私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

フィンガーシフトのエア漏れ

2018-01-28 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 フィンガーシフトとは大型バスに使用されるMT変速装置だ。今や大型トラックのMT変速でも圧縮エアを使用したアシスト機構(パワーシフトなどと呼称)の使用が常識的になっているが、トラックではシフトレバーとTM間はシフトワイヤーもしくはリンケージによる機械的な接続を有している。ところが大型バスのフィンガーシフトでは、シフトレバーとTM間の機械的接続はない。その昔、大型バスでもシフトレバーとTM間の機械的なリンケージ機構があったのだが、全長12mの車両制限でRR配置を行うとなると、シフトレバーとTM間は実質10m近くもの長大なものとなり、僅かな遊び(ガタ)がシフトレバーの大きな操作量となってしまうなどから、かなり昔からバス用として採用されている機構なのだ。

 シフトレバーだけを眺めると一般のMTと変わらなく見えるが、このシフトレバー根元のボックス内は単なるスイッチボックスであり電気信号をECUを経由してTMの空圧ソレノイドに伝えてギヤ選択させているというものだ。内容的には一種のバイワイヤ機構であるが、シフト操作でリニアにTM内のシフトフォークが動く訳ではなく、シフト操作によるON・OFFを、クラッチ踏んでいるか、オーバーレブとならないか(シフトダウンの場合)程度の条件の中でシフトフォークを動かしているというものだ。

 ところで、このフィンガーシフトだが、1本だけ細いエアパイプが接続されている。そして内部の小径シリンダーで上に押し付けている訳だが、これはシフト操作の節度感(反力)を与えることにより、より自然なシフト操作感を得ようと云うことの様だ。この小径シリンダーだが、使用されるピストンにブレーキのホイールシリンダのカップ様のラバーシールでシーリングされ摺動する機構になっている。長い使用において、このラバーシール(メーカーパーツリスト名:Yリング)が劣化すると、寒い時期においてニュートラル位置で、エア漏れ音が生じる様だ。ある程度経年したバスでは、よくあるトラブルの様で、ディーラー経由の部品手配は速やかに行えた。

 ちなみに、エアシリンダーサブAssyだと16千円だというが、シール(Yリング)とOリングの2ヶで3千円以下の部品代で修理は可能であった。








最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。