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山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

民間支援団体による障がい者支援

2013年01月18日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月18日(金)もその続き。
 その第41回目となる。

 障がい者等が活動している民間支援団体は、災害復興に際して障がい者のニーズに即した支援がなされた。
 しかし、人的不足、財源難といったこともあって、継続支援が困難といった次のような報告がある。  

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム「震災と障害者」

<2> 障害者団体の取組例(推進会議の検討から)

障害者団体としての現地支援取組報告

(JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センター白石清春氏)

4.復興にむけた障害者支援の在り方について

•個別生活支援について

•民間支援団体による継続的支援の有効性と限界

 JDF として被災地障がい者支援センターふくしまは活動してきている。
 障がい者支援は障がい者自らがおこなうべきである。
 障がい者の苦しみや悩みは障がいを持つ者が一番理解している。

 民間支援団体は財政的基盤が弱い上に人的支援もままならない面がある。
 そういう意味では継続的支援を行っていくには限界が見えてくる。

 障がい者等が活動している民間支援団体に対して
 国や地方自治体からの財政的支援をおこなっていく必要がある。

•行政福祉サービスの継続と新規ニーズへの対応

 大震災を経験した行政は体力的に弱まっている。
 行政福祉サービスの継続がなかなかできない状況におかれている。
 そのような行政の支援を国が率先しておこなわなければならない。
 新規ニーズへの対応も臨機応変におこなえるよう
 国として積極的に支援をおこなうこと。

•福祉事業者への支援

 被災地障がい者支援センターふくしまとして
 南相馬市の事業所を中心にボランティアさんたちを派遣して、
 避難のために不足しているその事業所の職員の補佐をしている。
 しかしこのような状態は長続きしない。
 災害で職員の数が減った事業所に対して
 何らかの支援をおこなっていく必要があるだろう。

【引用終わり】

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 被災地の障がい者支援には、障がい者等が活動している民間支援団体がきめ細かい対応をしてきて喜ばれている。
 しかし、十分カバーできているかというと不満は残る。
 人、物、金がそろってやっているわけでない。
 そうした不十分な条件にありながら、民間支援団体は精一杯の活動を継続してきた。
 ただ、今後も同様の支援ができるかというと、難しい。
 民間支援団体もぎりぎり限界にきているのが実情である。
 被災地の復興にむけた取り組みを道半ばで放り出すわけにいかない。
 民間支援団体に対する公的な財政的補助が求められている。
 (ケー)


復興にむけた障がい者支援=住居の確保

2013年01月17日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月17日(木)もその続き。
 その第40回目となる。

 18年前の今日、阪神淡路大震災があった日。
 この地震列島に住む私たちにとって、防災・減災を念頭に置いた生活が必要だ。

 さて、東日本大震災の復興にむけた障がい者支援において、住居の確保はどのようであったか。
 さらに、どのようであるべきかについて、次のような指摘がある。  

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム「震災と障害者」

<2> 障害者団体の取組例(推進会議の検討から)

障害者団体としての現地支援取組報告

(JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センター白石清春氏)

4.復興にむけた障害者支援の在り方について

•住居の確保について

•仮設住宅について(バリアフリー住宅の建設、住宅改修について)

 被災地障がい者支援センターふくしまでは
 福島県内に建設された仮設住宅を回って
 被災障がい者がどこに住んでいるのかを調査してきた。
 私の見た限りにおいて車いすのまま生活できるような仮設住宅は無かった。

 仮設住宅にはところどころにスロープの設置してある住宅があった。
 しかしその住宅をノックして居住者を見ると
 障がい者でなく普通の人が住んでいるというミスマッチが多く見られた。

 仮設住宅は辺鄙なところにあって
 障がい者の移動が難しいという問題がある。

 土地の空いている所に仮設住宅は建設されるのであろうが、
 福島市や伊達市あるいは郡山市のような
 放射線量が高い地域に仮設住宅を建てるのはいかがなものであろうか。

 以上のような問題を踏まえ、
 今後仮設住宅から復興支援住宅等へと移り、
 生活していくことを考えるなら、
 復興のプロセスの中に障がい者を含め、
 被災者たちが安心して住める
 ユニバーサル化した住居を建設していかなければならない。

 また、今後の方向性として、
 仮設住宅の規格自体を
 ユニバーサルにしていくことを考えていく必要があるのではないか。

•みなし仮設住宅について

 福島県ではみなし仮設住宅のことを
 借り上げ住宅と呼んでいるが、
 借り上げ住宅がどこにあるか、
 どこに障がい者が住んでいるのか全く見えない状況がある。

 借り上げ住宅は民間の賃貸住宅を利用したものが多いので、
 重度の身体障がい者にとっては住みにくい構造だと思う。
 どこまで改修ができているのか情報は無い。

 民間賃貸住宅の大家さんの了解を得て、
 国が率先して住宅の改修の際の
 資金面の全面的援助をおこなうことが必要ではないか。

【引用終わり】

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 今後、仮設住宅から復興支援住宅へと移っていくことを考慮しなければならない。
 障がい者の意見が反映されるような施策こそ求められる。
 障がい者にとって安心して住める住まいの確保をどうするか。
 元どおりの場所に住むことが困難だとすれば、どのようにしていけばよいのか。
 場所選び、資金的援助等、課題は山積している。
 (ケー)


