思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

第6回一箱古本市出店備忘録

2008-05-05 09:00:09 | その他趣味

本ブログで先月から度々触れてきた、不忍ブックストリート・第6回一箱古本市2日目に一昨日、「人力旅人の本箱」の屋号で出店した。

だが、当日朝は前夜からの雨が残り、しかも全国的に関東地方以外は好天で北海道・釧路を除いては他地域よりも気温が低くなっているというなんだかお天道様にいたずらを受けている感もある? 東京の雨天で、昨年同様にいつもの登山で使っている60リットルのザックに出品する本を満載しながら“谷根千”に移動するのは少々難儀した。今年もその重量は30kg近くはあったかも。そろそろガラガラ引く(押す、ではない)キャリーカートを導入しようかな、とも考える。
途中、JR西日暮里駅構内のそば店でこれまた昨年同様に景気づけにカレーライスを食べてから(昨年と異なるのは、100円増の大盛りを食べたこと)、今回の集合場所である往来堂書店に10時の集合時間ギリギリに着いた。

その後、当初の僕の出店場所であるクラフト芳房は雨で地面が思いっきり濡れていたり、屋根はあっても微風で雨も吹き込む可能性もあったりして営業は困難ということで、さらに数分歩いたところにある根津教会(住所:東京都文京区根津1-19-6)で間借りして営業することになった。悪天によるこの場所移動は想定内のできごとだったようで。
ただ、午後に雨がやんで晴れてきたらまた元の場所に移動するかもしれない、という事前の注意もあり、あとで移動するのだろうかどうなんだろうか、と不安な心境で箱の準備を進めながら11時の開店を迎えた。でも結局は、13時前にクラフト芳房への移動はなしよ、という決定が言い渡され、結局は雨がやんで青空も見えるようになった16時の終了まで根津教会で営業し、元々ここに入っていた6箱?(1箱欠席だった?)と計3箱のクラフト芳房組(「つん堂」さん、「ブックマーク・ナゴヤ」さん、拙店)も加わって大所帯になり、昨年のコシヅカハムよりもかなり賑やかな出店となった。
小耳に挟んだところによると、一昨日のクラフト芳房を除く計8か所の「大家さん」と呼んでいる出店場所のなかで、場の雰囲気はこの根津教会が最も良かったと好評だったようだ。これは雨の心配がまったくない室内で行なえたという好影響もあるのかな。
今回の雨による出店で間借りしてお世話になった根津教会さん、そして今回は雨で出店はできなかったけれども場所を提供してくださったクラフト芳房さん、ありがとうございました。

で、今回の拙店で何が売れたのかを、詳細を挙げるのは面倒なのでとりあえず売れた時間と書名のみ挙げておく。販売価格と今回売れなかった商品は内緒。あ、でも、拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)は手売りするときは毎回統一している1000円で出していたけど。

11時42分 『長い旅の途上』(星野道夫、文春文庫)
12時22分 『東京山の手外歩く地図帳』(山と溪谷社)
12時33分 『自由に至る旅』(花村萬月、集英社新書)
12時49分 『旅の手帖 2006年8月号』(交通新聞社)
13時20分 『自転車をめぐる冒険』(疋田智、東京書籍)
13時30分 『東京下町自転車散歩マップ』(ロコモーションパブリッシング)
13時31分 『東方見便録』(斉藤政喜・内澤旬子、文春文庫) 
13時40分 『本日順風』(野田知佑、文春文庫)
13時53分 『日本雪山登山ルート集』(中村成勝、山と溪谷社)
14時27分 『島旅の楽しみ方』(河田真智子、山海堂)
14時38分 『沖縄人力紀行』(藤本亘、彩図社)
14時40分 『またたび』(さくらももこ、新潮社)
14時51分 『山でバテないテクニック』(羽根田治・中村みつを、山と溪谷社)
14時51分 『山で困ったときのテクニック』(岩崎元郎・岡本まさあき、山と溪谷社)
15時01分 『八甲田山死の彷徨』(新田次郎、新潮社)
15時33分 『散歩の達人 2008年5月号』(交通新聞社)
15時46分 『コッツウォルズを自分で自由に歩きたい人へ』(フットツーリングクラブ、山浦正昭)
16時00分 『沖縄人力紀行』(藤本亘、彩図社)

こんな感じ。購入者は計17人で、その男女比は10:7だった。
出品60点(種類)のうち売り上げ点数は18点(冊。厳密には拙著が2冊売れているので点数では17点・種類とも言える。実行委員会に終了後に申告した数字は1点多く数えてしまって間違えました。すみません)、売り上げ金額は計7500円で、昨年よりも500円増であった。うーむ、価格はかなり見直したので総額1万円は超えられるかもと思ったのだが(拙著がもっと売れればなあ)、結局はこうなった。
僕のなかでは、これはいけるでしょうと自信があったものが売れず、逆にそんなに期待していなかったものが売れたという予想外の展開もあった。人生とはそんなものか。

