私の思いと技術的覚え書き

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EV化は真の時代の潮流なのか?

2019-07-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 昨今は、自動運転化とEV化の2つが正に時代の潮流(正義と云い変えても良いだろう)という雰囲気にも感じられる。私的な思いとしては、低速トルクが低くトランスミッションが必要となり、それなりの騒音や排気ガスやCO2も生じるのだろうが、騒音や僅かな鼓動は心地よいものと感じつつ、内燃機関(ガソリン&ディーゼル)は終わって欲しくないと思っている。

 だいたい、巷聞くリーフなどのEVカー使用過程車の話しを聞くと愕然とする。新車販売時の満充電での走行距離は300kmと聞いていたのが、4年ほどの使用で50kmも走れば電池残量がエンプテーとなるなんて話しを聞く。そして、バッテリーを交換しようとすれば、数十万円と高価な代物だという。このことは、日頃使用している、デジカメなどのリチウムイオンなどでも同様だ。1、2年充電を繰り返し使用すると、目立って使用可能時間が低下してくる。そこで、アマゾンなどで見つけた、純正互換の格安バッテリー(中華製だろう)を見つけて使用すると、半年もすると同様に使用期間が極端に低下してしまうのだ。

 デジカメなら、何時もスペア電池を持ち歩いているから、その場で交換すれば良いが、クルマの場合はそうはいかない。凍てつく様な雪国の山中の夜とか、真夏のローカルリゾート地を走っていて、電池残量が心細くなり、大丈夫かと心細く運転するのは苦痛というより恐怖を感じるだろうといえば大げさだろうか。そんなこともあるのだろう、現在販売されている国産EVカーの中古車価格相場の現状はメチャ安だ。

 しかし、欧州はじめ、中国およびインドなど、強力にEV化を目指しているという。何がそこまで、彼の国達をEVに向かわせているのだろうか? まあ、欧州のEV化への転換は理解できぬところではない。そもそも欧州では、トヨタを中心とする日本のHVに熱効率で適わないと見るや、強烈にディーゼルを推進していたのだ。ところが、ディーゼルの排気ガス浄化の難しさから、その不正を米国にVWが暴かれ(たぶん欺瞞はVWだけでなく全欧州メーカーだろう)、ディーゼルの限界を悟ったとたん、EVへの指向変換となった訳だが、中国やインドのEV推進の真の理由は判りかねるが、単に有害排ガスやCO2、そして省エネのためだとは信じがたい。

 ところで、オバマ政権までカルフォルニア州(米国最大の人口と自動車保有台数を持つ州)を中心としたEV化への推進を示していた米国だが、トランプ政権になって、EV化への減速の流れが動き出しているというところが面白い。以下、Netで見た記事(3件)を紹介してみたい。
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日経ビジネス https://business.nikkei.com/…/opini…/16/101200080/101200003/

電動車は終わる、テスラへの影響大
米燃費規制緩和の衝撃

清水 直茂
2018年10月24日

 米トランプ政権は2018年8月2日、自動車の燃費規制を緩和する具体案を発表した。日系自動車メーカーにとって米国は主力市場。オバマ前政権が決めた方針からの転換が実現すると、自動車開発への影響は大きい。自動車アナリストである杉本浩一氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリスト)に、今後の見通しを聞いた。(聞き手は、清水 直茂=日経Automotive記者)

米政府が決められる燃費規制を緩和することに加えて、カリフォルニア州独自のZEV(Zero Emission Vehicle)規制の撤廃を提案した。2021年モデル(2020年発売)の車両から適用する。

杉本:ハイブリッド車(HEV)を中心とした電動車両は米国で普及せず、「死ぬ」だろう。電動車両の終わりの始まりだ。米国にとどまらず、世界で盛り上がる「EV(電気自動車)バブル」も弾けるかもしれない。

 衝撃的なのが、米運輸省(DOT)と環境保護庁(EPA)によるHEV(簡易式含む)の普及率の試算だ。オバマ前政権時に決めた燃費規制の強化を続けると2030年に56%に達するところ、今回の規制緩和で3%にとどまると見通した。事実上、政府が電動車両の普及を阻む法案を作った形である。

トヨタやマツダは緩和案に賛成
杉本:ただし、まだ提案段階で最終決定ではない。米政府は今冬の決定を目指すが、反発するカリフォルニア州などが提訴した。最悪なのは、決められないまま、ずるずると時間が経ち、2020年直前に決まることだ。メーカーは右往左往することになる。

 技術開発面で最も影響を受けるのは、48V対応の小出力モーターを使った簡易HEVではないか(図1)。もともと燃費規制対策の側面が強かった技術だ。ピックアップトラックなどの大型車で採用が広がる兆しがあったが、必要性が下がる。48V関連部品を開発している部品メーカーにとって、戦略面で影響が大きいかもしれない。

燃費規制緩和の具体案発表の直後といえる2018年8月7日に、EV専業メーカーの米テスラでCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が株式の非公開化に言及した(注1)。