災害直後における障がい者支援

2013年01月16日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月16日(水)もその続き。
 その第39回目となる。

 災害直後の障がい者支援がどのような状況であったか、次の報告は貴重である。  

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム「震災と障害者」

<2> 障害者団体の取組例(推進会議の検討から)

障害者団体としての現地支援取組報告

(JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センター白石清春氏)

3.災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について

•避難所の在り方について

•一般の避難所の課題

 一般避難所は学校の体育館のような所が多く、入り口から段差がある。
 床にマットを敷いてあるだけなので、
 車いすに乗った者が横になって寝ることが出来ないという問題があった。
 また、避難所には車いす対応のトイレもお風呂もない。
 集団生活が出来ない発達障がい者が、
 避難所に入ることが出来ずに
 避難所の駐車場に車を停めて
 家族とともに避難生活をしているケースがあった。

•福祉避難所の課題

 福島県には情報としていくつかの福祉避難所があるとのことだったが、
 どこにあってどのような障がい者が
 避難しているか全く分からない状況であった。

 郡山市では、地震によって重度の身体障がい者の家の荷物が散乱したり、
 家が半壊したりでとても生活できる状態ではなかったので、
 一般避難所になっていた障がい者福祉センターを
 障がい者用避難所に活用して欲しいと郡山市にお願いした結果、
 福祉避難所として使用できるようになったという経緯がある。

 福祉避難所という名称はいかがなものであろうか?

•緊急避難時における障害者支援について

•避難所における情報提供、支援物資の提供

 被災地障がい者支援センターふくしまでは、
 福島県内各地の避難所を回って
 被災障がい者の安否状況と支援ニーズを聞きに行った。
 しかし、避難所の多くに被災障がい者の姿があまり見られなかった。
 一般避難所ではとても避難生活ができないと思って、
 避難所に避難する障がい者が少なかったのではないか。

 被災地障がい者支援センターふくしまでは
 避難所を回ってその掲示板に被災障がい者を支援します、
 というポスターを貼っていった。
 その甲斐があって被災地障がい者支援センターふくしまに
 電話による問い合わせがある。

 避難所においては個人的に物資の提供はできなかった。
 集団での避難生活のため、
 支援物資は全ての避難者に行き渡る支援物資でなければならなかった。

 避難所で車いすのまま過ごしていた障がい者がいたので、
 避難所にベッドを置かせてくれと行政に伝えたことがあった。
 何週間もお風呂に入れない障がい者がいたので
 被災地障がい者支援センターふくしまの関係者が
 銭湯まで一緒に連れて行くこともあった。

•在宅避難者における情報提供、支援物資の提供など

 相馬市、南相馬市、いわき市の障がい者関係の事業を再開している事業所に
 支援物資の拠点になってもらって、
 そこに支援物資を運んで行った。
 事業所から各利用者や地域に住んでいる障がい者に
 支援物資を分配していく方策をとった。

 飯舘村が計画的避難区域になった時、
 飯舘村の行政から重度の身体障がい者が
 入所施設への避難ではなく地域での避難を望んでいるという情報が入る。
 被災地障がい者支援センターふくしまとして、
 飯舘村の、地域での避難を望んでいる障がい者の自宅に何回も訪問して、
 福島市の自立生活センターが運営するアパートに入居させることができた。

 放射線被害で恐怖心を持っていた障がい者を県外に避難させることも行った。

 私たちの古くからの知り合いで阪神・淡路大震災を経験した障がい者の力によって
 兵庫県の西宮市に2名の障がい者が避難していく。

•緊急避難時の相談支援体制について

<1>福島県の双相地区の障がい者の相談支援をおこなっている事業所が、
 事業所ごと他県や県内に避難するという事態となって、
 同地区の障がい者の相談体制がうまく回らない状況になる。
 被災地障がい者支援センターふくしまとして、
 被災障がい者に対する相談支援体制がとれるようにしてほしいと
 福島県に要望していった結果、
 障がい者関係団体に委託された形で
 被災地障がい者支援センターふくしまに
 福島県の中核になる相談支援員を配置することができ、
 避難された障がい者のための相談体制を築くことができた。

<2>南相馬市では、真っ先に事業を再開した生活介護事業所が中心となって、
 南相馬市の障がい者の相談を一手に引き受けていたが、
 元々相談事業所ではなく、また職員の多くが避難した中で
 生活介護事業の対応もしなければならなかったため、非常に大変な状況であった。

