私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

パラリンピック・ブルーインパルスカラースモーク染料が民間車両数百台に付着

2021-08-31 | 事故と事件
パラリンピック・ブルーインパルスカラースモーク染料が民間車両数百台に付着
 昨日(8/30)報だが、パラリンピックでのブルーインパルスの飛行において、入間基地周辺の民間車両数百台にカラースモークの染料が付着していることで、空自は再塗装費用など賠償の検討をしているという。

 この記事によると、空自にはブルーインパルスのカラースモークの噴射について、使用限界高度(約300m)を設定しているらしい。つまり、この高度以下で、カラースモークを出すと、スプレー塗装におけるカラーミストと同様に、乾ききれない染料(顔料)が液状のまま被塗物上に付着したと云うことだろうと想像される。

 こういうことは、街の板金工場でも、スプレーブースを使用しない場合に、他の入庫車両にスプレーミストが付着し、塗面肌がザラザラになるということや、例えスプレーブース内でも、目的被塗対象以外を適宜、ビニールシートなどでマスキングしておかないと、同様に大量のスプレーミストが付着し、その除去に大幅な手間を生じることが知られている。

 ブル-インパルスのカラースポークの原理とかそのカラー物質の明細は不案内ながら想像すると、ジェットエンジン後流にカラミスト材を噴射する色別専用ノズルを設置し、そこにカラーミスト材を噴射することで、高速高温のジェット噴流でカラーミスト材が拡散燃焼することでスモークとして生成されるのだろう。そして、この染料スモークの粒は、空中で拡散しながら、最終的には地上に落下するのだろうが、空中浮遊から地上落下までの時間が一定時間を越えると、完全硬化した微粒子として、広く拡散するためほとんど目視できない程のもので実害はなかった(物質的な毒性とか人体への悪影響などは未知)のであろう。

 なお、この様ないわゆるスプレーミストの被害というのは、板金塗装工場にける問題だけでなく、建築塗装におけるやはり適切な防御処理の不足により、近隣の多数の車両などに生じることもある。

 さらに、このスプレーミストの除去だが、必ずしも再塗装をしなければならないと限定することはできない。アルコール、ガソリン、シンナーなどの適宜の溶剤で、既存塗膜を犯さず除去できる場合もあるし、コンパウンドによる塗面研磨による除去だとか、トラップ粘土による除去法が知られている。ただし、塗面と云うより一部の無塗装樹脂部分とかラバー部品について、その部品代に対する手間の多さとかもあって、交換して止むなしとなる場合も多い。

 一般素人の方は、新しく塗り替えた方が安心と思いがちだが、現在の新車プラントの塗膜生成はその設備環境もあり、相当程度に高い水準にあり、これを街の板金塗装工場で同等に再施工できるのは、極一部の工場に現実として限定されることはあまり知られてはいないことだろう。また、そういう工場は、料金も高額となりがちだが、高額だから良好な品質が得られるとは限らないと云うことが、この世界の現実だということも云えるのだ。


-------------------------------------------------
ブルーインパルスのスモーク染料、低空で噴射し車数百台に付着か…空自が賠償検討
8/30(月) 22:08配信 読売新聞オンライン
 航空自衛隊は30日、東京パラリンピック開幕日(24日)に東京上空を飛行した曲技飛行隊「ブルーインパルス」が入間基地(埼玉県狭山市)に着陸した際、カラースモークの染料とみられる物質が基地周辺の民間車両に付着したと発表した。人体への害はないが、被害車両は数百台に上る可能性があり、空自は再塗装費用などの賠償を検討している。

 空自によると、24日午後2時25分頃、予備機3機が同基地に着陸する際、使用基準高度(約300メートル)を下回る位置でカラースモークを噴射。霧散しなかった赤、青、緑色の染料が、周辺の車に最大0・5ミリ幅で付いたとみられる。

 空自は東京五輪・パラリンピックに向けてカラー染料を開発したが、使用は大会時に限られていたため、パイロットは「染料を使い切り、基地周辺の人にも喜んでもらいたかった」などと話しているという。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。