私の思いと技術的覚え書き

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損害保険の共同査定という幻想

2021-09-29 | 問題提起
損害保険の共同査定という幻想
 これは私の幻想であるけれど、損保が何時ごろのことか、共同査定という思想があったことを聞いた思いでがあるので書き留めておきたい。

 その話しを聞いたのは、私が損保所属子会社の調査員になって、しばらくして本社勤務なってからですが、ある損保親会社の部長職から私の上司になる立場として移籍してきた部長職だったから聞いたことだ。それは、損保の保険金に掛かる調査について、共同査定を行うべきとの論議が一時あったという。その論議が、何処まで深いものであったのかとか、具体的な動きがあったのかなどの詳細は知り得ない。

 その内容としてかいつまんで記せば、損保全社において、査定部門の保険金を決める立場にある者を、別の共同査定なる独立した組織として確立させ、もって公平な査定(保険金)を決めるという思想だったと云うことなのだ。事例を云えば、自賠責保険は国が管理する共済保険としての性格を持つものだが、その査定は自賠責調査事務所という損保とは違うところで対応されているが、それに近いものだろうと思える。

 先にも記したが、この話しが何処まで深い論議があったのか、単なる少人数での内緒話程度に過ぎなかったのか、何れにしても詳しいその経緯は知らない。が、やはり損保それぞれの思惑もあったり、独禁法の問題だとか、別法人として立ち上げるとなると金融庁の理解と認可、その上で金融庁管理となると天下りを受け入れると云う問題も当然出て来るなどから立ち消えになったと想像できる。

 また、この共同査定の思想から行けば、現在事故車復元修理に関わる指数の策定を行っている「自研センター」という組織があるが、ここも損保とは独立した組織体制である必用があるだろう。さすれば、今でも、自動車板金工場の方々などから、指数の不透明さを訴えられることもあるが、相当程度にそういった不満や問題も解消できる余地が出てくると思える。

 ただし、その実現可能性としては、この話しは金融ビックバン以前で、損保がいわゆる護送船団方式で、同じ保険料、同じ約款で業務を進めていた時代のことだから、現在と比べれば実現の可能性も幾らかあった様にも思える。

 最後に私の損保調査担当者としての思いとして記すが、損保所属員だった時代に、後輩とか自社研修において、よくこんな云い方をしたものだ。
 
 損害保険会社は、公共事業者ではないけど、多くの善良な契約者を前提として、その保険料を決め事業を行ってる。その点では、公共的な側面を持った事業を行っていることを自覚して欲しい。だから、強い者に多く払い、弱い者に少なくという考え方は否定する。ましてや狡して保険金を騙し取ろうという者は徹底的に排除する意識が求められるのだ。と。


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