【引用終わり】

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 大震災直後において、一般の人たちに対する支援が優先されがちだった。
 そのため、障がい者支援は様々な問題が生じた。
 それでも担当者は臨機応変に対応してくれたお陰で、それなりの成果をあげることができた。
 しかし、今後いざとなったら、今まで以上のよりきめ細かな対策を準備することが求められる。
 各地域において、被災地障がい者支援センターふくしまの報告を下に、震災対策を策定することである。
 (ケー)


平常時から福祉関係者と行政との連携・交流が必要

2013年01月15日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月15日(火)もその続き。
 その第38回目となる。

大災害を想定しての障がい者支援のあり方が十分検討されてこなかった。
 そうした課題が、以下に報告されている。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム「震災と障害者」

<2> 障害者団体の取組例(推進会議の検討から)

障害者団体としての現地支援取組報告

(JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センター白石清春氏)

2.安否の確認と支援ニーズの把握について

<1> 福島県を見る限り、
 行政主導で障がい者の安否確認は
 なかなか思うように行われてこなかったのではないか。

<2> 各地の行政と民生委員、
 町内会との連携がうまく行っていなかったのではないか。

<3> 福島県は原発事故による特殊性があり、
 また各市町村の行政全体が避難対象になってしまったということもあり
 障がい者の安否確認まで手が届かなかったこともあったのではないか。

<4> 各被災地では障がい者の個別ニーズに関しては把握してなかったのではないか。

•安否の確認と支援ニーズの把握の責任主体とその体制について

 安否の確認と支援ニーズの把握の責任主体は地方自治体にあるのではないか。

 しかし、大災害の際は地方自治体の職員体制だけでは限界がある。
 地方自治体と民間団体や民生委員、町内会等とが連携して
 障がい者の安否確認や支援ニーズの把握を行っていく必要がある。

•福祉関係者による確認と行政との連携について

•情報開示について

 震災に関わらず、
 平常時から福祉関係者と行政との連携・交流を図っていくべきである。
 行政と福祉関係者(障がい者団体)との間で関係性を築いていき、
 絶対の信頼関係を持つ中で情報開示について実現していく方向を模索する。

•入所、通所、ホームヘルプ等、福祉サービス利用者の安否確認について

 福祉サービス利用者の安否確認については、
 そのサービスを提供している事業所で
 責任を持って障がい者の安否確認をする必要がある。

 ただし、事業所そのものが災害で避難せざるを得ない状況がある場合には、
 その事業所と関係のある事業所が代わって
 安否確認をしていくようなシステムを作っていく。
 または行政と事業所が連携していく必要がある。

•上記サービスを利用していない障がい者の安否確認について

 行政と民間事業所、あるいは民生委員、町内会等の連携によって
 障がい者の安否確認を迅速に行える状態を作っていく必要があるだろう。

 そのためには民生委員等のあり方をもっと研究していく必要がある。

【引用終わり】

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 障がい者の安否確認、民生委員や町内会等との連携といった基本的なことを、日頃から行っていることが重要だ。
 日常的なつながりがあってはじめて、いざという時の障がい者支援となる。
 育成会も地域における日頃の継続的活動がものをいう。
 地域活動に積極的に参加することで、育成会の顔が見えるようにすることだ。
 そうした地道な活動が、いざという時の支援につながる。
 (ケー)


身元確認には災害時要援護者名簿の開示が必須

2013年01月14日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月14日(月)=成人の日もその続き。
 その第37回目となる。

 JDF(日本障害フォーラム)が東日本大震災の支援するに際して、災害時要援護者名簿の開示がどこの自治体においてもなされなかったことを問題視している。
 以下がその報告である。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム「震災と障害者」

<2> 障害者団体の取組例(推進会議の検討から)

障害者団体としての現地支援取組報告

(JDF(日本障害フォーラム)ふくしま支援センター白石清春氏)

1.「災害時要援護者」に対する取り組みについて

•現行の取り組みの実効性について

 東日本大震災が起き、
 いち早く被災地障がい者支援センターふくしまを立ち上げて、
 福島県と被災市町村に対して
 災害時要援護者名簿の開示を強く要望したが、
 個人情報保護の壁が厚くて、
 情報提供はなされなかった。

 福島県でも特に被害が大きく、
 緊急時避難準備区域に指定された南相馬市で、
 避難できずに市内に残り、
 困っている障がい者の身元確認をしなければならないという強い使命感のもと、
 南相馬市に障がい者の名簿開示を要求していく。

 南相馬市としても、
 市内に残っている障がい者の、
 緊急時の避難対策を策定する必要があるとの判断があり、
 私たちと目的が一致して名簿開示に踏み切る。

 この大震災で名簿開示に応じたのは、
 福島県の中では唯一南相馬市だけであった。

 各県の行政では、
 この大震災の災害対策に追われて、
 障がい者の対応まで手が届かないという現実があったと思うが、
 もう少し要援護者の名簿開示における実効性を持つ行動があれば良かった。

