和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

自分にとっての喜びなんだ。

2022-04-23 | 柳田国男を読む
柳田国男『故郷七十年』に、ご自身の13~14歳の頃が語られておりました。

うん。気になったので、さっそく古本で注文した新書が届く。
藤原和博『僕たちは14歳までに何を学んだか』(SB新書・2019年)。

その『はじめに』から引用。

「・・・・よく現場を知らない教育評論家が、
 学校をもっと自由にクリエイティブにとか、
 創造性教育をやらない学校はいらないなどと 
 高邁な理想論を鼓舞することがある。

 しかし・・・・
 アインシュタインは言葉の発達が遅く家政婦から
 おバカさん扱いされることもあったというし、

 エジソンは今でいう不登校だった。
 ビル・ゲイツもよく知られているように
 アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)で
 人付き合いが下手だったと聞く。

 オリンピックで活躍するフィギュアスケートの
 羽生結弦くんも体操の内村航平くんも、 
 将棋の藤井聡太くんも卓球の張本智和くんも、
 学校がその特色を育てたわけではないだろう。

 才能を突出させるキッカケはいつも家庭環境だったり、
 ストリートだったりで、のちに少年たちが夢中になって
 自覚的に突っ込んでいったときに邪魔しないのが一番なのだ。
 ・・・・・          」( p9~10 )

この『邪魔しないのが』が気になり『あとがきにかえて』
の方をパラりとめくると。この新書の4人へのインタビューを
ふりかえって、藤原さんはこう書いておりました。

「もう一つの特筆すべき共通点は、
 『根拠のない自信』を持っていることだ。・・・・

 それが母親でなくともいいのだが、 誰かに無条件に愛された経験は、
 わからない世界に向かっていく『根拠のない自信』の基盤になってい
 るような気がしてならない。・・・・

 子どもが何かに没入し、集中して向かっていくときに邪魔しないこと。
 できたら、その突進を応援してあげること。・・・・

 キミの存在そのものが自分にとっての喜びなんだ。
 生きて、世の中の常識と戦ってあがいてくれているだけでいい。
 そんなふうにドーンと構えていること。・・・  」( p195~196 )

この『根拠のない自信』というキーワードが気になる。
それを普段の生活のどこで養うのか?
思い浮かんだのは俳諧のことでした。

「 たとえば俳諧の主題としては、
  俗事俗情に重きを置くことが、
  初期以来の暗黙の約束であるが、
  これがかなり忠実に守られていたお蔭に、
  単なる民衆生活の描写としても、
  彼(芭蕉)の文芸はなお我々を感謝せしめるのである。」
      ( p203 「新編柳田国男集第九巻」 )

不安の増殖をはぐくむ記事には事欠かないご時世に、
『我々を感謝せしめる』ほどの自信の創造の現場が、
どうやら、芭蕉俳諧のなかに探せそうな気がします。

はい。ちなみにこの新書の、本文は読んでいません。


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