追われる日々を少しだけ立ち止まって見つめてみると・・・

小池 光 歌集

2018-07-23 05:19:04 | 短歌

写真は、小池 光 歌集 砂子屋書房 1500円+税

歌を拾ってみよう。

 廃駅くさあじさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり

 日なたにて干し柿くひぬ干し柿は円谷幸吉の遺書にありしや

 ひと夏の陽に食まれつつなお高くひまわりは父のたてがみ保つ

 夜の淵のわが底知れぬ彼方にてナチ党員にして良き父がゐる

 バルサの木ゆうべに抱きて帰らむに見知らぬ色の空におびゆる

 幻影の大きな手あらわれて地上にわかき鳩を抑えへき

 春ほそきあめくだる園の水のうえ自然死を待つ白鳥うかぶ

 目を閉じて菜の花のうえにわれは見つ海へなだるる野鼠のむれ

 

私のアンテナが鈍いのか、最近とんと小池光を見かけない。あの滋味深きエッセイや評論などを読んでみたい。今日あたりジュンク堂をのぞいてみますか。