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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

いいお医者さんって・・・

2005年02月22日 | 病棟
先生ね、外来で患者さんを前に居眠りするんです。こっちはハラハラして「ん、うんっっ!!」なんて咳払いしたり。それから、すぐに判断を看護婦に振るの。「どうしたら良いと思います?」って。意見を言ったらそれを取り入れてくれるけれど、それが良からぬ結果になったら もろ不機嫌!!!だったら、最初から責任振るな!!って思います。あなたの知識で判断と指示を下さい、って。経営がものすごく順調なわけでもないのに、たった一人の患者さんの為に高い医療器具を購入して、それを看護婦のボーナスを減らすことで補っています。ため息、出ます。
 でも、経営を度外視してでも患者さんと家族の為に使命感を燃やしているともいえます。休みの日でも必ず病院にきて、ぽつりぽつりやってくる急患を断りません。往診を頼まれれば、隣の市まで朝の7時から出かけていきます。こないだのお盆なんて、家族が旅行に行くから面倒を見られないという理由でショートステイになったおばあちゃんを、自分の車で迎えに行きました。送迎バス化してます。院長回診の時に「オムツを買うお金が無い・・」とつぶやいた家族のところに、後から来てお金を置いていったこともあったと、付き添いさんが教えてくれました。
 患者さんから見れば 神様のような先生なんでしょうね。実際、「ここは最後の砦だよ。最期までよその病院には行きたくないよ」とお年寄りが言いますし。
 誇らしい反面、苦しいなあああああ・・・・・・・・・。どこまで、いつまで、ついていけるかなああああ・・・。


Hard Day    2004.9.20より

2005年02月22日 | 病棟
とても疲れる一日でした。

看護婦は二人といつもより少ないのに、退院が二人入院が一人の予定です。輸血も入っているのでその部屋からは目が離せません。午前中に二人、部屋でお風呂に入れる必要もあります。でも二人いればなんとかなりそうでした。
ところが、外来で急に胃カメラ二件・胃カメラ&大腸鏡一件行うことになり 看護婦一人を持っていかれてしまいました。きゃ~!入院の患者さんがベッドに搬送されてきましたが、移送中に腕に大きな裂傷を作ってしまったようで出血しています。 来てすぐ処置をしなければなりません。昼休みには院内会議もあります。でもお弁当は食べずにやれば なんとか2時の退院の二人を送り出せそうです。ほっとしたのもつかの間、緊急で二人入院患者を引き受けることになりました。いや~ん、状態が良くないみたい!!最初の一人は脱水なので とりあえず点滴を入れてベッドへ。二人目はなんと救急車で搬送されてきました。呼びかけても反応が鈍く しゃっくりの様な呼吸もしています。待って、まだ退院していない、あと30分しないとベッドが空かない!!レントゲンや心電図をとってから 救急車のストレッチャーのまま処置室で待機してもらい、退院前なのにベッドを空けてもらって作り直します。さて、そこからは走りづめ。二家族からアナムネ(患者さんの病気の経過や状況の情報収集)をとり カルテを作ります。その間にドクターから指示を貰い 点滴や採血の準備。点滴は明日の分も用意しておかなくては・・・。付き添いさんが付くので その食事の伝票もきらねばなりません。処置しながら退院の患者さんを送り出すのも やらなくちゃ!それから他の患者さんの痰の吸引やネブライザー、流動栄養の管理に補水、与薬、体位変換にオムツ替え・・・・・。やらなくちゃいけないことが頭の中をぐるぐるめぐってパニック寸前なのを (落ち着け、落ち着いてひとつづつ確実に・・・)と呪文のように繰り返してこなします。
何とか検温や処置のみ済ませることが出来たときには もう申し送り15分前になっていました。勿論 入退院のカルテまとめや看護記録には手が付いていません。約一時間の超過勤務。終わったときには 疲れすぎて気分が悪くなりました。

小さい病院なのでこんなにいろいろなことが重なることは 滅多にありません。でもそうなった時には 看護婦の仕事量はキャパを遥かに超えてしまいます。燃え尽きるのも早そう。

病棟の怪談

2005年02月21日 | 病棟
あれは私がまだ新人だった頃。
重病個室には イノバンやドブトレックス(血圧を上げる薬)をダブルで使い、なんとか持ちこたえている患者さんが入っていました。体の向きを変えるだけで心臓が止まりかけるほど死期が迫っていたので、その日の夜勤は新人の私には気が重いものでした。病棟には40名の患者さんが入院していて、大部屋を含む比較的軽症の三分の二をサブリーダーが、残りの三分の一の重症者をリーダーが受け持つことになっていました。私はリーダー。人工呼吸器のシューシューという規則的な音も 新人のわたしを威嚇するかのようです。緊張でぴりぴりしながら真夜中を迎える頃・・・・。突然心電図が叫び始めました。BEEEP!!!BEEEP!!!BEEEEP!!!!(来たぁ~!!!)とりあえず赤い救急カートを運んで心マを始め、サブリーダーに主治医に電話をしてもらいます。後は嵐のような時が過ぎ、手を尽くしましたが患者さんは亡くなってしまいました。

ご遺体を霊安室に運んで脱力感にぼんやりナースセンターに腰掛けていたら、ナースコールが鳴りました。・・・・・さっき亡くなった患者さんの部屋です。そこは最重症者の部屋なので、ナースセンターから良く見えるようになっています。
・・・そんなはずないよ
・・・ベッドだって消毒に出してる
・・・ほら、あそこにナースコールがぶら下がっているのだって見えてるじゃない
・・・・じゃあ誰がコール 押したの?

