TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

妙義山/錦繍の秋山

2011-11-23 | 写真日記

上信越道からフロントガラス越しに目に飛び込んでくる、ギザギザした岩のピークが連なる
特異な山は、上毛三山(赤城・榛名・妙義)の一つ妙義山だ。正確には、白雲山、相馬岳、金洞山、
金鶏山を表妙義、その向いの裏妙義を含めた山塊を妙義山と呼ぶそうだ。

松井田妙義ICから5分ほど走った「みょうぎ道の駅」からは、表妙義が真正面に望める。

 

コースマップにある尾根の縦走路は、危険な岩場が連続するため、体力と技術のある経験者向き
上級コースとなっていて、一般登山者は中腹につくられた中間道を歩くことになる。

                                

2005年5月の連休に、白雲山~相馬岳を経て堀切(ほっきり)まで縦走したのだが、いやはや
キビシイ岩場の通過と不明瞭な径路に神経をすり減らした。
登山道に入るとすぐに岩場をトラバースする鎖場が二ヶ所あってドキッとさせられ、奥の院へ
と鎖を直登すれば、こんどはビビリ岩なる鎖場で、息つく暇なく難所が現れた。

  

奥の院鎖場と天狗岩の絶壁(岩の縁を登っていく登山者が見える)

 

30mの鎖を下降した後の 
大のぞきから眺める景色は雄大で、

 目の前に裏妙義、
さらに遠くに浅間山と、中間道では得られない素晴らしい大展望が得られる。

天狗岳の先に中間道へ下る道があり、ここで下山する人も多い。
天狗岳から主峰・相馬岳のピークに達すると、ここからはバラ尾根へと下っていくのだが、
ザレた尾根道がつづき写真を撮る余裕もなく、途中で道がわからなくなったりと時間がかかった。
すれ違った単独の男性は、ここを歩くのは今回で34回目と言い、慣れた足どりでサルの
ように駆け抜けて行くのを、あっけにとられて見送ったが、たしかに変化に富むスリリングな
縦走路は、何度歩いてもおもしろいかもしれない。

鞍部の堀切に着くと、この先には核心部となる難所の鷹戻しがあり、堀切の道標には
中ノ岳まで3時間とある。時刻はすでに15時だったので、ここで中間道へ出て下山。
休憩をとり、妙義神社へ戻ったときはすでに日暮れて暗かった。
あとで思ったことだけど、鷹戻しなんぞへ行っていたら、即日ニュースの人となり、
「バカよねぇ、身の程わきまえずあんなところへ行ってさ」、、なんて、
お茶の間でせせら笑われていたことだろう。(;´∀`)

  

そうそう、気の抜けない縦走路がつづいたけれど、目の覚めるような新緑に赤やピンクの
ツツジが山道を彩り、岩場にはミョウギイワザクラのかわいい花も見られ、おおいに緊張を
ほぐしてくれたことを申し添えておこう。

 

                          

 

さてさて、前置きが長くなったけど、そんな想い出深い妙義山を11月16日に再訪。
中間道で、妙義神社~中ノ岳神社までを一周するコースを歩いてきた。

妙義神社入り口より眺める妙義山、天狗岳から相馬岳の上空に月が見えている。
大の字の看板から上が表妙義の尾根道、その下の木立に隠れた部分に中間道がある。

中間道とはいえ、石門群には鎖場がいくつもあるので、看板には登山届を出すようにと
書かれていたので、いちおう書いてポストに入れた。「クマ出没中」の貼り紙に、
しまった!鈴を忘れてきたと思ったがすでに遅し、薄暗い檜や杉の樹林をのぼりながら
クマちゃんに遭遇しないことを祈った。 平日なので前後ともに誰もいない。

 

  

15分ほど進むと、針葉樹から落葉樹に変わって道は明るくなり、右に大の字への分岐が見えてくる。
直進するとすぐに第一見晴らしに着いた。ここにも短い鎖があるが、掴まなくても登れる。
 

