私の思いと技術的覚え書き

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沼津の企業 その3 マーレエレクトリックジャパン

2020-03-28 | コラム
 沼津に本社がある企業のその3として、マーレエレクトリックジャパンという企業のことを記してみたい。
 この企業、最近まで国産電機と云う企業名であり、親会社が日立だったのだが、日立が株を売却したことで、マーレ(ドイツ)が買収し、マーレエレクトリックジャパンという企業名になったということだ。
 独マーレ社と云えば、内燃機関用ピストン関連では世界シェアNo1の企業だ。ベンツやBMW用の鍛造ピストンなど、ほとんどマーレ製である。それが国産電機を買収することで、ピストン以外の自動車電装サプライヤーにも進出を図ったと云うことだろう。その理由だが、マーレ社はピストンの世界シェアNo1だが、日本ではリケンその他の有力メーカーが存在し、マーレ自体のシェアは高いものではない。それで、国産電機を買収することで、ピストン以外の電装サプライヤーとしての新たな拡大を狙っているということなのだろう。

 話しを国産電機の沿革のことに移す。この国産電機だが、元来先の大戦のちょっと以前に、軍用機が大増産される様になり、その点火システムとしてマグネトという機構を主に作ることを目的に設立された企業だ。自動車などの点火システムは、バッテリー電圧を利用し点火コイル(イグニッションコイル)で高圧放電火花を作るのだが、航空機用エンジンでは、その信頼性確保を最大理由としてマグネト点火という方式が主流となっている。これは永久磁石(マグネット)でコイルに誘電する磁束を切ることで一次発電し、その一次コイルの起電力を二次側コイルに相互誘導して高圧放電用火花を作り出すというものだ。このマグネト点火が採用されているエンジンは、基本バッテリーがなくても、何からの方法でエンジンを最低始動回転で廻してやればエンジンは始動することができるのだ。また、エンジン始動中も、発電機の故障などが生じてバッテリーが空になっても、エンジンは停止することないという信頼性を持つから、航空機用エンジンには採用され続けて来たのだ。これは確かめていないが、先の大戦で航空機エンジンの最大メーカーたる中島飛行機の栄(さかえ)とか誉(ほまれ)にも、国産電機のマグネト点火システムは採用されていたと想像される。

 しかし、現代航空機は、その出力増大だとかの理由からレシプロエンジンが採用される機会は著しく減少した。従って、オートバイとか汎用小型発電機とかエンジンチェーンソー用としてしか使われない点火システムとなっている。

 その様なことから、国産電機でもマグネトだけでは生き残れないので、主に小型モーターを生産し、EPSだとかABS用のモーターと関連するユニットを作り続けて現在に至っている。

 なお、国産電機(マーレエレクトリック)の企業業容としては、資本金10億、従業員数500名程度の中堅ところの企業だ。

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