•避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携について

 今まで見る限り福島県では
 障がい者団体を含めた形で
 避難計画の策定や訓練への参画、連携は行われていない。

 災害が起こった場合に、
 どうしても障がい者は後回しにされてしまう状況がある。
 逃げ遅れる障がい者などに重点をおいた避難計画の策定を行わなければならない。
 今後は国や各地方自治体において、
 障がい者団体を加えた避難計画策定委員会を組織して
 災害対策をきめこまかに策定していく必要があるだろう。

•要援護者名簿の作成について(対象者の範囲の設定、プライバシー保護等)

 この大震災を経験して、
 要援護者名簿は作成していく必要があると強く認識した。

 身体介助を必要とする要援護者は無論であるが、
 身体介助を必要としない知的障がい者、精神障がい者、その他
 障害者手帳を持ち合わせていない
ボーダーラインの者も付け加えておく必要があると思う。

 未曾有の大震災は国家の危機的状況であり、
 国民の救助が優先されるべきものなので、
 個人的なプライバシーの保護を唱えている場合ではないと思う。

【引用終わり】

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 大震災という緊急事態においても、個人情報保護法を楯に「災害時要援護者名簿」の開示をしようとしなかった。
 障がい者の対応が後まわしになったところが多い。
 この反省をもとに、障がい者を含めてのきめ細かい災害対策を、今後、どこの市町村においても策定する必要がある。(ケー)


障がい者にとって、復興とは

2013年01月13日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月13日(日)もその続き。
 その第36回目となる。

 南相馬市の障害者にとって、復興とは物的・精神的側面を含め震災前と同じような状況になり更に改善されることであると、次のように報告している。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム 「震災と障害者」障がい者制度改革推進会議の検討から

行政(市町村)の立場からの報告

(南相馬市の取組報告南相馬市健康福祉部長西浦武義氏)

4.復興にむけた障害者支援の在り方について

•住居の確保について

•仮設住宅について(バリアフリー住宅の建設、住宅改修について)

 今回の震災における南相馬市に配備された仮設住宅は
 バリアフリー仕様のものが無く、
 入り口の段差の解消等はスロープ等の設置への苦情があったことから後日対応した。
 バリアフリー仕様の仮設住宅を多く用意することが必要であると思う。

•みなし仮設住宅について

 借上げ住宅等については、
 貸主の同意があれば日常生活用具給付事業で住宅改修を認めている。
 多くの方がみなし借り上げ住宅を利用している。

 南相馬市では現在民間借り上げ住宅4,308戸仮設住宅3,060戸となっている。

•個別生活支援について

•民間支援団体による継続的支援の有効性と限界

 今回の震災ではJDF 被災地障害者支援センターふくしま等の団体により
 支援いただき大きな成果をあげることができたが、
 スタッフはそれぞれの団体に所属するため、
 長期の支援には限界がある。
 集めたデータの管理と活用が課題となる。
 又JDF の存在すら知らない状況であり平常時から周知が必要となっている。

•行政福祉サービスの継続と新規ニーズへの対応

 特に災害時において、
 命に関わることから障害福祉サービス等の継続的支援が重要である。
 今回の震災では、
 震災直後の一時期を除いて、
 継続できたものと思っている。
 今回災害時特例として制度化された
 利用者負担金の免除等新規ニーズについても対応致した。

•福祉事業者への支援

 福祉事業者に対しては、
 原発事故により施設の除染が必要になったため、
 市の除染計画に基づき除染を行なうことになっており、
 また、福祉事業者からの相談に応じて対応しているが介護スタッフがいない、
 休業により資金ショートがおきている等課題がある。

•就業支援について

 本市には国のハローワーク、
 県の相双障害者就労支援センターがあり、
 この機関により就業支援を行っております。
 また、本市の地域自立支援協議会に設置する就労支援部会に、
 ハローワーク、相双障害者就労支援センター、障害者施設等の職員が集い、
 障害者の就労に向け検討を行なっています。

•相談支援体制の充実について

 本市には2ヶ所の指定相談支援事業所があります。
 今回の震災で相談件数が増えているため、
 1ヶ所増設し3カ所で対応する予定となっている。

•復興に向けた課題について

•何が障害者にとっての復興か

 障害者にとって、
 物的・精神的側面を含め震災前と同じような状況になり
 更に改善されることが復興である。
 南相馬市は復興に向けて計画を策定しているが
 地域に居住する障害者にとっては、
 地域での支え合い体制が必要である。
 又早急な入所施設、通所施設及び医療機関の再開が復興と連動している。

