私の思いと技術的覚え書き

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距離を測る技術の今昔

2009-04-13 | 技術系情報

 この写真のジオラマはタミヤ模型のフェアで見た作品です。多分、1/35スケール相当の小さな各人物等が、それは見事に作られ再Mikasakankyou?現されていて感心せずにはいられませんでした。このジオラマのシーンは、横須賀に保存されてている祈念艦・三笠の艦内に陳列されている当時の画家が描いた絵画をモチーフとしているのでしょう。また、司馬遼太郎氏は「坂の上の雲」で、日露戦争と当時の時代の背景を小説として描いていますが、日本海海戦時の記述では、この絵画も見込んだ上でのものなのだと想像されます。

 さて、ジオラマのシーンは、日本海海戦における連合艦隊旗艦たる三笠の上部露天艦橋のものです。この三笠は、自国生産でなく、英国ヴィッカース社製です。そして、露天艦橋に人物と共に、三脚に乗った水平の筒状のものが測距儀ですが、これも英国バー・アンド・ストラウド社製だと云います。正に大英帝国が興世を極めた時代だったことが想像されます。

 日本海海戦では驚く程に日本海軍の完勝だった訳ですが、砲の命中精度が日本側の方が良かったことに尽きる様です。そして、命中精度を制したのは、隊員の練度もあったのでしょうが、測距儀の使いこなしと配置数の多さにあったと云うことがある本に記してありました。

 この測距儀とは、昔のレンジファインダーカメラで、二重像合値式というレンズに連動した距離計が使用されていましたが、同様の原理を利用したものだそうです。

 砲の命中精度高める要素として、対象物までの距離は極めて重要な要素となります。特に長射程の砲程、正確な距離を計測する必用がある訳です。先の戦艦三笠で使用した測距儀の基線長(左右のミラー中央間の長さ)は、1.5mだそうですが、これが戦艦大和の46センチ砲用では、15m(正確には15.5m)の基線長を持った巨大な測距儀が使用されていたそうです。

 この戦艦大和も海軍工廠製ですし、15mの巨大測距儀も日本光学(現ニコン)製造と、総て内製されていたのです。しかし、時は既に光学式測距の時代ではなく、電波式のレーダー(この時代は電探と呼んだ)の時代となっていたのです。

 さて、現代のデジタル式を含んだカメラでは、オートフォーカス(AF)付きが当たり前ですが、この様な光学式(パッシブ式)は暗い所での測距を苦手にしています。そのため、補助光を発光させたり、アクティブ式として超音波を使用したりするものがあります。このカメラの生産において、世界を席巻している日本メーカーですが、AF技術の黎明期に特許侵害として米国のレイセオン社というメーカーに多額の保証金を支払わされています。

 ところで、クルマの世界でも、距離を測る技術が求められつつあります。比較的短距離においては、超音波式センサーとして、既に多くのクルマに採用されています。今後、求められているのがプリクラッシュセーフティとして、衝突を予測し自動的に減速させる仕組みです。この場合、前方数百メートルから数十メートルの測距を行う必用がありますが、超音波では困難な様で、ミリ波(77GHz付近)を使用したレーダー技術が使用されようとしています。既に搭載された車両もありますが、何れも高級車であり、そのオプション価格も数十万円と高価なものです。

 このプリクラッシュ用レーダーが高価な理由として、レーダーの送受信に使用する半導体デバイス(ガリウムヒ素チップ)のコスト髙がある様です。しかし、旧日本軍が開発に苦労した元来のレーダー技術も、マグネトロンという発信管(真空管の一種)の開発が上手く行かなかった様ですが、今やマグネトロンは1万円の電子レンジにも使用される時代となっています。そんなことから、現在数十万円のプリクラッシュ用レーダーも、劇的に低価格化する時代が来るのかもしれません。

 なお、スバルでは、CCDカメラ2個をフロントウインド上部左右に並列設置したパッシブ方式の測距を行う方式を開発中の様です。晴天昼間は良いでしょうが、夜間とか雨天等に難しさがありそうに思います。




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1 コメント

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最近、更新があまりなくて心配しています。 (一アジャスター)
2009-04-24 15:13:41
最近、更新があまりなくて心配しています。
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