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「銅」を狙う窃盗事件が急増 背景に脱炭素!?【WBSクロス】

2024-06-05 | コラム
「銅」を狙う窃盗事件が急増 背景に脱炭素!?【WBSクロス】
6/4(火) 16:14配信 テレ東BIZ

銅線を盗むため切断されたチューブ

WBSクロス、今回のテーマは狙われる「銅」です。栃木・足利市の神社で5月28日、屋根に使われていた銅の板、約270枚が盗まれたことが明らかになりました。400万円相当の被害になるといいます。いま、このような「銅」などを狙う窃盗事件が急増していて、去年は全国で1万6200件超と前の年に比べて6000件近く増えました。さらに、特定の場所が集中的に狙われているといいます。現場を取材しました。

千葉県香取市。訪ねたのは田んぼの中に広がる太陽光発電所です。今年4月、この発電所の一角が被害の現場になりました。

「カバーの中に銅線が入っていたが、配管を切られて銅線も切られた。あちらの電線も切り、両方の電線を切ったところで引っ張り出した」(太陽光発電所を運営するスマートパワーシステムの井口茂雄さん)

太陽光パネルの下にある集電盤。ここから電柱まで伸びる15メートルほどの地中に埋まった銅線が盗まれたのです。被害はこの1カ所だけではなく、発電所内で6カ所におよび、盗まれた銅線の被害額は約150万円に上るといいます。

「去年も(銅線窃盗)をやられて復旧して、それで再度やられた。正確にいうと3回目」(井口さん)

防犯カメラに映った銅線窃盗犯

銅線を盗まれる被害は、この2年半で3回。過去の被害から防犯カメラを設置したところ、今回、窃盗の一部始終がカメラに映っていました。

夕方6時ごろ、上下黒い服を着た犯人が敷地内に入ってきます。仲間から大きな剪定バサミのようなものを受け取ると、電柱にある留め具を切断。そして銅線が入ったチューブを手慣れた様子で切断していきます。その間わずか10数秒。最終的に中に入っている銅線を引き抜いて持ち去っていきます。犯人は少なくとも男2人とみられますが、いまだ逮捕には至っていません。

「非常に悔しいですね。一日も早く捕まってほしい」(井口さん)

銅線が切られ、盗まれたことで、発電所の稼働は停止に。1日300キロワットほどを発電していましたが、復旧までには少なくとも3カ月はかかるといいます。

「復旧するまでは待つしかない状況で、かなり痛い」(井口さん)

銅の価格高騰の背景にEV需要?

急増する銅線の窃盗事件。都道府県別では、茨城や千葉、栃木など北関東で多く、特に太陽光発電所で多く発生しているのです。背景には何があるのでしょうか?

太陽光発電所の売買などを手がける都内の会社「グッドフェローズ」でも4月、自社の管理する栃木県内の発電所で銅線の窃盗被害に遭ったといいます。

「銅が高く売れてしまうのがまず一つある。(太陽光発電は)人けがないところで山の中などに多い。人目につかないので泥棒からすると窃盗しやすい場所というのが二つ目」(グッドフェローズの長尾泰広社長)

世界で需要が急増する銅。電気を通しやすい特性を持つことから、EV(電気自動車)ではエンジン車に比べて4倍もの銅が使われるほか、AIの普及に欠かせないデータセンターの送電ケーブルなどにも多く使用されています。

アメリカの金融大手「ゴールドマン・サックス」は、「銅は新たな石油だ」というレポートを発表。需要はさらに増える見込みで、価格はこの1年間で3割ほど高騰。5月には過去最高値を更新しました。

窃盗被害対策のアルミケーブル

こうした中、グッドフェローズが始めたのが、銅線の窃盗被害を防ぐ新たな対策です。

「これが対策品のアルミケーブル。アルミは全然高く売れなくて、銅の約20分の1と言われている」(長尾社長)

窃盗が相次ぐ銅線に代わり、買い取り価格が安いアルミを採用した送電用ケーブルを、5月から新たに導入しました。さらに別の対策も。

鉄板でできたプロテクター

この日、長尾社長が向かったのは、銅線の窃盗被害に遭った千葉県香取市の太陽光発電所です。開発したばかりの新たな対策を持ってきました。

「『タイナビプロテクター』という名前で、ケーブルを切られないようにこれで覆う」(長尾社長)

登場したのは鉄板でできたプロテクターという製品。厚さおよそ2ミリほどで、銅線のケーブルの周りを覆っていきます。金属用のハサミなどでも切れない厚さで、通常の工具では外せない特殊な留め方がポイントです。価格は小規模な発電所の場合、50万円ほどから。7月からの本格販売を目指します。

「かなり頑丈なので普通のやり方だと切れない」(長尾社長)

拡大する銅線の窃盗による被害。今後は自治体などとも連携し、防犯のための更なる対策を進めたいとしています。

「太陽光発電所を所有すると、窃盗に遭うというイメージがつくと再エネは広がりをみせない。再エネといえば国策であると思うので、何らかの連携を行政と一緒にしたい」(長尾社長)

銅は新たな石油!?

「銅の窃盗がまた起きたということですが、どんな手口が増えているのでしょうか?」(相内優香キャスター)

「茨城県警の検挙の例によると、多くがアジア系の外国人で不法滞在者も目立つ。太陽光発電の設備の大半が山の中にあり、夜中になると人目がない。窃盗団の間ではこれ(銅線窃盗)をやるのが一番、今は捕まるリスクが低いという情報が出回ってるようだ」(WBSの山川龍雄解説キャスター)

「背景には銅の価格の高騰もあります」(相内キャスター)

「アメリカのゴールドマン・サックスの予測が材料になっている。脱炭素に関わる太陽光、風力、EVは銅を使う。中長期的に見ても脱炭素は銅なくしてはあり得ないというレポートを出した。この辺りから実需だけではなく投機的な金も入るようになり、上昇している」(山川解説キャスター)

「このままでは太陽光発電の普及の足かせにもなりかねないですが、どんな対策が必要ですか」(相内キャスター)

「盗難の後の出口を抑えることが大事だ。結局どこかで金属の買取事業者が窃盗だと薄々わかっていながら買い取っているから、(窃盗を)助長している。警察と政府が協力して買取事業者に対する規制を強めることも大事だ」(山川解説キャスター)

「アルミの代替は難しいのでしょうか?」(相内キャスター)

「アルミは銅に比べると電力の伝導効率が落ちる。ただこういう状況になってきたら、多少効率が低下してもアルミを使うのも一つの対策だ」(山川解説キャスター) ※ワールドビジネスサテライト


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