 ここからの眺めは
期待するほどではなく、右の木立が邪魔して後ろの山が見えない。

 

 

   

さらに15分ほど歩くと大黒滝で、滝といってもうっすら水が岩を濡らしている程度。
滝のすぐ先が第二見晴で、鎖を掴んで岩に立つと逆光に金鶏山が望めたが、
ここもそれほど展望ではない。 ここまでは風がやたら強く、帽子を何度も風に飛ばされた。
こんなに風が強いと石門の鎖場通過が不安になってくる。

 

 

  

このあたりから黄葉の美しい道となり、歩く楽しさが増してくる

 

  

赤い実をたわわにつけたムシカリが青空に映え、秋の陽射しに包まれた薄紫の実を
淡い光沢が被うムラサキシキブがとてもきれい

 

   

タルワキ沢のエスケープルートを過ぎると、せり出した岩の下にピンクのニット帽を
被った岩、本読みの僧がある。
この地点が中間道の真ん中で、登山口からのんびり歩いて1時間30分。

 

道は緩やかな登りになって、真っ赤に色づいた葉が増えてくる。

モミ、ツガ、イヌブナ、コナラ、カエデ、ミズナラと、針葉樹と広葉樹が混生する
妙義山は、深い緑と紅葉や黄葉が見事な対比を見せてくれる山で、

 

   

色づく木々に目を奪われながらのゆっくりペースで、10時ちょうど四阿(あずまや)に着いた。
ここからは、
相馬岳からバラ尾根の稜線が真上に見える。
よくまあ、あんな危なっかしいところを
歩いたものよと、過ぎし日を思い出し、しみじみ感慨にふける。

そして、四阿から大砲岩までの山道は紅葉のハイライト
やせ尾根と険しい岩場が連続する尾根コースからは、同じ山とは思えないくらい
中腹の中間道は明るく、

 

  

黄から橙に綺麗な色づきを見せるハウチワカエデ

 

ヤマモミジの幼木か?
地面から2枚の葉を出していた。

 

紅燃ゆるといったらいいか、鮮やかな赤がとても美しいコハウチワカエデ(?)

 

 落ちている葉を並べてみると、
上から、メグスリノキ、コハウチワカエデ、ヒトツバカエデ(黄)だろうか??

 

山道を一歩進むたび、「わぁ!きれい~!」と叫んでしまうほど豊かな彩であふれる森。

 

橙、黄、緑、赤、茶と、色の混ざり具合も、自然ならではの絶妙さ。

 

こんなふうに、次からつぎへ 
美しい秋景色を見せてくれる妙義山、歩みは遅々として進まない。

 

 あの峻険な岩尾根からは
想像できないほど、穏やかな気分に包まれる中間道の山道。すれ違う皆さんも、
「綺麗ですね~ お天気と紅葉ドンピシャのきょうは最高ですね」と顔をほころばせる。
風もおさまって、秋の陽射しが降りそそぐ山肌は汗ばむくらいの暖かさ、ほんとうに
気持ちがいい

 

 

   

さて、のんきに紅葉狩り気分で歩いていたら、梯子が出てきた。
両側が切れ落ちたやせ尾根に鉄梯子がかけてあり、ずっと奥まで続いている。
ありがたいですね~ これなら安心して歩けるというもの、上の縦走路だと何もないこんな
道をヒヤヒヤしながら通過するしかなかったもの。。

 

  

梯子の先には岩がオーバーハングした道で、頭をぶつけないよう中腰になって歩く。
もういいだろうと思って身を起こしたら、ガツンと岩に頭をぶつけてイテテッ
さらに岩壁に沿って下る。人が歩いてますが、ちょうど岩壁の真ん中あたりを通過する。

 

 

大砲岩の分岐を左へ行くと、見晴らしのいい岩に立てる。
目の前には金洞山がデンと大きい。

 

    

大砲岩はじめ岩尾根へは↑この岩を鎖で降りて(たくさんの人が通るせいか岩がツルツルしてる)、

 

    