ちなみに、この売り上げのなかで特に来客が触った回数が最も多かった本が『コッツウォルズを自分で自由に歩きたい人へ(フットツーリングクラブ・山浦正昭)』で、本ブログ2006年12月2日の投稿でも触れている歩き旅業界の重鎮・山浦正昭氏の、ほぼ手書きでイギリスの歩く道をくまなく記録した自費出版的な冊子で書店には絶対に置いていないこれを、25人以上は見ていったかな。最後のほうで売れて良かった。
ついでに触った回数の多さでの2~5番目も挙げておくと、2番目は拙著。でも箱のそばに出していた拙著見本はパラパラとめくるけれども実際にはそんなに売れなかったなあ。主催者の南陀楼綾繁氏も触っていったのだけど。

あと3番目以降は結局は売れなかったものだが挙げると、3番目は『ときどき意味もなくずんずん歩く』(宮田珠己、幻冬舎文庫)。2003年に旅行人から出版された『52%調子のいい旅』の文庫改題版で、書き下ろしエッセイを1点追加して、さらに解説は最近人気の辺境作家・高野秀行だったりもして(ベタ褒め)、旅本の分野では奇才? である“タマキング”の世界にどっぷり浸れるかなりお得な1冊。もったいない。
4番目が『自転車生活vol.4』(出版社)という現在も刊行が続いている自転車初心者向けのムック。これも冒頭のタレント・吉本多香美とアフリカ自転車娘・山崎美緒の対談のほかにも、マンガ家・吉田戦車の自転車エッセイや、自転車で(会社の有給休暇を利用して)世界一周した坂本達の自転車と旅の装備の誌上公開など、内容はかなり濃いものなのにー。
5番目は『沖縄食堂』(生活情報センター)。東京・横浜の沖縄料理店のガイド本なのだが、レイアウトも写真も解説も良くまとまっていて、これはかなり自信があったのだがなあ。値段は高かったかなあ。

なお、拙著は営業時間内に2冊売れたが、さらに片付け後の18時からの打ち上げの直前つまり時間外に1冊売れて、売り上げ金額は公式には計7500円だが非公式には計8500円となった。しかも買い手は3冊ともに今回の一箱古本市の出店者と関係者であった。ホントは一般のお客さんにも売れてほしかったけど、ひとまず僕の箱の内容を見ていただいて、「人力」へのこだわりの強さが伝わればまあいいかな。でも昨年の4冊は超えられると思っていたんだけどなあ、という悔しさも少々ある。

来客を見ると、高校生から僕の両親くらいの年代と見られる年配の方まで、昨年同様にいろいろな方が訪れて、楽しかった。以上のような売り上げにはつながらなかったけれども出品した本にちなんだ旅話(特に沖縄県)や登山話も、昨年以上にできたように思う。
ただ、そのなかで拙著でも拙店の屋号でも強調している「人力」についてはもうちょい主張できたかな、と反省する余地はあるし、また営業中にお客さんから意見をいだたいたなかで、民俗学者の故宮本常一の本もあったほうが良いのでは? よく歩いた人だし、というのがあったのだが、たしかに僕もそれは考えていたのだが結局は今回は出品にまでは至らなかった。来年以降は善処します。

一昨日は僕が(ひとり出店のために)1日じゅうずっと店に張り付いていた根津教会でこりゃあ凄いな、と感心したのは、隣で出店していた「あずき・きんとき」さんがふつうの本以外にも豆本や絵ハガキなどいろいろ出品していて特に賑わっていて(その来客の多さのおかげで拙店も数回侵食されてしまいそうになったが)、昨年もそうだったのだがなぜか僕の近所の店は特に賑わい(昨年で言うと、(今年は往来堂書店で出店していた)「古書北方人」さんなど)、終了後の打ち上げで表彰されるくらいの好成績を収めるというジンクスが出店2回目で確立された、かな。こだわりが強くて売り上げ面では微妙な拙店は、なんか当て馬っぽいなあ。
もうひとつ印象的だったのは、根津教会では知り合いの「放浪書房」も出店していたのだが(実は拙店の序盤の売り上げ記録の『長い旅の途上』と『東京山の手外歩く地図帳』の購入者は放浪書房だった)、来客を随時迎えるときの店主・とみー氏の、

