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山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

#米沢養護学校の研究→自立によって今を豊かにする

2012年04月08日 | 特別支援教育
 山形県立米沢養護学校(山形県米沢市太田町4-1-102)編「平成23年度 研究紀要第35集~研究概要編~」、「平成23年度 研究紀要第35集~授業実践編~」(平成24年3月31日刊)2分冊の冊子が届いた。

 表紙は、米沢養護学校の生徒たちが、すのこづくり、焼き物成形、石けんづくり、物品販売に取り組んでいる4枚の写真で飾ってある。
 それぞれ仕事に熱心な取組をしているベストショットである。

 研究主題「自立を支援する学校生活の創造」
 副題は、「豊かな学校生活を実現する、『できる状況づくり』の追求」

 ページを1枚ずつめくっていくと、単なる授業づくりと言うより、一人ひとりに対する学校生活全体を充実したものにしようとする熱い姿勢が伝わってくる。

 その理論的な支えになっている講師(名古屋恒彦=岩手大学教授)のことばが印象的だ。次に引用する。

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【引用始め】

 講師 名古屋 恒彦氏(岩手大学教授) 山形県立米沢養護学校編「研究紀要第35集~授業実践編~」p.93より

 自立とは学校教育法第72条にある特別支援学校の規定において「自立を図るために」と明文化されている。一般的に自立とは「他の助けなしに一人で生きていける」という意味で用いられる。しかし、我々はこの辞書的な自立が正しくないことを知っている。もし、この辞書的な意味での自立を受け入れるのならば、寝たきりの児童生徒には自立は不可能である。かつて自立の意味は辞書的な自立の意味であったから就学猶予・免除があったのだ。

 ところが現在は学校教育法第72条に自立が書かれている。それは特別支援学校ではどの子も自立することができるという確信があるからである。当然、そこには寝たきりの方も含まれている。自立観が変わってきているということを法令からも理解できる。

 つまり人の支えがあってこそ人は自立した存在になれるということである。個人の能力だけではない。誰かに支えられている中でその人らしく生きる。課題を発見して指導するのではなく、米沢養護学校ではどう支援したらより良い姿になるだろうかということを目指した授業スタイルが確立されてきている。これは米沢養護学校の財産である。

 今日の自立は適切な支援条件下で自分の力や個性を最大限に発揮してなされる取り組みと言い換えることができる。支援は適切であることが大事で行き届きすぎると力や個性は発揮されない。また、支援はなるべくない方がいいとも言われるがこれは間違いである。支えがあるからさまざまな課題がクリアできる。もし課題をもっている子どもがいるとしたら、それは我々の支えが行き届いていないからである。行き届いた支えは間違いなく子どもを豊かに育てていく。

 作業学習をしていてつくづく思うのは、2種類の支えがあるということである。一つはいつまでもあっていい支え。それはユニバーサルデザインのように誰が使っても便利なものである。もう一つはその支えを使ったことによって良い姿になり、使っている本人にも必要なくなっていく支えである。こういう支えは外していく。つまり、支えというのはなくなった方がいいのではなくて、適切な支えが必要ということである。周囲の条件さえ整えば子どもたちは成長していく。その根幹には支えがあってこその自立であるという考えがある。

 自立は今を豊かにすることである。そのためには自分から自分でする楽しさがなくてはならない。受け身的な楽しさはあってもいいが、少なくとも日中活動と言うのは「する楽しさ」でなければならない。楽しければいいという考えは将来を奪うことになる。

【引用終わり】

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 「平成23年度 研究紀要第35集・授業実践編」(p.20~p.26)には、中学部の「クリスマスパーティーをしよう」という授業づくりの詳細が掲載されている。
 クリスマスツリー用の飾りづくりをするために、飾りにする紙づくりをメインとする作業中心の学習が展開されている。
 今までのうちわづくりなどで紙すきを経験してきた。その紙すきによる紙づくりから始めてクリスマスツリーを完成させようというのだ。
 生徒一人一人が「自分から」「自分で」活動する姿を追求する教師の意気込みが見える。
 実際の授業では、「1時間半休憩なしで活動に取り組む姿が見られ、驚いた」(授業実践編p.88)といった生徒もいた。
 中には、「床に寝そべっている生徒へ声がけを行っていなかったようだが、どのくらい待ったらよいのか」(授業実践編p.88)という疑問を呈する授業参観者もいて、どう対応すべきかに苦慮している様子もうかがえる。
 10人程度の小集団で実施された授業である。
 以上の記述から見て、生徒全員を授業時間中紙すき作業に巻きこむことができなかったが、生徒一人一人にきめ細かな配慮をしている。