•復興計画の策定、実施に向けた障害者団体の参画について

 復興計画の策定にあたっては、
 障害者団体の参画が必要であるが、
 今回の計画策定は各種団体の代表者が参画しているものの、
 残念ながら当事者や障害団体の構成員は皆無の中で策定しました。
 今後の計画策定にあたっては、
 障害者団体や当事者の参画が必須である。

【引用終わり】

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 復興に向けて障がい者支援には多くの課題が山積している。
 住宅を確保し、いかに整備するか。
 民間支援団体といかに連携するか。
 災害時における障がい福祉サービスはいかにあるべきか。
 また、福祉事業者、就業支援、相談支援体制の充実をいかにするか。
 復興計画の策定には、障がい当時者も参画させるようにする。
 こういったことが、的確にスピーディーに実施されることが求められる。
 こうしたことにより、復興が成し遂げられるのである。
 (ケー)


福祉避難所の課題

2013年01月12日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月12日(土)もその続き。
 その第35回目となる。

東日本大震災時において、福祉避難所の制度がないところが多かった。
 そのため、障がい者にとって避難生活は厳しいものがあった。
 その実情について、南相馬市の報告が次に記されている。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム 「震災と障害者」障がい者制度改革推進会議の検討から

行政(市町村)の立場からの報告

(南相馬市の取組報告南相馬市健康福祉部長西浦武義氏)

3.災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について

•避難所の在り方について

•一般の避難所の課題

 一次避難所は、学校の体育館等がほとんどであり、
 身体障害者用のトイレがない所や段差があり、
 バリアフリーとなっておらず障害を持っている方に
 対応できない避難所が多く課題となった。

•福祉避難所の課題

 南相馬市では、
 障害者や高齢者に対応できる福祉避難所を設けていなかったことから
 今後福祉避難所を設けることが課題となっている。

 又福島県としても制度がなかったことから
 県内避難者が体育館等に避難を余儀なくされ避難者が適応できなく
 自宅や親戚等に移動している状況にあった。
 今回の災害により国、県等が主体として
 広域的に制度として福祉避難所の指定が必要である。

•緊急避難時における障害者支援について

•避難所における情報提供、支援物資の提供

 避難所にテレビ・インターネット環境を設置するとともに、
 広報等各種情報紙等により情報提供を行なった。
 また、食事の提供や布団等の生活支援物資の提供を行なった。

•在宅避難者における情報提供、支援物資の提供

 在宅避難者に対しては南相馬市FM 局を設置し
 災害関連情報を提供するとともに、
 広報等各種情報紙等により情報提供を行なった。
 また、在宅者には、不定期ではあるが米等の生活支援物資の提供を行なった。

 一般には、公共施設において定期的に物資の提供を行ったが、
 障害者や車のない市民に対しては、個別に支援を行った。

•緊急避難時の相談支援体制について

 本市では、市の窓口に保健師を配置し、避難者からの相談にあたっており、
 更に要請があったところについては、
 保健センター保健師や社会福祉協議会の介護職が
 チームを作り巡回訪問等を実施し相談や支援を行った。

 また、以前から2ヶ所の指定相談支援事業所に相談業務を委託し
 緊急避難時を含め相談体制をとっている。

•その他

 初期の在宅者による周知は、
 防災無線放送や広報車による放送により行ったが
 全員に徹底していなかったことや、
 放射線被害から予防するため窓を閉め切っており、
 情報が行き届かない多くの市民がいた。

【引用終わり】

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 大災害時における福祉避難所の設置は、是が非でも必要である。
 障がい者には、バリアフリーが施された場所でないと多くの困難を生ずる。
 知的障がい者だと、体育館等の広い場所への避難には抵抗がある人も多い。
 部屋数が多く、バリアフリーに配慮された、厨房等の設備もある場所を福祉避難所として指定されていればいい。
 緊急時には直ちに使用できるようにしたい。
 (ケー)


災害時の安否確認

2013年01月11日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月11日(金)もその続き。
 その第34回目となる。

 東日本大震災時、南相馬市の障がい者に関する安否確認がどのようだったか、次に述べられている。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム 「震災と障害者」障がい者制度改革推進会議の検討から

行政(市町村)の立場からの報告

(南相馬市の取組報告南相馬市健康福祉部長西浦武義氏)

2.安否の確認と支援ニーズの把握について

•安否の確認と支援ニーズの把握の責任主体とその体制について

 災害時における安否の確認や支援ニーズの把握は、
 市民の生命と安全を守ることから行政の責任と考える。
 しかし実施にあっては、
 障害団体や事業所等と連携し
 速やかに行動する体制を構築していくことが必要である。

•福祉関係者による確認と行政との連携について

•情報開示について

 NPO 法人さぽーとセンターぴあ、
 JDF(日本障害フォーラム)被災地障害者支援センター福島から開示要望があり、
 「緊急やむを得ないため開示ができないか」という観点から
 個人情報の開示について検討した結果、
 南相馬市個人情報保護条例の特例を適用し
 「障害者の生命、身体及び財産」を守るため
 開示することが適当との判断により開示した。

