goo blog サービス終了のお知らせ 

**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

病棟の怪談

2005年02月21日 | 病棟
あれは私がまだ新人だった頃。
重病個室には イノバンやドブトレックス(血圧を上げる薬)をダブルで使い、なんとか持ちこたえている患者さんが入っていました。体の向きを変えるだけで心臓が止まりかけるほど死期が迫っていたので、その日の夜勤は新人の私には気が重いものでした。病棟には40名の患者さんが入院していて、大部屋を含む比較的軽症の三分の二をサブリーダーが、残りの三分の一の重症者をリーダーが受け持つことになっていました。私はリーダー。人工呼吸器のシューシューという規則的な音も 新人のわたしを威嚇するかのようです。緊張でぴりぴりしながら真夜中を迎える頃・・・・。突然心電図が叫び始めました。BEEEP!!!BEEEP!!!BEEEEP!!!!(来たぁ~!!!)とりあえず赤い救急カートを運んで心マを始め、サブリーダーに主治医に電話をしてもらいます。後は嵐のような時が過ぎ、手を尽くしましたが患者さんは亡くなってしまいました。

ご遺体を霊安室に運んで脱力感にぼんやりナースセンターに腰掛けていたら、ナースコールが鳴りました。・・・・・さっき亡くなった患者さんの部屋です。そこは最重症者の部屋なので、ナースセンターから良く見えるようになっています。
・・・そんなはずないよ
・・・ベッドだって消毒に出してる
・・・ほら、あそこにナースコールがぶら下がっているのだって見えてるじゃない
・・・・じゃあ誰がコール 押したの?

腰が抜けそうになりながら、先輩と部屋の確認に行きました。もちろん 誰もいない。
それなのに、しばらくしたらまた鳴ったんです。
ナースコールの呼び出し音「エリーゼのために」が。
・・・それ以来、この曲を聴くたびに ゾワリとします。


一日一回クリック!ここに足跡残してね♪

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Irresistible

2005年02月21日 | 日本の薔薇園より
  *薔薇の写真は 毎日更新します。お楽しみに♪*
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野望

2005年02月21日 | 病棟
今 私には一つの野望があります。それはね・・・。

とみさん 繰り返し尋ねます。
「あたしは何歳になったかえ?」
「もうすぐ95歳よ。」
「もう充分生きただねえ。いつお迎え来てもいいねえ」
「そんなこと言わないで!!あと少しで100歳よ。
 こんなに元気で ご飯もたくさん食べられるんだもの、
 長生きできるよぉ、きっと」

とみさん ここで私の顔をじっと見つめ 言いました。

「・・・・ところで、ここの病院で100まで生きた人、いるのかえ?」


あまりに鋭いとみさんの突っ込み。


そうです。私の野望とは、「創立以来初の100歳突破」。
目下 有力候補は96歳ハツさんと95歳とみさん。
がんばってね~~~!!
記録の壁をブチ破るのよ~~~!!


一日一回クリック!ここに足跡残してね♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きょうだい!?

2005年02月21日 | 病棟
ときさんは 育ちの良いおばあちゃまです。
たくさんの田んぼを持った本家に生まれ、大切にされてきたのでしょう。
痴呆で訳が判らなくなった今でも、
オムツを替えれば、「そんな汚い事させて すみませんねえ。」
「自分でしますから かまわなくていいんですよぅ」
「おねえさん いつもすみませんねぇ」
汚い言葉を吐くことがありません。
そんなときさんの癖は ニコニコしながら兄弟姉妹の名前を順に唱えることです。
「きょうだいはね、上から篤に清、静江、菊、とき、満枝に隆・・・・」
何度も何度も聞かされているので、私もそらで言えます。

今日も機嫌よく始まりました。
「篤に清、静江、菊、とき、満枝に隆、はなくそ・・・」
・・・えっ、最後に何て言った???
まさか はなくそって????
空耳かと思いきや 傍にいた助手の綾ちゃんも固まっています。
「・・・いま ときさん、はなくそって言った・・よね?」
後は笑って笑って おなかが痛くなるほど大爆笑!!
きょうだいがはなくそって いったい・・。

ときさんは涼しい顔して 窓の外を眺めています。
痴呆のふりして からかっているのではないかと 時々思うのです。


一日一回クリック!ここに足跡残してね♪



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生命力    2004.10月

2005年02月21日 | 生活
新潟の地震で 自動車に乗ったまま土砂崩れに巻き込まれた男の子が生きて発見されたと、嬉しいニュースがありました。残念ながらお母さんは天国へ。お姉ちゃんも反応がないようです。とても悲しい状況ですが、きっとお母さんは空の上で喜んでいるはずです。強運を持って生き延びた男の子の生命力を。まだ二歳、何も覚えていないかもしれませんが、自分だけ生き延びたことに負い目を感じないで、逞しく幸せな人生を歩んで欲しい。

こういう状況に出会うと必ず心に浮かぶ映画のシーンがあります。
ユダヤ人の母と息子と娘。ガス室に送られることになりますが、お母さんはこの世で一番残酷な選択を迫られるのです。「子供を一人とお前を助けてやる。どちらか一人を選べ」と、二人の子供を前にして。選ばれなかった子供が、母を振り返り振り返りガス室へ歩いていく、そのシーンが鋭い棘となって苦しくてたまりませんでした。・・・・いまでも苦しいのです。時折、子供の顔が自分の子供たちに変わって、あのお母さんの立場になった自分が このまま心が潰れて死んでしまえばいいと願う夢を見ます。・・・トラウマでしょうか。
映画は「ソフィーの選択」でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする