和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『忘れる』花が咲く。

2023-11-21 | 道しるべ
ネットで本の注文が、習い性となってます。
以前もそうだったのですが、そうすると、
何かの関連で注文したはずの本の、
その関連の結びつきをすっかり忘れてしまってる。

本への興味も、私のことゆえ、すぐ飽きます。
興味にも引き潮があって、齢を重ねると、
そろそろ、この興味も終わり、次の興味へと移るころだと、
何となく分かるような気がしたりして。

すると、引き潮のあとに、残った本が、
これが、どうして買ったか分からない。
すでに、引き潮で興味が失われている。
要するに、すっかり忘れてしまている。

うん。こういう時のための備忘録。
それを書いてみることに。

津野海太郎著「百歳までの読書術」(本の雑誌社・2015年)。
その最後の方に、「もうろくのレッスン」とある。そこに、
「ちくま文庫版の『老人力 全一冊』を購入」(p263)とある。
津野さんが、その文庫をひらくと

「 ふつうは歳をとったとか、モーロクしたとか、
  あいつもだいぶボケたとかいうんだけど、そういう言葉の代りに、

 『 あいつもかなり老人力がついてきたな 』

  というふうにいうのである。そうすると何だか、
  歳をとることに積極性が出てきてなかなかいい。

  歳をとって物忘れがだんだん増えてくるのは、
  自分にとっては未知の新しい領域に踏み込んでいくわけで、
  けっこう盛り上がるものがある。   」(p263)


ここで、そういえば、と
松田哲夫著「縁もたけなわ」をひらくことに。
「赤瀬川原平さん(その3)」の始まりのイラストは
老人力の本が描かれて、そのわきに
「ものわすれで、いつもからかっていた
 赤瀬川さんに追いついてしまった二人が思いついた・・」
とコメントがあり、
 下には、南伸坊と藤森照信のふたりのイラスト
藤森さんは、笑いながら『老人力ってのはどうか』といい。
伸坊さんは、『いいねエ』と。

はい。このページをめくってみると、こんな箇所。

「・・・そこで、『忘れる』談義に花が咲く。
 
『 若い時って、イヤなことをいつまでも覚えてつらかったこともあった 』
『 記憶力は頑張れば身につくけど、
  忘れるのは頑張ってできることじゃないね 』

 物忘れとか固有名詞が出てこないとかを、
 『 忘れる力がついた 』と裏返そうという
 赤瀬川さんらしい考え方が全面展開される。

 そこで藤森さんは、
『 老化ってマイナスイメージしかない。
  思いきって力強い表現にしちゃおう 』と

『 老人力 』という言葉を口にする。

 こうして、マイナスの価値観を裏返す赤瀬川的思考に
 藤森的パワフル・ネーミングが加わって、最強の言葉(概念)が誕生した。」

はい。「最強の言葉(概念)」の誕生の瞬間ですから、
ここは、繰り返しになったとして構わずに引用します。

「『 スポーツの力は筋トレなどでつけていく。
   でも、いざチャンス、いざピンチという時は、
   コーチや監督が【 肩の力を抜いていけ 】と言う。
   あれも同じじゃない 』

  名前がつくと、一同、俄然張り切って・・・
  老人力のあらたな解釈が積み重なっていく。・・ 」(p210)


もどって、津野海太郎さんの「もうろくのレッスン」は
赤瀬川さんのあとに、鶴見俊輔さんの『もうろく帖』へと
駒をすすめておりました。

はい。『老人力 全一冊』『もうろく帖』『百歳までの読書術』
この3冊で3馬力。老人力に拍車がかかります。



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2 コメント

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こんにちは。 (和田浦海岸)
2023-12-10 13:43:01
こんにちは。ハピオさん。
コメントありがとうございます。

うん。私は本を、最初から最後まで
読むのが駄目なようで、すぐ飽きる。

それならば、書評でいいや。
ってなところがあります。

そんな、私の軽薄さだけは、
どうぞ、伝染しませんように。
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買ってしまいました (ハピオ)
2023-12-10 10:49:13
書籍についてのブログを2,3読んでいるのですがなぜかこちらのブログで取り上げられる書籍を買うことが一番多い。
『百歳までの読書術』も購入してさっき少し読み始めただけで大岡昇平の『成城だより』を注文。
大岡昇平他多くの作家の愛人だったという坂本睦子について久世光彦が書いた『女神』も注文。
まったく読む間もなく本が増えていきます。
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