アカメイトトンボは現在、北海道では最も絶滅の危機に直面しているトンボとなっています。かつての生息地/多産地はほぼ絶滅状態で、ここ数年確認されていないそうです。本種は北海道にしか生息しないトンボですが、現在知られている確実な発生地は僅か数箇所を残すのみとなってしまいました。今後、新産地が発見される可能性は低いのですが、人知れず北海道の何処かで世代を繋いでくれていることを願っています。最新のレッド・リストでは本種は遂にベッコウトンボ等(最上位ランク)と並びましたね。
アカメイトトンボは本来、ヤナギ藻やセンニン藻?といったヒルムシロ科の沈水植物に産卵するのですが、当生息地にはヒシしか生えていない為、かなり神経質になっていました。しかし選択肢が無いので、若いヒシの柔らかい部位を選んで産卵しているようでした。とりあえず、産卵を確認することが出来たので一安心です。
産卵行動が見られたのは夕方16時を過ぎてからでした。しかし、なかなか落ち着いて産卵してくれません。実はアカメイトトンボは産卵場所の好みがはっきりとしており、特定の植物が無い生息地では好みの産卵場所が見つかるまで次々に移動を繰り返すのです。
アカメイトトンボが現れたのは14時を過ぎた頃から。まだ個体数が少ない上に水面上を高速で飛ぶので、すぐに見失ってしまいます。なかなか思うように撮影できずに苦労しました。それにしてもこのトンボは本当に格好イイですね!去年は別の生息地で見ることが出来なかったので、実に2年ぶりの再会です。
こちらは更に黒化の進んだ個体。オオトラフ♂の撮影では、自分的にはこれがギリギリのラインですね(笑)。これ以上成熟が進むと、自慢の虎斑模様が分からなくなるくらい黒化してしまうので(老熟)、やはりこのトンボは成熟直後の個体が一番「トラフ属」っぽくていいですね。 写真:トリミング
午後は場所を移動して、アカメイトトンボの様子を見に行きました。まだ時期が早いのか?時間が早いのか?アカメイトの姿は見られませんでしたが、オオトラフトンボが飛んでいたので飛翔写真のリベンジです!少し黒化の始まっている個体ですが、ようやく納得のいく大きさで撮影することができました。逆光ぎみなので、ストロボを使った方が良かったかな~?
ここの生息地は浮草が異常に多い環境で、ほとんど水面が見えない状態となっていました。晴れると多くのカップルが次々とやってきます。産卵場所に対するこだわりは特に無いようで、植物の茎や枯死植物、浮草に産卵していました。
交尾を終えたカップルは樹上から降りてきて連結産卵を始めますが、太陽が雲に隠れると即フリーズ状態となってしまいます。本当に晴れていないと全く活動しないトンボなのです。産卵中のカップルはその場で休止状態となり、しばらくすると周辺のスゲや樹上に移動する行動が見られました。
注)今回の遠征記は「北海道ハイテクトンボブログ」でも紹介されていますので、合わせてご覧下さい。
カラフトイトトンボは普段、樹上生活をしており、生殖活動の為に良く晴れた午前中に限って水域周辺に下りてくると言われています。他のトンボ同様、♂が先に活動を開始するようで、しばらくすると♀が次々に現れました。私は特に♀を見てみたかったので、本当に感動です!いや~格好イイ!!♂より♀の方が格好いいって珍しいですよね。
写真:小型のクモを食べる♀
写真:小型のクモを食べる♀
週末は「北海道ハイテクトンボブログ」の広瀬さんと再びカラフトイトトンボを狙いに遠征してきました。数年前に一度、他のトンボ仲間に別の生息地へ連れて行ってもらったことがあったのですが、その時は個体数が少なく、ほとんど撮影になりませんでした。で、今回は大当たり!個体数も多くとても満足でした。
普段はほとんど相手にしていないエゾイトトンボ。そう言えば青型♀の交尾写真が無かったなと思い、撮影しておくことにしました。個人的には黄緑タイプの方が好きです・・・・・・・・・・そろそろアオヤンマがいい時期みたいですね~。
今年の旭川は「カオジロ年」と言ってもいいほど、本当に沢山の個体を観察することが出来ました。赤型♀から飛翔写真まで、既に2年分くらいの写真を撮らせてもらった気分です。カオジロに関してはもうお腹いっぱい!シーズン初めを楽しませてくれた彼等に感謝です。