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劣悪な環境で次々死んでいくフクロウ・・・

2017-02-26 06:15:20 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

劣悪な環境で次々死んでいくフクロウ・・・
フクロウカフェの元スタッフが内部告発

2017年2月5日 おくたま経済新聞

とあるフクロウカフェで働いていたという元従業員が、その実態をNPO法人アニマルライツセンター(東京都渋谷区)に告発し話題となっています。
告発によると、フクロウカフェの元スタッフは、2015年から2016年に働いていたというフクロウカフェの内部事情があまりにフクロウたちにとって酷い環境であったとしています。
本来生きられたであろう寿命を待たずに亡くなったフクロウは「お迎えが来て新しい飼い主さんに引き取られた」とお店のホームページで虚偽の報告をされ、亡骸はその都度裏の空き地に埋められていたそうです。
フクロウたちは糞尿が増えるという理由で与える水分を極端に減らされており、喉が乾き嘴の下に特徴的なサインを出しても対処されることはありませんでした。
体調不良となり死んでいったフクロウはギリギリまで我慢し、止まり木から急に落ちて倒れるような形で死んでいった子もいたそうです。

■フクロウは飼うことが難しい
告発した元スタッフによると、働いていた1年で亡くなったフクロウの数は7羽。
明らかに異変があったにもかかわらずオーナーがフクロウを動物病院につれていくことはなかったのだとか・・・。
そこでフクロウの飼育について小鳥の診察などを扱う山梨県の笛吹どうぶつクリニックの伊藤宗徳院長に話を伺ったところ「そもそも、フクロウは極端にストレスに弱い」のだそうです。
「カフェですと恐らくケージ飼育でないでしょうし、放し飼いが出来ませんでしょうから、リーシュ、リードに繋いでいるのかと思います。当然自由がききませんし、何よりもケージ飼育が理想なのに、ケージという遮蔽物がないので、直接的に対人ストレスが加わり、その際に逃げる手段もないので、可哀そうですね。ストレスにより絶食を決め込むと、まもなく死んでしまう個体もあります。また飲水は、当然生き物ですので自由飲水が必要です。好きな時に、必要に応じてお水が飲めるようにすべきです」(同院長)。
また、今回告発されたフクロウカフェは、フクロウの飼育だけでなく、カフェに訪れたお客様に提供する飲み物を扱う流し台で、フクロウのエサであるウズラやネズミを扱っていた問題も指摘されており、衛生管理面に対しても疑問の声が上がっています。

■動物愛護法の観点から
今回告発されたフクロウカフェは、特に「動物の愛護及び管理に関する法律」の第二条に反しているのではないかと指摘されています。
これは「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」というもの。
さらに第二条の2では「何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。」としており、これに関しても告発の内容から適切に取り扱われていなかったのではないかと指摘されています(※アニマルライツセンターサイトより抜粋)。
その他にも、告発文の内容から違反していると考えられる点がいくつも挙げられています。
アニマルライツセンターの担当者に問い合わせたところ
「自由に動き飛ぶことのできる広い空間、水浴び場や砂場、飲水設備、様々な形状の止まり木、これらはフクロウにとって必要なものです。(中略)目がクリクリとしてフクロウは愛らしく、触ってみたくなる気持ちは分かります。しかしその欲求を満たすために、フクロウは自由を奪われ不特定多数の人に触られ続けています。フクロウカフェが乱立する今、これが果たして人と動物との正しい関係なのかどうか・・・」とのことでした。

■一方で良質なフクロウカフェに助けられる人たちも・・・
そんなフクロウは、飼育が難しいからこそ猛勉強した上で自宅にお迎えする飼い主さんが多いことも事実です。
そして、そんな飼い主さんたちがフクロウを飼おうと思ったきっかけにフクロウカフェの存在がきっかけということは少なからずあるようです。
フクロウカフェの中には触れ合いを禁止し、お客様とフクロウのスペースを何らかで仕切る、ケージに入れるなどしてストレスをできるだけ少くした環境で運営しているカフェも存在しています。
そんなカフェは飼い主さんたちの情報交換の場ともなっており、インターネットや書籍だけでは不足する現場の生の声を聞き、リアルな飼育法を教えてもらえる貴重な場なのだとか。

■署名活動が行われている
今回の告発を含め、署名サイト「change.org」にて、「拘束されて動けない フクロウのカフェに終止符を」と題して署名が募られています。
署名を募る主旨は「ストレスに弱いフクロウを見知らぬ人に頻繁に触れさせたり晒すという“ふれあいカフェ”というビジネス」の廃止や現在営業中のフクロウカフェに飲水器の設置を指導するようを求めるもの。

アニマルライツセンターによると、2017年1月までに北海道をはじめとする14のフクロウなどの展示業者(ふれあいカフェ、販売、展示)に対して署名及び要望を提出しており、意見交換ができた業者もあれば話し合いに応じてもらえない業者もあったそうです。
フクロウ愛好者からは良質なカフェもあると意見が挙がる一方で、「フクロウは管理が難しい」という声もあり、例え触れないことを前提としたカフェであっても、フクロウをストレスなく過ごさせることができるかどうかに疑問が残ります。

【関連:抜け道だらけ?日本の動物愛護法】
【参考】
内部告発-フクロウカフェ
change.org

(大路実歩子)