*注1:本インタビュー後の2018年8月24日、テスラは株式非上場化の検討を中止すると発表した。
杉本:ZEV規制撤廃の影響を考慮した可能性はある。ZEV規制のクレジット制度によってテスラが得られる利益は大きい。毎年300億~400億円規模である。撤廃されると吹き飛ぶわけで、経営に打撃だ。テスラの株価は、カリフォルニア州による訴訟などの行方によって、乱高下する可能性がある。非公開にしたくなる気持ちは分かる。

米GMなどのデトロイトスリーに加えて、トヨタ自動車やマツダなどが加わる米自動車工業会(AAM)は、トランプ政権の提案に賛成する。

杉本:自動車メーカーはかねて、連邦政府とカリフォルニア州がそれぞれ環境規制を決める「ダブルスタンダード」の廃止を訴えてきた。トランプ政権の方針はその点で合致する。加えて米国の大手自動車メーカーにとって、規制対応に伴う開発コストを下げられる分、業績面でプラスの影響がある。

 トヨタにとっても、業績にプラスだろう。HEV「プリウス」については売りにくくなるだろうが、トヨタが得意とする利幅の大きな大型車を売りやすくなるからだ(図2)。

行き過ぎたエコ志向の揺り戻し
杉本:米国の消費者にとっても、車両を安く買えるようになる。得するはずだ。

 マイナス面は、地球温暖化が進むことによる悪影響分を、世界全体で背負うことかもしれない。これがトランプ政権の掲げる「アメリカファースト」ということか。一応、DOTとEPAは、CO2排出量の増加に伴う地球温暖化への影響は小さいとの試算を発表している。

 ただ別の側面から見ると、トランプ政権はこれまで少し過激すぎたエコ志向にストップをかけたともいえる。今までエコに振れすぎてきた面があり、揺り戻しに見える。カリフォルニア州で大気汚染はいまだに深刻な問題なのだろうか。冷静に振り返る契機になるかもしれない。

 DOTとEPAは、燃費規制を緩和する法案作成に当たって、「安全な車両を米国民に届ける」というメッセージを打ち出した。法案名は、「安全(SAFE):The Safer Affordable Fuel-Efficient」である。

 燃費規制に関する法案でなぜ安全を打ち出すのか不思議に思うが、理屈はこうだ。CO2排出量は少し増えるが、車両のコストが下がって自動ブレーキなどを搭載した安全なクルマを買いやすくなる。つまり米国民の安全に貢献するというわけだ。詭弁に思えるが、正しいような気もする。うまくつけたものだ。

自動車メーカーは、電動車両の開発を継続する方針を維持する。欧州や中国、インドなどは電動車両の普及を推進している。

杉本:将来を考えると、自動車関連メーカーが電動車両の開発をやめる選択肢はない。米国でも、自動車メーカーは電動車両の開発計画をいきなり止められない。規制緩和の始まる2021年モデルであれば、既に開発を始めているからだ。

 今から開発を中止したとしても、投資分をほとんど取り返せないだろう。せいぜい、ある車両に設定した燃費重視グレードの設定を減らすとか、ボディーの軽量化部品を減らすとか、それくらいだろう。
(「日経Automotive」2018年10月号16~17ページを再編集しました)

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電気自動車の読みもの https://www.evjournal.jp

米国が電気自動車の優遇廃止に動き出した
投稿日:2017年12月3日 更新日:2018年12月5日
Contents [hide]

1 世界のEV化に逆行
2 共和党の政策にチラつく石油業界の陰
3 マスキー法の志はどこへ

世界のEV化に逆行
米下院共和党の税制改革案に、電気自動車(EV)購入者を対象とした税控除の廃止が盛り込まれた。実現すればEVの普及に水を差すだけでなく、州独自の優遇策を設ける地域とそれ以外との格差が拡大する可能性が出てきた。Source:WIRED

アメリカのEVに対する減税政策は、もともとはバッテリーなどの基幹部品のコストが下がるまでの間、ガソリン車との価格差を縮めるためのものとして導入されたもの。

ところが、未だにガソリン車とEVの価格差があるにも関わらず、米下院共和党の税制改革案に電気自動車(EV)購入者を対象とした税控除の廃止が盛り込まれました。

アメリカではカリフォルニアやニューヨークなどでは州独自のEV優遇制度(ZEV法)を設けていることから、米国内でEVが売れる地域と売れない地域に分断されてしまうことが懸念されています。

共和党の政策にチラつく石油業界の陰
このような時代錯誤な法案が出てくると、真っ先に疑われるのは政権を担う共和党の支持母体の思惑。

wikipediaによると、
共和党の支持母体(は、退役軍人協会、石油産業、自動車産業、エリートの一部)

あー、モロありますね、石油産業と自動車産業。確かティラーソン国務長官も元エクソン・モービルのお偉いさんです。

でもアメリカの自動車メーカーは排ガス・燃費関連の技術についてもそうたいしたものを持っているわけではないので、ここでエンジン車を推したところで日欧の自動車メーカーと伍して戦うことができるとも思えないんですが。

むしろ中国やインドなどと同じく、このタイミングでEV化に思い切って舵を切ってゲームチェンジャー側に回ったほうが得策な気がします。これってもしかして、単なる「テスラ憎し」なんでしょうか?

