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プラグの過剰な締め付けのこと

2015-04-02 | BMWミニ
プラグの過剰な締め付けのこと
 先日のこと、BMWミニ(R56)のN12エンジンでチェーンのコマ飛びを生じ、その修復のことを記しましたが、プラグの締め付けにも問題があったことに触れてみます。

 このクルマの過去、何時メンテしたのか判りませんが、4気筒のすべてのプラグか明らかに過大トルクで締め付けられていました。そして、緩んだ後も、ネジ部にカーボンを巻き込んでいたことこともあるのだと思われますが、何時までも軽くならず手で廻るレベルにはならないというものでした。内、1本は異状に固くて、45°程度緩めては、再度戻すという反復操作を繰り返し、なんとか取り外すことが出来たのです。

 その異常なプラグは、ネジ部先端の数山がヘッドのアルミを巻き込んで、そのままではとても再使用出来るものではありません。このプラグはイリジウムプラグですが、片電極タイプ(中心電極のみイリジウムで接地側は通常の鋼)で、それなりの摩耗もしています。すべてを交換したかったのですが、国産の互換品がないことからバカらしい程高価で、ねじ山不良の1本のみ交換することとしました。

 なお、再度プラグを取り付けるに際し、そのままではヘッド側のネジ部を駄目にしてしまう可能性が高く、ホームセンターでタップ(12×1.25ピッチ)を購入し、すべてのプラグネジ部を修正しました。

 さて、再度のプラグの取り付けですが、整備士資格の保持者でも知らん方も居るようですが、新品プラグと再使用のプラグでは締め付け方に違いがあります。まあ、トルクレンチで規定トルクで締めれば良い訳ですが、そのトルクはプラグ径によって異なりますが、14mm径で30N・m(3kgm)と大して大きなものではありません。シリンダーヘッドやタイヤのハブボルトを締める様な、強い力で締めると過剰トルクとなります。また、トルクレンチがない場合は、手でガスケットが当たる部位まで締めてから、新品では180°程度締める、また再使用では30°程度締めるという回転角締め付け法があります。(プラグ径により回転角は異なります。)

 特に新品プラグでは、ガスケットが変形する余裕を持っていますので、やたら堅くなるまで締め付けるという締め方では過剰トルクとなり、ネジ山を壊します。

※完全にヘッドのネジ山をダメにした場合は、ヘリサート加工という修理手法がありますが、ヘッド脱着等々、その費用は結構高くつきます。



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