山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

スペースシャトル「コロンビア」事故に関する「ステージ」の記事

2013年05月25日 | 本人活動
 知的障がい者本人向け新聞「ステージ」は全日本手をつなぐ育成会が発行している。
 全ページカラー刷り。
 本人向け新聞として、これだけ本格的なものは日本唯一といっていい。
 「ゆき・えにしネット」=福祉と医療、現場と政策をつなぐホームページ=
 http://www.yuki-enishi.com/index.html
 で、野沢和弘氏の「ステージ」にかかる発言が以下のとおり掲載されている。
 その発言を取り上げ、分割して順次紹介している。
 
 その第18回目である。
 スペースシャトル「コロンビア」の地球帰還時に発生した爆発事故の記事。
 それを、「ステージ」ではどのように記述されたか、次に述べられている。
  
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【引用始め】

http://www.yuki-enishi.com/media_shougai/media_shougai-01.html#01

メディアと障害

知的障害者と新聞~『ステージ』の編集から
毎日新聞科学環境部次長(現・社会部次長) 野沢 和弘さん

(3)分かりやすいとは何か

 一般の記事が知的障害者にとってどれだけ分かりにくいか、
 もっと分かりやすくするにはどのように書き換えればよいのか。
 具体的に最近のステージの記事を紹介しながら説明してみたいと思う。
 最初に元の<新聞記事>を示し、
 それが<ステージ>ではどのような記事になったのかを示すことにする。

<新聞記事>

 飛行士7人を乗せた米スペースシャトル「コロンビア」が、
 米東部時間1日午前9時(日本時間同日午後11時)ごろ、
 着陸直前にテキサス州上空で空中分解、炎上の末、墜落した。

 ブッシュ大統領は同日午後、
 ホワイトハウスでテレビを通じて全米向けの声明を発表し
 「生存者はいない」と全員の死亡を確認。
 「遺族とともに全米が悲しんでいる」と述べ、
 初のイスラエル人飛行士1名と6人の米国人乗員に哀悼の意を表明した。

<ステージ>

 2月1日、スペースシャトルが地球にもどってくる途中で、
 空中分解する事故が起きて、のっていた7人が死亡しました。

 地球には空気があり、宇宙からスペースシャトルが帰ってくるとき、
 空気との摩擦でシャトルの機体の温度は1500度にもなります。
 そのため、熱に強いタイルが機体にはっています。
 ところが、このタイルが飛行中にはがれる事故が何度も過去にありました…

 *知的障害者の特徴の一つとして、
 抽象的な事柄や時間などに関する概念を把握するのが苦手と言われる。
 新聞の記録性から言えば、
 事故が発生した現地時間と日本時間を併記するべきだろうが、
 ステージでは読者の特質を考えて、大胆に省略する。
 4ヶ月に1回の発行なので日時をそれほど詳しく記述する必要もない。
 新聞の一報の冒頭部分には原因のくだりが出てこないが、
 大気圏に突入する際の摩擦熱について説明しないと、
 空中分解して炎上するという衝撃的な事故がよく分からない。

【引用終わり】

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 知的障がい者にもわかりやすい記事。
 そのためには、より具体的、目に見える表現が必要だ。
 「ステージ」は、世の中でみんなが話題にする事件・事故、社会的問題を取り上げる。
 上記のスペースシャトル「コロンビア」の事故は、事故原因を含めての記事にしている。
 ただ単なる事実の記事だけでは、スペースシャトルが地球帰還時には、すごい危険が常に伴っていることがわからないと判断したためだ。
 わかりやすいといっても、何を省略して、何を付け加え、どう書き換えるか。
 単純な作業でない。
 こうした作業に携わる専門のリライターをもっと養成する必要がある。
 (ケー)


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