思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

兵庫県西宮市・西宮神社の「福男選び」に参加してみた   

2007-01-10 08:00:11 | 自分の旅話(非日常)
突然だが、9日から14日の予定で関西方面に来ていて、先程、今回はいろいろある目的のひとつである、兵庫県西宮市の西宮(戎)神社(愛称は「えべっさん」)で毎年1月10日の6時から行なわれる開門神事「福男選び」に参加してきた。というか、例年の民放キー局の報道番組内でこの時期に組まれる特集などでもわかるように、神事と言うよりは競争の色が濃いため、「参加」ではなく「参戦」と表記したほうがよいかもしれない。

いやー、やはり若者が多く、想像していた以上の激しさであった。今年、昨年に続いて2年連続で一番福(1位)になった男子も若いよね。でも、全体的には彼のような体育会系の人だけではなく(まあ所属クラブのジャージを着たり、ハチマキを巻いていたりしたやつもいたが。ヘンなコスプレも少々)、僕のような一般的な服装の人も、さらには女子も意外と多く、そのあとすぐに出勤しなきゃいかんのだよ、というふつうの人も結構多かった。

僕はこの催しは10年近く前から気になっていて、毎年行く機会を作ろうとしていたが、ようやく今年になんとか日程が合い、参加できた。結果は、6時ちょうどの開門からなんとか転倒なしで1分30秒弱で完走できたので(転倒者続出。コース中で5人ほど見かけた)、おそらく着順は300位前後だと思うが、具体的な数字はよくわからん。一応、先着2000名に配布される「開門神事参加之証」という携帯電話のストラップのような飾りは獲得できた。
また、上記に「競争」と書いたが、基本的に走る人が多く、この催しは「競走」と呼んだほうがよいのかもしれないが、あの身体をガツガツぶつけ合ったり転倒者のところで後続の人たちが軽く将棋倒しになっているような光景を走りながら横目でチラッと見ると、やはりこの催しは「競走」よりもやや殺気立っていてより激しさのある「競争」という表現のほうが妥当かと思った。

実はこの6時間前の10日0時の、スタート前に門前の良い位置に優先的に並べる108人を選ぶための約850人による抽選会から参加していたのだが(主催者側はこの一団を「Aグループ」と呼んでいた。F1レースで言うところのポール・ポジション争いのようなもの)、そこから6時すぎに“競争”が終了するまでの過程は、以下に当日(2007年1月10日)の写真とともに振り返る。一応、今回の写真の撮影時間は時・分のみならず秒単位まで出そうかね。



0時0分50秒。門前の良い位置を獲るための抽選会に並ぶ。定員は108人で、約850人が並んだ。だから倍率は約8倍。8人に1人の確率では、当選はちょっと厳しいか。毎年このくらいの人数が集まるのかね。



1時5分8秒。抽選のためのくじを引いている様子。抽選は、箱のなかに割り箸がたくさん入っていて、そのなかに先端がマジックで赤く塗られている当選くじが108本入っていて、それを引けば当選、引けなかったら落選、という仕組み。
当選くじが出るたびに、ワーッ、とか、ウォーッ、とかいう歓声が聞こえた。あとに並んでいた抽選参加者から拍手が沸き起こっていたりもした。
たくさんの人が並んでいたため、僕が並び始めたのが9日の23時48分で、実際にくじを引けたのが1時7分であった。結果は落選。1時間以上並んで、走る前に少し疲れた。



1時8分16秒。社殿の脇に、抽選した結果、めでたく当選した人たちが集められていた。やはり比較的時間に余裕のある大学生・フリーター風情の男子が多かった。この日は平日でもあったし、当然と言えば当然の結果か(まあ抽選に参加していた僕も彼らとほぼ同類の身分ではあるけど)。



5時41分12秒。6時の開門を前に、僕は5時7分から並び始めた。そのときですでに僕の前には300人近くいたかな。門の脇や後ろに報道陣もバッチリ控えている。
で、顔や手や太ももをこすったりして真冬の夜明け前の底冷えに耐えながら開門を待っていると、この時間になっていきなり、僕の2m後方で強めの照明が焚かれ、テレビの生中継が始まった。うしろを振り返るのは面倒なので聞き耳を立ててみると、東京放送(TBS)の『みのもんたの朝ズバッ!』のようで、TBSはやけに力が入っているなあ、とちょっと呆れもした。というのも、上の抽選会のときも、同局の『サンデージャポン』の取材が入っていたところも見かけていたから。
だから、その生中継中にテレビカメラのほうに向けてカメラのフラッシュを焚いていたのは、僕でした。もしこの中継を観た方でその映像が見苦しかったとしたら、すんませんでした。