腰が抜けそうになりながら、先輩と部屋の確認に行きました。もちろん 誰もいない。
それなのに、しばらくしたらまた鳴ったんです。
ナースコールの呼び出し音「エリーゼのために」が。
・・・それ以来、この曲を聴くたびに ゾワリとします。


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野望

2005年02月21日 | 病棟
今 私には一つの野望があります。それはね・・・。

とみさん 繰り返し尋ねます。
「あたしは何歳になったかえ?」
「もうすぐ95歳よ。」
「もう充分生きただねえ。いつお迎え来てもいいねえ」
「そんなこと言わないで!!あと少しで100歳よ。
 こんなに元気で ご飯もたくさん食べられるんだもの、
 長生きできるよぉ、きっと」

とみさん ここで私の顔をじっと見つめ 言いました。

「・・・・ところで、ここの病院で100まで生きた人、いるのかえ?」


あまりに鋭いとみさんの突っ込み。


そうです。私の野望とは、「創立以来初の100歳突破」。
目下 有力候補は96歳ハツさんと95歳とみさん。
がんばってね~~~!!
記録の壁をブチ破るのよ~~~!!


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きょうだい!?

2005年02月21日 | 病棟
ときさんは 育ちの良いおばあちゃまです。
たくさんの田んぼを持った本家に生まれ、大切にされてきたのでしょう。
痴呆で訳が判らなくなった今でも、
オムツを替えれば、「そんな汚い事させて すみませんねえ。」
「自分でしますから かまわなくていいんですよぅ」
「おねえさん いつもすみませんねぇ」
汚い言葉を吐くことがありません。
そんなときさんの癖は ニコニコしながら兄弟姉妹の名前を順に唱えることです。
「きょうだいはね、上から篤に清、静江、菊、とき、満枝に隆・・・・」
何度も何度も聞かされているので、私もそらで言えます。

今日も機嫌よく始まりました。
「篤に清、静江、菊、とき、満枝に隆、はなくそ・・・」
・・・えっ、最後に何て言った???
まさか はなくそって????
空耳かと思いきや 傍にいた助手の綾ちゃんも固まっています。
「・・・いま ときさん、はなくそって言った・・よね?」
後は笑って笑って おなかが痛くなるほど大爆笑!!
きょうだいがはなくそって いったい・・。

ときさんは涼しい顔して 窓の外を眺めています。
痴呆のふりして からかっているのではないかと 時々思うのです。


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生命力    2004.10月

2005年02月21日 | 生活
新潟の地震で 自動車に乗ったまま土砂崩れに巻き込まれた男の子が生きて発見されたと、嬉しいニュースがありました。残念ながらお母さんは天国へ。お姉ちゃんも反応がないようです。とても悲しい状況ですが、きっとお母さんは空の上で喜んでいるはずです。強運を持って生き延びた男の子の生命力を。まだ二歳、何も覚えていないかもしれませんが、自分だけ生き延びたことに負い目を感じないで、逞しく幸せな人生を歩んで欲しい。

こういう状況に出会うと必ず心に浮かぶ映画のシーンがあります。
ユダヤ人の母と息子と娘。ガス室に送られることになりますが、お母さんはこの世で一番残酷な選択を迫られるのです。「子供を一人とお前を助けてやる。どちらか一人を選べ」と、二人の子供を前にして。選ばれなかった子供が、母を振り返り振り返りガス室へ歩いていく、そのシーンが鋭い棘となって苦しくてたまりませんでした。・・・・いまでも苦しいのです。時折、子供の顔が自分の子供たちに変わって、あのお母さんの立場になった自分が このまま心が潰れて死んでしまえばいいと願う夢を見ます。・・・トラウマでしょうか。
映画は「ソフィーの選択」でした。

私って、愛人?    2004.12.14より

2005年02月20日 | 病棟
例によって おばあちゃまが騒ぎ始めました。
夕方は気持ちが不安定になるのでしょうか、来る人来る人捕まえては
「うちの隆、知りませんか? 満枝でも良いんだけれど・・・」
とうとう 揺れるカーテンにまで 問いかけています。
I さんが見かねて 「隆なら知ってます。仕事が忙しいようなので
時間が出来たらお見舞いにきてと 伝えますね」 と応じました。

すると・・・。
「あなた た、た、隆の何なんですか?隆には嫁も子供もいます。
み、み、みちをはずしちゃ いけませんよう。
私に免じて 許してくださいよう」

「??私が隆の愛人???何でそうなるの???」
98度くらい曲がってしまった話の方向に
大笑いの午後でした。


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