【過去の紀行文】ゼロ戦のこと 2005年9月4日
９月に入り、日射しも秋めいては来ましたが、まだまだ蒸し暑い日が続いています。そんな中、皆様方におかれましては、ご健勝でますますご活躍のことと想像しています。
さて、今回は、ゼロ戦の話題として記して見たいと思います。半月程前のテレビ番組で、「ゼロ戦に欠陥あり」という表題のドキュメンタリー番組がＮＨＫ教育で放映されました。ゼロ戦の主任設計者が堀越二郎さんという方であることは知っていましたが、この番組では堀越さんの部下であった曽根さんという方が近年亡くなり、残された遺品の中にゼロ戦開発に関わる設計メモが発見され、その内容を基に番組内容を構成したというものでした。ゼロ戦の、軽いが故に性能は高いが、防弾性能等の安全面にウィークポイントを抱えざるを得なかったということや、軍の要求と対応する設計者の苦悩といったこと等が、大変上手く解説されており興味を持って視聴しました。そんなゼロ戦に対する興味が湧く中、ゼロ戦や関連品多数が保存されているという河口湖自動車博物館に付属の飛行館というのが８月の１ヶ月間のみ公開されていることを知り、是非とも見学してみたいという気持ちが膨らみました。そんな思いを持って８月２５日の台風１１号の悪天候の中、上記飛行館への訪問を強行したのですが、その見聞内容として記してみます。
河口湖自動車博物館（別名原田コレクションとも呼ばれている様です）に付属の飛行館ですが、悪天候の中にも関わらず予想以上の方々が訪れていました。改めて、このゼロ戦という飛行機への感心を示すものだと感じます。
それ程広くない建物（倉庫風で３０ｍ×４０ｍ程度の広さ）の中には、ゼロ戦（２１型）を初めとして、修復途上のゼロ戦（たぶん５２型）のコックピット部分や、飛行機関連のエンジン等多数が展示されていました。 修復前（たぶん２１型）の機体もありましたが、おびただしい銃弾の痕跡に驚きます。これら銃弾痕やその他の変形の具合から、先のＮＨＫの番組でも云われていた、徹底的な軽量化を目指し極薄い外板で作られた機体であったことが実感されます。そして、この様なボロボロの機体を、ほとんど作り直す様にしてレストアが行われていることが想像され、改めてその苦労が偲ばれます。
多数のエンジンが展示されていましたが、やはり星形エンジンに興味が湧きます。昨年、京都八幡市にある飛行神社でゼロ戦の壊れたエンジンを見ましたが、ここにはほとんど新品同様に復元された栄エンジンが展示されていました。そして、分解された栄エンジンもあり、飛行神社で興味を持った星形エンジンのコンロッドやクランクシャフトの実物も目にすることが出来ました。
星形以外では液冷（水冷）エンジンもありました。Ｖ１２の熱田エンジンというもので、ダイムラーベンツ社のライセンスを得て日本で製作されたエンジンの様です。実機への搭載は写真の反対となり、シリンダーヘッド側が下方となる様です。この液冷Ｖ１２エンジンでは、面白い逸話があります。海軍の彗星という機体には、この熱田エンジン（愛知機械製）が搭載されているのですが、陸軍の飛燕という機体には、ほとんど瓜二つといえるＶ１２が搭載されていますが、こちらは川崎重工製となっていることです。両方ともダイムラーベンツのライセンスを別々に受けて生産された様ですが、陸・海軍の不仲を伺わせる逸話と思います。
以上、飛行館のことを長々述べてきましたが、飛行機や軍事のことに感心のない方にとっては、何ら興味が持てない内容であったと思います。その様な方にはお詫び申し上げます。ただ、ＮＨＫの番組の最後に解説者が述べていましたが、ゼロ戦は初戦の大勝利で成功したのですが、その後のグランマン等のライバル機の進歩等の環境の変化に対応することはできず、失敗を重ねて行ったという言葉が心に響きます。それは、現在の様に大きく世の世情が変化した時代にも通じることで、過去の体験からなかなか抜け出せず、右往左往する自分の姿にも共通したものを感じるのです。
01 ゼロ戦２１型（修復完了後） 05/09/04
02 修復途上の５２型 05/09/04
03 修復途上の５２型 05/09/04
04 修復前の２１型 05/09/04
05 修復前の２１型 05/09/04
06 栄２１型エンジン（レストア完成品） 05/09/04
07 栄２１型エンジンのシリンダーブロック 04/09/04
08 栄２１型エンジンのクランクシャフトとコンロッド等 05/09/04
09 彗星搭載の熱田エンジン（倒立Ｖ１２気筒）・搭載状態では写真の上下が逆に搭載される。 05/09/04
10 靖国神社の５２型 05/09/04
11 靖国神社の彗星 05/09/04
追記
何年か前に靖国神社を訪れた際、神社付属の「遊就館」という戦争博物館を訪れた際に見た、ゼロ戦５２型と彗星の写真も添付します。ここの５２型も上記の原田コレクションでレストアされた機体の様です。 送信日時: 2005年9月4日 日曜日 13:31（写真11枚）