「旅の本しか置いてません」

という売り文句が面白く(特に「しか」が)、店の雰囲気も終始和やかだった。そんなことやこの店独自の黄色地に黒字の手書きPOPの質の高さもウケて、終了後の打ち上げでは個性のある店のひとつとして表彰されていたが、たしかにそのくらいの力はあるよな、と千葉県・南船橋のららぽーとの路面店? にも数回行っていてその雰囲気と彼の趣味嗜好をすでに知っている僕としては、他人事ながら同じ旅主体の本を扱う者として嬉しかった。ただそのぶん、拙店はこの場では彼とは商売敵とまではいかないが旅からさらに「人力」に特化して差別化を図らなければ! と対抗心も少々燃やしていたけど、結局はかなり水をあけられた感がある。

あとは、僕はひとり出店でほかの出店場所は覗きに行けなかったので詳細はわからないが、知り合いでは映画保存協会で出店していた「野宿野郎」も打ち上げでネタにされていたくらいに好評だったらしく(でも表彰対象外)、拙店でも昨年にかとうちあき編集長から投げやりに譲り受けた『野宿野郎』5号の傷モノ中古品を1点販売していたのだが(しかも今やかなり貴重? な特別なおまけ付きで。本誌よりもこれだけで充分元が取れるはず)、これもお客さんが触った回数は多かった。若い娘がなんで野宿を? と拙店でも話題になり、この娘はおかしいんですよ、というふうにこれも少々解説しながら宣伝しておいた。でも結局は売れなかったけど。

終わってみると、昨年よりも時間が経つのが早く感じてもっと営業したかった、というのが正直な感想。昨年も思ったが、やはり16時で終了というのは時間が短い気がする。この時期は陽の長さも延びているし、時間を1時間くらい延長してもそんなに問題ないのでは? 午後遅くに谷根千に来て、ほかの場所も巡りたかったけれども行けなかった、というお客さんの無念さも少々聞いた。

終了後、18時から1時間強の打ち上げに出席し、上位は点数で90点以上、金額で2万円以上売り上げたりして、凄いなー、拙店はまた全店の平均以下の結果だよ、と落胆しつつもほかの出店者の顔を見ながら、また来年の出店への意欲が湧いてきた。
その後、「放浪書房」と、ギャラリーKINGYOで出店していたその友人の「piano key」の店主との打ち上げのような食事会に僕も混ぜてもらい、みんなほぼ同年代ということもあっておおいに盛り上がり、夜のこれも日中の出店も含めて全体的には昨年よりも楽しかった。
これで終始晴れていれば最高だったんだけどなあ。でもこの場で飲んだビールが旨かったからまあいいや。

一応は今回もプラス収支で終わっているし(でも出店料2000円などの諸経費を差し引くと儲けは半分以下になる)、まあまあかな。でもまだやれることはある気はする。来年また出店できた暁には売り上げ1万円超えを目指す! という目標はすでに立てている。「旅」で「人力」というかなり制約のある内容だが、達成できない数字ではないと思う。
引き続き誰がなんと言おうと、「動力」との対比をあえて狙っている「人力」の分野にこだわり続けることにする。今日から早速、来年に向けて再始動しようっと。まずは宮本常一本から探してみようか。


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4 コメント

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お疲れ様でした。 (パコ)
2008-05-05 20:42:00
ども、piano keyのパコです。
買わせていただいた本、ゆっくり読みますね。
友人にも紹介しておきました。

全然関係ないですが、昔のブログにあった
わんこそば。僕も同じお店でチャレンジしました!
結果は132杯。
ほぼ徹夜で行ったのですごくしんどかったですが、
そばとその他の薬味など結構おいしくてビックリしました。
ではでは、次の目標に向かってがんばってください。
僕もがんばるっす。
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どちらかと言うと (わたる)
2008-05-07 08:13:53
先日はお疲れさまでした。楽しかったです。
どうやら僕はキング星からやってきた使者? の扱いのようです。もうなんでもよいです。

拙著はかなりの劇薬? で副作用も強いかもしれませんので、あらかじめご注意ください。
正直、副作用のほうを狙って書いたので面白味はないと思います。でもヒトとして大事な
ことは押さえているつもりではあります。

そうですね、一箱古本市は来年も出るつもりなので、今年もいろいろな書店を巡りたいで
す。ただ、今の時点ではどちらかと言うと、本集めよりも昨夏の悔しさがいまだ残るわん
こそばのほうを頑張りたいです。まずは盛岡を再訪したいですね。
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もしもし♪ (華の若武者べっち)
2008-05-09 18:31:59
どなたか「沈黙の艦隊」を全巻出品してる人はいましたか~?
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JR中野駅から北へ徒歩5分 (わたる)
2008-05-10 08:33:14
べっちさん、それは東京都・中野の中野ブロードウェイに行ったほうが話は早いと思います。

マンガを出品している方はゼロではないですが、あまりいないのではないかと思います。かなり
マニアックな本好きばかりが集まる催しですから。
マンガはブックオフとかのほうが充実していますね。

とか言いつつ、僕も最近大ヒットのものを1冊出品していましたが。
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