そのすこし先にある↑この岩を登り、さらにコチラの岩を直登した奥にある。
ヨッコラ登ってみると、右の岩の上から先がスッパリ切れ落ちていて、ひゃ~コワイ~
ヨロッとしたら谷底へ真っ逆さま((((;゜Д゜)))) 単独ヘタレはやめといたほうが無難だわネ…

で、上まで登らずに首だけ 
だしてみると、右に天狗のひょうていなる岩があって高みへと鎖が付いてる。
左には胎内めぐりと称した岩場。ものすごい高度感がある。

 

  

大砲岩分岐にもどり、石門群へと坂道を下っていくと、ポッコリ大きな穴のあいた大きな岩、
第四石門が現われ、その奥に東屋が見えた。石門をくぐった先は平らな広場になっていて
ベンチも数ある。ちょうど昼飯どきなので、大勢のハイカーが休憩していた。

 

  

立派な第四石門、それもかなり大きい。穴の奥に見えているのがさっきの大砲岩
石門の下にいる人が小さく見える。

これから行く石門めぐりで、さまざまな石門を通過するが、どれも見応えあるものばかり。
妙義山は古い火山で、凝灰岩など岩の浸食が進み、おもしろい形となっていまに残っている。

 

    

第四石門から山道を下っていくと連続した鎖場となる。(鎖場を避ける巻き道もあり)
まず、短い岩を鎖で越えると、第ニ石門つるべさがり、おおっ!わりと長いじゃん。
登りきって岩穴を抜け、向こう側に出るのだが、岩と岩に挟まってしまいそうなくらい狭い。
次に下降のたてばり。鎖を離さず慎重に、ゆっくり~  わぉ!な~んか楽しい~~

 

    

たてばりに続いてカニの横ばい。意外に足場はしっかりしてるので安心して渡れる。
右の写真は、カニの横ばい通過中の登山者と第ニ石門。

 

  

巨大な第一石門をくぐると石門めぐりも終了、中ノ岳神社登山口となる。
登山道にいたる森の中に、岩に刻まれたレリーフがあった。読んでみると、石門一帯は柴垣はるさん
というかたの所有地で、夫亡きあと大正4年に両親ともに東京より移り住み、その後両親が他界した
後も独り妙義山で暮らし、ハイカーからは「妙義のおばあさん」と呼ばれ親しまれていたそうだ。
そして
昭和29年、所有地を県に寄付。それから8年後の昭和37年、79歳で生涯を終えたとある。

 

中ノ岳神社登山道入口に到着 13:40 
石門めぐりだけの場合はここから第一、第二と順番にまわることになる。
時間があるので、中ノ岳神社にも行ってみる。神社までは車道を歩いて5分。

 

道路を挟んだ向いには、紅葉に染まる金鶏山が美しい。天を突くような鋭い岩峰・筆頭岩。

 

 

神社から戻る車道より見上げる屏風岩。

 

 

登山口からクルマを置いた道の駅まで戻るには車道を行くのだが、10分くらい
歩いたところに左へ入る山道があり、車道歩きをショートカットできる。
屏風岩の先、マップの一本杉とある地点がココ。

 

車道から山道に 
入るとほっとする。道はよく整備されていて、妙義神社へは緩やかな下りがつづく。
森の木々はこれからが紅葉本番のようで、まだ緑の葉が目立つが、ちらほら赤や黄に
色づいた木も見られ、楽しく歩けるコースだ。 また途中からは妙義の居並ぶ岩尾根が
ダイナミックに望めるところもあった。

 

ズームでとらえた岩肌。眺める角度によって見え方も違っておもしろい。

東屋のある女人場(おにんば)を過ぎると道路に飛び出し、神社まで車道を行く。
疲れた足にアスファルトの車道歩きはいささかかったるい。

15:12 みょうぎ道の駅着。一日中秋晴れのなかを気持ちよく歩けたことに感謝!
素晴らしい紅葉にちょっとしたスリルも味わえる秋の妙義中間道、
久しぶりの鎖場、岩との触れあいも、すごく楽しかった。
また来ようっと。。