•入所、通所、ホームヘルプ等、福祉サービス利用者の安否確認について

 入所、通所サービス利用者等の障害福祉サービス利用者については、
 それぞれの事業所で確認を行ない避難を行ったが、
 ホームヘルプ等利用者等個人利用者や在宅障害者については当初確認できなかった。

•上記サービスを利用していない障害者の安否確認について

 サービスを利用していない障害者のうち、
 身体・知的障害者については情報開示を行い
 NPO 法人さぽーとセンターぴあ、JDF 被災地障害者支援センター福島の
 支援協力により590名の安否確認を行なった。

 精神障害者については、
 精神通院医療受給者を対象に
 市や県の保健師が精神科治療の継続がなされているかどうかという切り口で、
 235人(27.7%)対象に安否確認をおこなった。

【引用終わり】

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 大災害時における障がい者たちの安否確認は、行政の責任大きいとの認識があっても、不十分であったこと隠しようない。
 この教訓を下に、今後しっかりした体制を構築しなければならない。
 次の観点による準備が必要である。

 1 障害団体や事業所等と連携を図る
 2 緊急やむを得ない時の個人情報の開示
 3 在宅等によって所在を把握しにくい障がい者の安否確認のあり方

 隣近所の常日ごろからのおつき合いが大事である。それは行政だけに任せる話でない。地域の人々と協力して築き上げることである。
 (ケー)


「災害時要援護者」に対する取り組みの問題

2013年01月10日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月10日(木)もその続き。
 その第33回目となる。

 東日本大震災で被災した南相馬市の取組が報告されている。
 災害時要援護者に対する支援が不十分であったと、次のような報告である。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム 「震災と障害者」障がい者制度改革推進会議の検討から

行政(市町村)の立場からの報告

(南相馬市の取組報告南相馬市健康福祉部長西浦武義氏)

1.「災害時要援護者」に対する取り組みについて

•現行の取り組みの実効性について

 南相馬市の「災害時要援護者名簿」は、
 高齢者・障害者(要介護度3以上、
 身体障害者手帳1~2級、療育手帳A)を対象に、
 個人情報について同意の得られた方(66.94%)を対象に策定し、
 4,280人の登録がある。

 この計画は、民生委員、区長、消防団等に配布してあるが、
 今回の震災では地域全員の市民が避難となったため、機能しなかった。

•避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携について

 南相馬市防災計画が策定されており計画により
 毎年南相馬市防災訓練が実施されているが
 避難計画策定や訓練には障害者団体に対しての呼びかけは行っておらず、
 障害者団体との連携はなかったのが現状である。

•要援護者名簿の作成について(対象者の範囲の設定、プライバシー保護等)

 対象者の範囲については、目的外利用も考慮し、
 高齢者・障害者等の範囲としプライバシー保護については、
 平時は、個人情報保護法等により個人情報が強く守られているので、
 現行法体系の中では、同意の得られた方のみとした。
 しかし、今回の災害を受けて、
 高齢者や障害者等要援護者全員を対象とした要援護者名簿の必要性を強く感じる。

•個別支援計画の在り方について

 災害時においては、安否確認が必要であるが、
 確認時に個別支援の必要な方も出てきており、
 このことからあらかじめ個別支援計画の策定が必要である。
 今回のJDF(日本障害フォーラム)による調査により得られた、
 支援の必要な方の情報については、
 南相馬市で委託する相談支援事業者等と情報を共有し対応する考えである。

【引用終わり】

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 東日本大震災のような大規模災害では、今までの準備不足が露呈したと言っていい。
 いつ起こるともわからない自然災害に、何をどうすべきか平時には想像できなかったというのが本音である。
 また、想像できてもいざ実行となると資金がない、面倒だ、そこまでする価値があるかといった様々な抵抗に遭う。
 結局、多数がそうした準備に賛成しないことには、実施されない。
 住民たちが同意しないことには、防災準備ができなかったとも言える。
 誰もが油断していたと言うことにつきる。
 そうしたことは、多少の無駄や犠牲を覚悟するしかない。
 また、これからも起こらないと限らない。
 まだ余震におびえている。東南海大地震の予測もされている。
 今回の大震災を教訓に災害対策をしておくべきである。
 南相馬市の報告は参考になる。
(ケー)


「障がい者制度改革推進会議」における災害支援の検討

2013年01月08日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月8日(火)もその続き。
 その第32回目となる。