９月に入り、日射しも秋めいては来ましたが、まだまだ蒸し暑い日が続いています。そんな中、皆様方におかれましては、ご健勝でますますご活躍のことと想像しています。
さて、今回は、ゼロ戦の話題として記して見たいと思います。半月程前のテレビ番組で、「ゼロ戦に欠陥あり」という表題のドキュメンタリー番組がＮＨＫ教育で放映されました。ゼロ戦の主任設計者が堀越二郎さんという方であることは知っていましたが、この番組では堀越さんの部下であった曽根さんという方が近年亡くなり、残された遺品の中にゼロ戦開発に関わる設計メモが発見され、その内容を基に番組内容を構成したというものでした。ゼロ戦の、軽いが故に性能は高いが、防弾性能等の安全面にウィークポイントを抱えざるを得なかったということや、軍の要求と対応する設計者の苦悩といったこと等が、大変上手く解説されており興味を持って視聴しました。そんなゼロ戦に対する興味が湧く中、ゼロ戦や関連品多数が保存されているという河口湖自動車博物館に付属の飛行館というのが８月の１ヶ月間のみ公開されていることを知り、是非とも見学してみたいという気持ちが膨らみました。そんな思いを持って８月２５日の台風１１号の悪天候の中、上記飛行館への訪問を強行したのですが、その見聞内容として記してみます。
河口湖自動車博物館（別名原田コレクションとも呼ばれている様です）に付属の飛行館ですが、悪天候の中にも関わらず予想以上の方々が訪れていました。改めて、このゼロ戦という飛行機への感心を示すものだと感じます。
それ程広くない建物（倉庫風で３０ｍ×４０ｍ程度の広さ）の中には、ゼロ戦（２１型）を初めとして、修復途上のゼロ戦（たぶん５２型）のコックピット部分や、飛行機関連のエンジン等多数が展示されていました。 修復前（たぶん２１型）の機体もありましたが、おびただしい銃弾の痕跡に驚きます。これら銃弾痕やその他の変形の具合から、先のＮＨＫの番組でも云われていた、徹底的な軽量化を目指し極薄い外板で作られた機体であったことが実感されます。そして、この様なボロボロの機体を、ほとんど作り直す様にしてレストアが行われていることが想像され、改めてその苦労が偲ばれます。
多数のエンジンが展示されていましたが、やはり星形エンジンに興味が湧きます。昨年、京都八幡市にある飛行神社でゼロ戦の壊れたエンジンを見ましたが、ここにはほとんど新品同様に復元された栄エンジンが展示されていました。そして、分解された栄エンジンもあり、飛行神社で興味を持った星形エンジンのコンロッドやクランクシャフトの実物も目にすることが出来ました。
星形以外では液冷（水冷）エンジンもありました。Ｖ１２の熱田エンジンというもので、ダイムラーベンツ社のライセンスを得て日本で製作されたエンジンの様です。実機への搭載は写真の反対となり、シリンダーヘッド側が下方となる様です。この液冷Ｖ１２エンジンでは、面白い逸話があります。海軍の彗星という機体には、この熱田エンジン（愛知機械製）が搭載されているのですが、陸軍の飛燕という機体には、ほとんど瓜二つといえるＶ１２が搭載されていますが、こちらは川崎重工製となっていることです。両方ともダイムラーベンツのライセンスを別々に受けて生産された様ですが、陸・海軍の不仲を伺わせる逸話と思います。
以上、飛行館のことを長々述べてきましたが、飛行機や軍事のことに感心のない方にとっては、何ら興味が持てない内容であったと思います。その様な方にはお詫び申し上げます。ただ、ＮＨＫの番組の最後に解説者が述べていましたが、ゼロ戦は初戦の大勝利で成功したのですが、その後のグランマン等のライバル機の進歩等の環境の変化に対応することはできず、失敗を重ねて行ったという言葉が心に響きます。それは、現在の様に大きく世の世情が変化した時代にも通じることで、過去の体験からなかなか抜け出せず、右往左往する自分の姿にも共通したものを感じるのです。
01 ゼロ戦２１型（修復完了後） 05/09/04
02 修復途上の５２型 05/09/04
03 修復途上の５２型 05/09/04
04 修復前の２１型 05/09/04
05 修復前の２１型 05/09/04
06 栄２１型エンジン（レストア完成品） 05/09/04
07 栄２１型エンジンのシリンダーブロック 04/09/04
08 栄２１型エンジンのクランクシャフトとコンロッド等 05/09/04
09 彗星搭載の熱田エンジン（倒立Ｖ１２気筒）・搭載状態では写真の上下が逆に搭載される。 05/09/04
10 靖国神社の５２型 05/09/04
11 靖国神社の彗星 05/09/04
追記
何年か前に靖国神社を訪れた際、神社付属の「遊就館」という戦争博物館を訪れた際に見た、ゼロ戦５２型と彗星の写真も添付します。ここの５２型も上記の原田コレクションでレストアされた機体の様です。 送信日時: 2005年9月4日 日曜日 13:31（写真11枚）