 ただ、ある生徒にとってはその配慮が不十分で、教師もどう対応すべきか検討しているはずだ。
 また、授業を参観した助言者による「今回の授業は、あくまでも装飾物制作であり、パーティー当日にどのようなことに取り組むのかについて見えづらい」(授業実践編p.88)というコメントは、今後授業構成する際の重要な視点である。

 山形県立米沢養護学校は毎年公開研究会を開催し、参観者を広く呼びかけている。
 機会があったらぜひ参観してみてください。
 特別支援学校ってこんなにがんばっているんだということがわかります。


 
 

◆山形県「特別支援」増に対応

2012年02月25日 | 特別支援教育
今日の山形新聞に12年度の県予算のポイント
という事で特別支援教育の記事が載っていました。

県立村山特別支援学校楯岡校は
開校初年度の数字に比べて、毎年
2倍から3倍というペースで児童生徒数が増加している
ということです。

これは、この学校に限った事ではなく
全国的に増加している現象です
(手をつなぐにも載っていましたよね)

村特楯岡校では、開校当時21人だった児童生徒は
11年度には82人になり、
県教育委員会が当初想定していた人数50人を上回っています

同校は10年度には4教室を増築しましたが
12年度の予算にはさらに教室の増築の費用を計上しているそうです

県内でもここ数年は、特別支援学校や
小中学校の特別支援教室に在籍する児童生徒は
増え続けているそうです

これは、特別支援教育への理解が進み
適切な教育を受けさせたいという保護者が増えたことが
要因であるとされています

それに伴い、特別支援学校が持つ
センター機能の重要性がアップし
小中学校からの相談件数も増えているようですが
相談に応じる教員も、自分の学校で児童生徒を受け持っており
支援要請にタイムリーに応じられない事がでているようです

そこで、県は12年度、特別支援学校3校に
教員を1人ずづ多く配置し
小中学校からの相談に応じやすい環境をつくり
県内の3市町村と連携し、
就学前の早い段階から、特別支援が必要な子どもに
適切なサポートをするためのモデル事業を展開するようです。

また、特別支援学校の高等部で一般就労を希望する生徒が
増えている事を受け、就職を専門にサポートする
就労活動補助員を置くなど、
多方面から特別支援教育に力を入れていくということです。

確かに村山特別支援学校は本校も楯岡校も、
児童生徒数がどんどん増え、
子どもがクールダウンするスペースも取れなくなっている
という話しは聞いていました。

特別支援学校PTA連合会の知的部会でも
毎年のように出てくる話題でした。

このモデル事業が上手く行き、特別な支援が必要な
児童生徒が適切なサポートを受けられるようになって
くれるといいですね。(F)

◆山形県特別支援教育フォーラム(ご案内)

2011年09月21日 | 特別支援教育
山形県教育庁義務教育課特別支援教育室からのお知らせです。

山形県特別支援教育フォーラム

子ども達一人一人が生き生きと活躍できる共生社会を!


プログラム
13:00~受付・特別支援学校紹介パネル展示
13:30~開会
13:40~説明 本県の特別支援教育の取組について
       (県教育庁義務教育課特別支援教育室)
14:15~講演
  「発達障がいのある幼児・児童・生徒の理解と支援」
    講師 宮城教育大学 教授 野口 和人氏

16:45~閉会

とき・ところ
平成23年10月28日(金)13:30~
寒河江市ハートフルセンター
 寒河江市中央2-2-1 TEL0237-86-2111(代)
主 催
山形県教育委員会
参加対象
幼稚園、保育所、小・中・高等学校の教職員、地域の方
保護者、学生の方など、どなたでも参加できます。(無料)
手話通訳もあります。

参加申込み方法
参加申込用紙にご記入の上、10月21日(金)までお申し込みください。
FAX、郵送、電子メール、電話などでお申し込みできます。

問合せ・申込み先
山形県教育庁義務教育課特別支援教育室
〒990-8570 山形市松波二丁目8番1号
電話:023-630-3346 FAX:023-630-2774
E-mail ygimu@pref.yamagata.jp

気になる子どもがクラスにいるけれど、実際にどうしたら良いのかな?
幼稚園や保育所、小学校・中学校・高等学校の通常学級を担任する先生方は学級でどんなことをすれば良いの?
 特別支援教育の内容や求められる取組み、発達障がいの理解と対応などについて講演や説明・資料の紹介をいたします。
子どもたちの事をよく理解するためのヒント、かかわり方のヒントが見つけられるよう、ふるってご参加ください。

          

以上のことでフォーラムが開催されます。

興味のある方は是非ご参加ください。
申込用紙が必要な会員の方は、県育成会事務局までご連絡ください。
TEL023-623-6572 FAX023-623-6571