ま、トランプとイーロン・マスクの仲がどうのこうのみたいな話は面倒なので深掘りしませんが。

マスキー法の志はどこへ
現在の排ガス規制に関してはヨーロッパ(EU)が最も厳しいですが、かつては近代化が先行していた米国がある時期までは厳しい排ガス規制を先駆けて導入して、世界の環境規制を牽引していました。かの有名なマスキー法なんてその最たるもの。

ところが、90年代ぐらいになるともうグダグダ。この頃まではGMなんかも世界初のEVの量産を手がけるなど自動車メーカー側は頑張っていたんですが、これも石油業界や共和党がグルになってコテンパンに叩いて闇に葬り去った歴史があります。

このへんのドロドロした話はドキュメンタリー映画「誰が電気自動車を殺したか?」で詳しく描かれています。この映画を見ると、昨今の世界的なEVブームもCO2削減や大気汚染対策といったキレイ事で動いているわけではないことが認識させられます。

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電気自動車の読みもの https://www.evjournal.jp

米燃費規制緩和の衝撃
米トランプ政権は2018年8月2日、自動車の燃費規制を緩和する具体案を発表した。
(中略)
政府が決められる燃費規制を緩和することに加えて、カリフォルニア州独自のZEV(Zero Emission Vehicle)規制の撤廃を提案した。2021年モデル(2020年発売)の車両から適用する。

ハイブリッド車(HEV)を中心とした電動車両は米国で普及せず、「死ぬ」だろう。電動車両の終わりの始まりだ。米国にとどまらず、世界で盛り上がる「EV(電気自動車)バブル」も弾けるかもしれない。
Source: 日経ビジネス

今のEVブームって、アメリカが牽引してんだっけ?
いや、中国だろ!

一応、直近の米国におけるEV/PHEVのセールスを見てみましょう。

EV/PHEV SALES September 2018
Source: EV Sales

半分以上テスラじゃねーかw

トヨタのプリウスやホンダのクラリティはともかく、日産リーフやシボレー、フォードあたりはアメリカで生産してるんじゃないの?

電動化のシンボルであるテスラを叩くことでデトロイト3の労働者の溜飲を下げて、とりあえず中間選挙に備えとこうって感じかな。

テスラを叩いたところで、いまさらアメ車のエンジンなんて競争力無いじゃんw
それ言わないの!

米国の一国二制度の行方
現在、アメリカの自動車の環境規制は一国二制度とも言える状況になっています。

ひとつは米連邦環境局(EPA)が定める「CAFE」(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)。CAFEは米国で販売される車に適用される燃費規制です。

もうひとつはカリフォルニア州が作成して現時点で全米合計10州が適用する「ZEV規制」(ゼロエミッションヴィークル規制)。

ZEVとは排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車を指すもので、州内で一定台数以上自動車を販売するメーカーはその販売台数の一定比率をZEVにしなければならないと定めています。
アメリカは中国に抜かれるまで世界ナンバー1の自動車製造・販売国でした。
そのアメリカで自動車販売台数が最も多いカリフォルニア州の規制は世界の自動車市場への強い影響力があったため、ZEV規制がEVブーム火付け役になったといっても過言ではありません。

ところが、デトロイト3(GM、フォード、クライスラー)は環境技術があまり得意ではないのでハイブリッドなどの複雑な電動化には否定的。
むしろ多少燃費や環境性能は悪くても、ピックアップトラックやSUVなど利幅が大きい車を優先させたいという思惑があります。

デトロイト3はデカイのがお好き

そんな中でEPAのスコット・プルーエット長官は、「(連邦政府案で一本化するよう)カリフォルニア州との協議を進める」と述べるなど、連邦政府として将来的にZEV規制を消滅させる方向で規制緩和を提案しています。

米政府は今冬の法案成立を目指すとしていますが、英字メディアによるとカリフォルニア州などが提訴に動き出すなど対立は激化しています。

それでも世界は電動化に向かう
アメリカがどうあがいても、自動車産業が電動化に向かう流れは変わりません。
というのは、このブログで繰り返し主張していますが「EV化の本質は環境性能ではなく経済にあり」だからです。

現在ボトルネックになっているEVのコストパフォーマンスについては、まあミクロに見れば技術的に課題はいろいろあるんですが、マイクロトレンドでは先が見えています。

2024年までにEVのコストは助成金無しでも競争力を持つようになります。さらにバッテリーの価格は下落し続けるため、2029年までに全てのセグメントでエンジン車と同等水準に達します。
Source: BloombergNEF
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