私の思いと技術的覚え書き

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バス用扉の話し

2019-01-05 | 技術系情報
 大型バスを中心に乗降口扉の話しを記してみます。
 バス用の扉としては、大昔からある折り戸式、比較的広い開口部が得られるスライド式、主に観光バスなどに使用され高速時の風切り音や吸い出し音が少ないスイング式の3つ程の種類があると思います。今回は、このスイング式ドアについて、主にドア閉時の気密保持をどうやっているか、そのメカを中心に記してみたいと思います。

 この主に観光バス系に使用されるスイングドアですが、大きなウィークポイントとしては、ドア開時にドアが車体の外側に、2、30cm出っ張ることから、狭い場所やある程度高い縁石などに気づかず開くと当てて損傷してしまうことがあるのは、プロドライバーなら既知の注意点でしょう。

 さて、このスイングドアですが、閉動作をしますと、ドア本体が強く車体に押し付けられ、周辺のウェザーストリップ(ゴム)に押し付けられることにより、良好な気密を保つ仕組みが取り入れられています。この仕組みですが、閉まるドアの動作を観察してみますと、ドア閉操作で、ドアエンジンによりドアが移動して閉まりますと、その後ドア全体が上に移動するのが判ります。ドアを開けて、ドアの内側の前後を観察して見ますと、上下にくさび状の機構が前2ヶ所、後ろ2ヶ所付いているのが判ります。また、車体側の相当する位置に、ドアのくさびと対向する配置で、合計4ヶ所の反転したくさび状のロック機構が付いているのが判ります。つまり、ドア閉状態でドアを上に移動することで、くさび同士がか噛み合ってドアを内側に引き込む動作を行っているのです。この件、中・大型バスのエア動作式のみで、機械式ドアエンジンのマイクロバスを除きます。

 なお、ベテランプロドライバーなら知っていることでしょうが、使い込んだ車両など、くさび部が摩耗したり、油が切れて滑りが悪くなっていますと、ドア閉じ後の発車して暫くしてから路面の段差などでガタンと音がしてくさび部が嵌合するなんていう場合があります。この様な症状では、くさび部に軽くシャシグリスを塗布することで改善できる場合があります。

追記
 新幹線のドアはスライド式ですが、高速を走っても十分な気密を保つため、気密押さえ装置というのが付いていますので、関連情報として記してみます。私も過去に新幹線通勤を2年程経験し、毎日の様に0系、100系、300系、700系と当時のJR東海の総ての車両に乗る期間を過ごしましたが、希に混雑時に座れなくてデッキ部の乗降ドア越しに立つこともありました。ドアが閉まり発車しますと、しばらくするとドア気密装置によりドア全体が外側にギューと押し付けられるのを観察できます。この機構は、0系はドア閉じと連続して行われていた様ですが、三島挟み込み死亡事故(※下記)後に、気密作動の車速を300系以降では5km/hから25km/hに達してから行う様に改善したとのことです。なお、停車後も注意が必要で、もしスライドドアの戸袋部に指など入れていた場合、気密装置が解除されることで、ドアが押し戻されますから、挟み込まれて、そのままドア開で引き込まれる恐れがあります。この作動を見る都度、その内事故が起きるだろうなと思っていましたが、今のところ事故は聞きません。

※三島駅乗客転落事故(というか事件)

 JRは新幹線は開設以来、死亡事故は生じていない宣伝してますが、現実にこういうヒューマンエラー死亡事故を起こしていると云うことで触れておきたいと思います。
 1995年12月27日、JR東海三島駅で停車中の「こだま」において、17才の男子高校生が、降車してホームの電話機を使用していた。そこで、発車のベルを聞き、件の高校生は慌てて乗り込もうとしたところ、ボンクラホーム乗務員が気付かぬまま、ドア閉め合図を行い、しかも挟まれ車外に居る高校生に気づきもせず発車合図をし、また新幹線の乗務員および車掌も気付かぬまま発車したという事件です。男子高校生を手指を挟まれたままホームを引きずられ、ホーム終端で転落せしめ、頭部を車輪で引かれ即死したという痛ましい事件である。この時の車両は0系で、ドア閉と共に強く気密装置が作動してドアが圧着されたため、挟まれた指は到底人力では抜けなかった様です。確かなことは不明の噂の話しだが、ドアには被害者の指か手首が断裂して残っていたということを聞きます。事件の明細は下記リンクにて詳しいです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B3%B6%E9%A7%85%E4%B9%97%E5%AE%A2%E8%BB%A2%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85

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