5時57分24秒。開門約3分前の門のほうを見るとこんな感じ。参加者は和気あいあい、という雰囲気も一部ではあるにはあるが、「真ん中の石畳は滑るし混むから、脇から回り込んで行こうぜ」などという作戦会議を開いている若者連中もいて、この時間になるとやや殺気立ってくる。
ただこれは、上の抽選会に参加した人などはそのときからまだ3、4時間しか経っていないため、並んでいる人の大半はほぼ徹夜状態ではないかと思われる(僕は近所の公園で2時間半仮眠した)。だから、それによって精神的にハイな状態になっているがゆえの殺気というか勢いではないかと思う。ちなみに、門前にいる抽選で当選した108人はここに4時30分集合、と主催者側からの指示があったため、余計に寝ていない、目がギラギラしている状態だったと思われる。
以前の先着順だったころは門前で寝袋を広げて仮眠する人もいたそうだが、現在は報道によって参加者も年々増えつつあるため、そういう行為も禁じられ、主催者側からのある程度の規範が確立されている(まあこれは数年前にあった門前に並ぶ順番の不正があった影響もあるのだろう)。



6時0分00秒。開門。ホントはこの瞬間は写真なんか撮っている場合ではないのだが、実は門前の108人とその後方の参加者とは人の壁で仕切られていて(ロープも張ってあるとか)、後方の人たちは開門しても108人から5~10秒ほど遅れてのスタートとなってしまう。つまり、上の抽選会で当選しないと一番福、二番福、三番福になるのはほぼ不可能ということ。だからこういう写真が撮れた。結局僕も開門から10秒ほど遅れてのスタートとなった。



6時0分50秒。この時間では閉まっている出店が並ぶ参道を激走中の一枚。一応、カメラを握り締めながら走り、面白い光景が見られればそれを撮ろうかな、と事前に思っていたが、さすがにそんな余裕はなかった。それに、前方で転倒している人やそれに引っかかって軽く将棋倒しになっている人たちを避けながら進まなきゃならんので、やはり前方の視界を確保しながら必死に走らざるを得ない。



6時1分26秒。社殿、つまりゴールに到着、の様子。距離は門から300mもないくらいなので、開門から1分以内に決着がつくのよね。息の弾んだ、おそらく全力で走るという行為は普段はめったにやらないであろう参加者が続々到着する。僕も全力で走ったのは高校の体育の授業以来かな。



6時5分6秒。開門から5分ですでに一番福、二番福、三番福への表彰式のような神事? を行なっている。後方から続々と到着する神事の参加者によって、元旦の大きな寺社(東京都内で言うところの明治神宮とか)の初詣のときのようなもみくちゃの状態になる。
僕も含めてあとから来た人には何があるというわけではないのだが(以前は先着100名だか200名だかに福袋を配布していたらしいね)、走り終えた人同士で健闘? を称え合ったり、さい銭を投げて年始の祈願をしている人もいたり、とにかくごちゃまぜのわけのわからん状態で、このなかに一時紛れ込んでいたというのはこれはこれで面白かった。



6時14分34秒。一番福、二番福、三番福には景品として米や酒が贈呈されるのだが、それを得て「獲ったどー!!」の図。参加者としてはやはり、優勝? した人の顔を拝んでみたいという心情はあるから、この瞬間は報道陣でなくても方々からのカメラのフラッシュが凄かった。



6時24分30秒。上の3人の若者が報道陣に囲まれて取材を受けている様子を遠目から見るとこんな感じ。
このすぐ右側で樽酒が振る舞われていたりもして、僕も一杯いただいた。最近は日本酒はあまり飲まないほうなのだが、西宮は元々酒造が盛んな土地なので、紙コップ1杯ではあったが美味しくいただいた。といっても次々に参拝者が訪れるのでその場でゆっくり飲んでいる場合ではなく、一気飲みだったけど。



6時25分54秒。社殿からの出口。この時間になると人も減ってきて、神事には参加せずにふつうに歩いて参拝に訪れた人もちらほら見かけるようになった。



6時37分32秒。神事のコース上の最後のほうの社殿入口の手前で左に90度曲がるところがあるのだが、ここが結構曲者、ということは報道番組でもよく触れられている。でも僕が走ったときはここでは転倒者はおらず、そんなに危険な状況ではなかった。
参拝後に社殿の入口であるテレビ局が神事後の生中継を行なっていたのだが、そこで神事の中継映像を再生した様子をチラッと覗き見すると、今回も一番福になった彼は独走状態であったね。やはり上位に食い込むには抽選会から参加しないとダメやね。



6時59分10秒。社殿からの帰りに門から20mほどの直線の参道を確認してみた。59分前は興奮の坩堝と化していた場所であるが、この時間になるとふつうの神社としてすっかり落ち着きを取り戻している。
ここですでに転倒していた人もいたが、あの人たちはケガしなかったのかなあ。大丈夫かなあ。僕は過去のこの神事の報道を観ていて、転倒だけは絶対に避けたい、と強く思っていて足元にかなり気を遣っていたために今回は転倒なしで完走できたが、後方から押されたりする場合もあるから、やはりちょっと怖い。この催しに参加するにはある程度の覚悟が要る、と思う。しかも今年のように、曜日は関係なく毎年決まって1月10日に開催されるため、勤め人は特に注意ですな。この日に身体のあちこちを痛めたほうほうの体で出勤した人は100人くらいはいるはずだ。



7時0分20秒。開かれた門も1時間経つと報道陣もはけて元の状態に戻っていた。内側から見るとこんな感じ。
この開門神事はテレビで観るだけで済ませるよりもやはり参加したほうが楽しかった。いつかまた、もうちょい事前の準備に力を入れたうえで参加してみたいものだ。


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