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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

のりうつった やさぐれ りう    2,005.2.16より

2005年02月17日 | 病棟
リウさんが やさぐれている。かなりの高齢の上に痴呆もあるけれど、裕福な家庭に育った品の良さは消えていない、あのリウさんが・・・。ついこの間も、白衣の上に着た桃色のカーデガンをほめてくれたの。「ああ、きれいな桃色だねえ。とても若く見えるよ。春が来るから、綺麗な色を着てくれると、うれしいねえ」「女の子はきれいなべべを着るもんだねえ」って。お礼に手やお顔にクリームを塗ってあげると、「こんな皺だらけじゃ しょうがないよう」といいながらも 嬉しそうに塗りこんでいました。それなのに・・・。
 「なんでこんなところに押し込めるんだい!!こんな年寄りをいじめるようなことをして、閻魔様に罰当てられるよ!!あ~あ~、さわらないでよう!」
いつものうリウさんに戻ってきて欲しくて、みんな背中をさすったりおやつやお茶を用意したり特別待遇で接していますが、それすら あんたが半分食べたとか こんな甘くも辛くも無いものを飲ませて・・とか、攻撃の対象になってしまって・・・。とどめは 「あたしはもうあの世に行くんだから」と言う言葉。蓮っ葉な目をして吐き捨てるように言い放ったときには、凍りつくようでした。

同僚が「今リウさんは、やさぐれリウに乗っ取られているんだよ、きっと」と言いました。不思議と自分の死期を口にし始めるとお迎えが近いことが多いのです。ですから、やさぐれリウの予言が当たらないうちに、ほんとのリウさん、早く戻ってきて~~~~!!


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救急車到着!!    2,005.2.8より

2005年02月17日 | 病棟
・・・ピーポー ピーポー!!!病院の近くを救急車がサイレンを鳴らして通るたび、病棟のみんなで「うちに来ないで~~~!!」と念を送る。左に通り過ぎていったら山○病院、右に通り過ぎていったら国立病院、ああ~っ良かったとほっとする。最近インフルエンザも流行り始め、寒さも手伝って体調を崩すお年寄りが増えている。 院長が往診先の患者さんについて「う=ん、良くない。ベッド空いてたっけ?」なんて話すのを ちらちらとミミダンボで拾い聞きするたび 戦々恐々今日の段取りを組み直す。

「救急車入りま~す!」一階外来から 婦長さんの声が響きました。みんな・・・といっても看護婦二人があわてて外来処置室に向かいました。患者さんは小林さん73歳(仮名)。朝往診に行ったとき下血の訴えがあったので、胃カメラを午後に行う予定でしたが、トイレに行ったら大量の下血と共に倒れてしまったのです。どんな悪い状態で入ってくるかと覚悟していたら、救急車のストレッチャーの上に座り「すみません。」と手を上げて挨拶しています。やれやれ・・・。「とりあえずレントゲン、そのあと胃カメラします」と院長の指示が出たので、車椅子に移動させました。ところが座らせて足の位置など直すうちに ずるずると落ちてくるのです。全然座位を保持できていない??慌てて脇を支え「小林さん?小林さん!!!しっかり!」と大声を上げたら、傍にいた救命士さんが「えっ、意識落ちた?!」と一緒に処置台に引きずり揚げてくれました。(あれえ、脈が弱くて触れないよ~~!!!)水銀の血圧計ではかって70台、血中酸素飽和度も70台に落ちています。数値を大声で先生に知らせ、酸素を5リッターで流し輸液ラインを確保!足を高くしてとりあえず胃の上にアイスノンを乗せ体は保温、バイタルの落ち着くのを待ちました。昇圧剤入りの点滴と胃カメラの準備も開始です。
呼び掛けに答えられ、血圧が90台に上がったところで、胃カメラを始めました。
胃の中は チョコレート色の古い血液と真っ赤な血液でいっぱい!吸引器のビンが満タンになるほど引いて潰瘍の位置と様子が分かりました。思いのほか深く大きい潰瘍です。受け入れ先の病院を探し、そのまま救急車で転院してもらうことになりました。

戦いが終わったら、もう13時半。・・・ああ、今日は15分のスピードランチだ・・・。それにしても、小林さんが入院にならなくて良かった。人手の足りない小さな我が医院では とても看きれない。院長は往診している患者さんだったので、入院させたそうだったけれど・・・。


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