 「障がい者制度改革推進会議」では、東日本大震災に関する障がい者支援のあり方を検討している。
 以下にその経緯が記されている。

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

コラム 「震災と障害者」障がい者制度改革推進会議の検討から

 内閣に設置された「障がい者制度改革推進本部」の下で
 開催された「障がい者制度改革推進会議」は、
 平成22年1月から障害当事者を中心として
 今後の障害者施策の推進について精力的に検討を行いましたが、
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に関しては、
 平成23年5月23日と24年1月23日に
 「災害と障害者」をテーマとして開催し、
 状況の把握や障害者支援にあたった
 行政(市)、障害者団体、災害における障害者支援を
 以前から行っていた団体のそれぞれ中心的な担当者から
 直接ヒアリングを行いました。
 また、推進会議構成員は、被災地を視察し、実地調査を行いました。

【引用終わり】

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 東日本大震災において、多くの人的・物的災害に見舞われた。
 特に、災害弱者にとってそれは大きな犠牲を強いられることになった。
 障がい者の大震災による死亡率は、健常者の2倍だったと言われている。
 今後、この教訓を災害対策として生かす取組を続けなければならない。
 行政だよりというより、私たちの身近な地域における災害対策である。
 まず、自助努力が求められている。
 そして、地域のつながりをしっかりするといった共助が重要となる。
 さらに、そうした仕組みがうまくいくように資金援助等の公助が適切適時に行ってもらうことである。
 (ケー)


地方障害者計画の義務化

2013年01月07日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月7日(月)もその続き。
 その第31回目となる。

 障害者計画の策定に関して、市町村単位においても義務化された。
 それについて、以下にその詳細が述べられている。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

【4】地方障害者計画等

 平成16年6月の「障害者基本法」の改正により、
 これまで努力義務であった都道府県及び市町村における障害者計画の策定が、
 都道府県については16年の改正法の公布の日から、
 市町村については19年4月から義務化された。

(1)地方障害者計画の位置づけ等

 地方障害者計画は、
 「障害者基本法に基づく障害者のための施策に関する
 基本的な事項を定める中長期の計画」であって、
 障害のある人に関する施策分野全般にわたるものであるのに対し、
 「障害福祉計画」は、
 3年を1期として定める
 「障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス等の確保に関する計画」であって、
 主として、地方障害者計画に盛り込まれた
 「生活支援」の事項のうちの福祉サービスに関する
 実施計画的なものと位置づけられている。

 なお、「障害者自立支援法」においては、
 都道府県及び市町村は障害福祉計画を策定することが義務づけられ、
 障害福祉計画を策定するときは、
 「障害者基本法」に規定する
 地方障害者計画等の計画と調和が
 保たれるよう策定することが義務づけられている。

【引用終わり】

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 以上のように、市町村における障害者計画と障害福祉計画は、計画内容、計画期間が異なるものである。

1 地方障害者計画
 ○ 中長期の計画
 ○ 障害のある人に関する施策分野全般にわたるもの

2 地方障害福祉計画
 ○ 3年を1期と定める計画
 ○ 福祉サービスに関する実施計画的なもの

 こうした計画を策定するにあたって、市町村の実情に応ずるのは当然としても、「障害者基本法」をベースにすることになっている。
 (ケー)


障害者基本計画の後期5か年計画の策定

2013年01月06日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月6日(日)もその続き。
 その第30回目となる。

 障害者基本計画の後期5か年計画の策定では、多方面わたる関係者からの意見聴取を行った。
 そして、「中央障害者施策推進協議会」の審議等を経て、決定している。
 その経過は次のとおり。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

【3】障害者基本計画、重点施策実施5か年計画

2 重点施策実施5か年計画

 また、同基本計画の「IV推進体制等」において、
 「基本計画に基づく諸施策の着実な推進を図るため、
 具体的な目標及びその達成期間を定めた重点施策実施計画を策定し実施する」
 こととされており、
 これを踏まえ、前期及び後期の「重点施策実施5か年計画」が決定されている。

 同基本計画の後期に当たる
 平成20年度から24年度までを計画期間とする「後期5か年計画」は、
 19年に障害当事者、関係団体、学識経験者等
 延べ120の団体・個人からの意見聴取や
 「中央障害者施策推進協議会」の審議等を経て、同年12月に決定された。

 この後期5か年計画は、
 自立と共生の理念の下に、
 「共生社会」の実現に真に寄与するようにするため、

<1> 地域での自立生活を基本に、
 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の障害の特性に応じ、
 障害者のライフサイクルの全段階を通じた
 切れ目のない総合的な利用者本位の支援を行うこと

<2> 障害者の地域における自立や社会参加に係る障壁を除くための
 誰もが快適で利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備や、
 IT(情報通信技術)の活用等による障害者への情報提供の充実等を図ること

