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小説「日本沈没」刊行 S48年

2023-07-12 | コラム
小説「日本沈没」刊行 S48年
 小松左京著のSF小説「日本沈没」(光文社カッパノベルズ)が刊行されたのが昭和48年(1973年)のことだ。当時高校生だったが、初版をたちまち完読して、それからしばらく小松左京ファンとして、「復活の日」とか「果てしなき流れの果てに」などを読んできた。

 さて、日本沈没だが、初版から重版を重ね上下巻合わせ385万部まで販売をを伸ばしたとはwikiの記述だ。また、同年12月には映画版「日本沈没」も公開されたが、映画館に行った記憶はない。その映画を見たのは、後年テレビで見たという記憶だ。

 小説では、巧みな描写により、完読後しばらくは、地震を感じる都度、日本沈没の兆候ではなどと、その場面がフラッシュバックするという体験をしてきたと思う。

 今でも記憶に残るのは、物語の冒頭だったったと思うが、深海潜水艇「わだつみ」の操縦者である小野寺が田所教授と日本海溝の海底下に潜航するシーンだ。最近、タイタニック号観光の深海潜水艇が爆縮破壊する惨事があったが、改めて深海潜水艇でのシーンを思い出した。

 この小松左京氏だが、メカニカルな描写も凄く判り易く記述され、深海潜水艇が沈むのは、潜水艦の様なメインタンク注水で浮力を減じて沈むのではなく、ウェイト(重り)をぶら下げって潜航開始するのであって、母船のデリック(クレーン)から切り離されると潜航開始する。艇の前後左右の姿勢は、前後左右のスラスター(小型スクリュー)で行うが、基本のトリム調整はバランス用フロートを持っており、このフロート内は浮力を生じさせ、かつ耐水圧に拮抗するため、水より低比重のガソリンなどが満充填されていて、水圧に耐える構造にされているなど、この小説で知った。

 ところで、この小松左京氏だが、後年は引き籠もりがちになった様だが、阪神大震災(1995年1月17日)を64才にして体験し、その取材するなど活動を再開させたという。その辺りの経緯が、以下のNHKクローズアプ現代の記述で知った。
https://web.archive.org/web/20191021101939/http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3125/1.html

 このNet記述の中に以下の下りがある。
 親友である石川さんはそのころ、小松さんからかかってきた一本の電話が忘れられないといいます。
 理論上、倒れないといわれた高速道路がなぜ倒れてしまったのか。小松さんは、ある高名な研究者に共同検証を申し入れました。しかし、その申し出は思いがけないひと言で断られたといいます。

(研究者の言葉)「地震が私たちが考えるよりはるかに大きかっただけです。私たちに責任はない」
 「学者が『俺の責任じゃない』という(発言は)小松左京という人格にとって信じられない答えだった。おそらく彼の心がピシャッとつぶれたきっかけになったと思うのですよね。彼(小松氏)が信じて生きてきた人間の基本を壊されたと思うんだ」 

 私はこれを読んで、2年前に知り現在も継続している「関生事件」(関西生コン労組弾圧事件)のことと、これに絡んで知った、7、80年代の高度経済成長時代にさかんに繰り返されたという「ジャブコン」という強度が出ないコンクリート建築のことを思い浮かべた。

阪神大震災とシャブコン
2021-09-20 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/d259d26bb88c8a818b355eac00b41527


 しかしだ、1990年以降、現在まで30年余が過ぎたが、物理的に日本列島は健在だが、政治的、経済的、国民的にも荒廃劣化は著しく、沈没しようとしているのではないだろうか。


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