第8回やまがた子ども主体の授業実践を考える会23/2/11

2011年02月16日 | 特別支援教育
昔の仲間から誘われて、次のような知的障害教育の実践に関する研修会に参加してきた。
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会議名 第8回やまがた子ども主体の授業実践を考える会
日 程 平成23年2月11日(金)建国の日13:30~16:40
会 場 山形市中央公民館5階 第2研修室 アズ七日町 山形市1-2-39
電 話 023-623-2150
会 費 500円
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 本研修会には、県内外より特別支援学校の教員を中心に30名の参加者がいた。
 
 「今、改めて問う『領域・教科を合わせた指導』」といったテーマで、特別支援学校と特別支援学級の教員によるレポート報告が6本、そして講話として、岩手大学、名古屋恒彦教授の講演を聴いた。

 『領域・教科を合わせた指導』とは、通常の教育のように教科別に行うのでなく、知的障害のある児童生徒のニーズに即して生活そのものを学ぶ教育である。
 その中には、『生活単元学習』『作業学習』『遊びの指導』『日常生活の指導』等がある。
 知的障害のある児童生徒の実態に即して、学校生活や家庭生活の中で生じる課題解決を図るための教育である。

 以上のあり方について、どうすればより良い『領域・教科を合わせた指導』ができるか協議していた。
 熱気ある研修会であった。
 若手・中堅・管理職の他に、現役を退いた人もいるといった幅広い年代の参加者を集めているのも異色である。
 あくまでも自主的・自発的に参加する研修会でもあった。
 一人ひとりの知的障害児が学校生活にやりがいと手応えを感じるための教育の実践を、とことん追求していた。
 これだけ研究熱心な教員たちがいれば、山形県の特別支援教育もますますレベルアップしてゆくはずと、期待せずにはいられない。
 学齢期の子どもをもつ育成会会員も、教員たちの実践に関心があるはず。
 自分の子どもを注視するだけでなく、通学している学校全体が子どもたちにとって、いきいき満足する生活を保障しているか保護者の視点こそ大事である。
 そのことで、より一層、学校の教育実践を向上することになる。

山形県特別支援教育フォーラム(1/30日・米沢市すこやかセンター)

2011年01月28日 | 特別支援教育
 直前のお知らせで申し訳ありません。
 でも、ためになる研修会紹介します。
 山形県米沢市で、「山形県特別支援教育フォーラム」(1/30日・米沢市すこやかセンター)があります。
 山形県の特別支援教育について、フレッシュな話題を聴くことができると思います。
 こうした機会に、ぜひ特別支援教育って何?と、ふれてみるのもいいんじゃないでしょうか。
 「うちの子どもにも、特別支援教育ってあり?」と考えてみるのもいいんじゃないかなあ。それも就学時期ギリギリでなく、余裕のある1年前・2年前から。

 場所が、米沢市だから、雪多いだろうなあ。
 轍もできて、道路はがたがたかなあ。
 車も走りにくいか。
 そんなことも想像してしまいますが、雪なんかに負けず、出かけてみてください。
 得るものがたくさんあるはず。
 ケーは、ちょっと行けません。
 山形県高畠町で、別の研修会の先約あります。
 残念!!

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      山形県特別支援教育フォーラム

「子ども達一人一人が生き生きと活躍できる共生社会を!」

● とき・ところ
 平成23年1月30日(日)14:00~ 米沢市すこやかセンター 大会議室
 受付 13:30~ 開会14:00~ 閉会16:45
 〒992-0059 米沢市西大通1-5-60 電話 0238-24-8181

● 主催 山形県教育委員会

● 参加対象 地域の方、保護者の方、幼稚園、保育所、小・中・高等学校の教職員、学生の方などどなたでも参加できます。(無料)

● 託児室や手話通訳があります。

● 説明 本県の特別支援教育の取り組みについて
  県教育庁義務教育化特別支援教育室

● 講演「発達障がいの理解と対応」
  独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
  発達障害教育情報センター 総括研究員 笹森 洋樹 氏

※ 参加申込の必要はありません。ただし、席に限りがありますので、ご了承ください。

※ 託児室を用意しております。
 対象 就学前の乳幼児~小学生まで(先着10名程度)
 費用 無料です。
 申込 下記までお申し込みください。
    お子様の年齢や配慮事項などを教えてください。

※ 手話通訳による情報保護をいたします。
  開催1週間前まで下記にお申し込みください。
  FAXで申し込む場合は、ご利用になる方の氏名を会場名をお知らせください。

【問い合わせ、託児・手話通訳申込先】
 山形県教育庁義務教育課特別支援教育室 〒990-8570 山形市松波2-8-1
 電話023-630-3346 FAX 023-630-2774

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