<3> 「障害者自立支援法」の抜本的な見直しの検討と
 その結果を踏まえた計画の必要な見直しを行うこと

<4> 障害者権利条約の可能な限り
 早期の締結を目指しての必要な国内法令の整備を図ること

 の4点に重点を置いて施策展開を図ることとしており、
 平成20年度からの5年間に重点的に取り組むべき課題について、
 120の施策項目並びに新規42項目を含む
 57の数値目標及びその達成期間等を定めている。
 後期5か年計画の進ちょく状況は、
 おおむね毎年度、「中央障害者施策推進協議会」に報告がなされている。

【引用終わり】

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 以上、障害者基本計画の後期5か年計画では、自立と共生の理念の下、「共生社会」の実現に寄与することを目指した。
 その重点施策として次の4つを掲げている。

 1 切れ目のない総合的な利用者本位の支援

 2 ユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備

 3 「障害者自立支援法」の抜本的な見直し

 4 障害者権利条約の早期の締結を目指しての国内法令の整備

 こうした内容がどの程度実現しているかは、本白書で報告している。
 (ケー)


15年度から24年度までの障害者基本計画

2013年01月05日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月5日(土)もその続き。
 その第29回目となる。

 「障害者基本法」第11条には、国による基本計画の策定が義務づけられている。
 それに則って、10年間の長期計画が定められた。
 それが以下に述べられている。 

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

【3】障害者基本計画、重点施策実施5か年計画

1 障害者基本計画

 「障害者基本法」第11条は、
 国に、
 障害のある人のための施策に関する基本的な計画を策定することを義務づけている。

 現行の同基本計画は、
 平成14年12月に閣議決定され、
 15年度から24年度までの10年間を計画期間としている。
 「ノーマライゼーション」や「リハビリテーション」といった
 「新長期計画」の理念を継承するとともに、
 国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の下に、
 障害のある人が、
 社会の対等な構成員として人権を尊重され、
 自己選択と自己決定の下にあらゆる活動に参加・参画できる社会の実現を目指し、
 計画期間中に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めている。

【引用終わり】

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 平成24年度は、10年間にわたる「障害者基本計画」の最終年度となる。
 今までの「共生社会」という理念に基づく、障害者施策をさらに継承する新たな計画が策定することになる。
 (ケー)


障害者制度改革の画期的時期

2013年01月04日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月4日(金)もその続き。
 その第28回目となる。

 障がい者施策の中心となる本部の設置や、推進会議の開催によって、大きく制度改革がなされたことは画期的であった。
 次にそうした流れを説明している。

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

【1】障害者制度改革の動向

5 障害者に係る施策の経緯

(10)本部及び推進会議

 平成21年12月に「本部」が設置され、
 その下で障害当事者を中心とする「推進会議」が
 22年1月から開催され、
 第一次、第二次意見を提出、
 それを踏まえた障害者基本法改正、
 総合福祉部会での提言の提出がなされるなど、
 今後の障害者施策を展望する上で
 平成21年末から23年にかけては、画期的な時期となった。

【引用終わり】

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 障害者制度改革に向けた取組が矢継ぎ早になされてきた。
 なかなかその内容がわからなくて、どんな方向にいくのか不安であった。
 しかし、障害者白書を良く読むと、その内容はよく練られたものであり、障害当事者の意見を反映している。
 今後、障がい者一人一人にとって、うまく運用できる制度にしていかなければならない。
 (ケー)


障がい者施策にかかる国際的取組

2013年01月03日 | 障害者施策
 「障害者白書」(平成24年概要版)をていねいに読もうという目的で、白書の中味を紹介してきた。
 本日、平成25年(2013年)1月3日(木)もその続き。
 その第27回目となる。

 障がい者施策の国際的取組として、アジア太平洋地域における会合が持たれている。

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【引用始め】

http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/gaiyou/honbun/g1.html

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 「施策の総合的取組と障害者の状況」

【1】障害者制度改革の動向

5 障害者に係る施策の経緯

(9)国際的取組

 国際的な取組として平成20年5月には、
 「アジア太平洋障害者の十年」(2003~2012年)の行動計画である
 「びわこミレニアム・フレームワーク(BMF)」に係る後期5年間の行動指針として、
 「びわこプラスファイブ」が
 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)において採択された。

 平成23年度においては、
 「アジア太平洋障害者の十年」(2003~2012年)の終了を見据え、
 平成25年以降のアジア太平洋地域の取組について、
 上記ESCAP において関係各国代表による会合が持たれ、
 次期「十年」について検討が進んでいる。
 24年10月~11月には、
 韓国・仁川(インチョン)において、会合が持たれ、
 次期「十年」について討議と決定が行われる予定である。

【引用終わり】

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 障がい者施策について、国内のみでなく国際的な取組による協力も継続的に行われてきている。
 アジア太平洋地域における障がい者施策のレベルアップにとって、意義ある活動である。
 そして、現在の「びわこミレニアム・フレームワーク」に代わるものとして新たな行動計画が採択された。
 それは、次の10年(2013~2022)の行動計画としての「仁川戦略」と呼ばれるものである。
(ケー)