和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

アホかスボケかスカタンで。

2020-11-28 | 本棚並べ
ちくま文庫にあった、グレゴリ青山の
「ブンブン堂のグレちゃん 大阪古本屋バイト日記」。
はい。古本でネット購入。文庫解説は岡崎武志。

最後には「文庫版あとがき漫画 その後の大阪の古本屋さん」
がついておりました。それを惜しみながらひらきました。


「グレちゃんがバイトしていた店、加藤京文堂は・・
残念ながら閉店されてしまいました。」とはじまり

「とはいえ、引退後の店長は・・
インキョ生活をエンジョイされているようで、

『店長体引きしまったんとちゃう?』

『せやろ』
『毎日、山登りして足鍛えてんねん』 」

と元店長とふたりして、大阪古本屋めぐりの
11ページ漫画が載っておりました。
その最後に、元店長が
『グレちゃん この本
事典としてもいいし 読みもんとしてもおもしろいで
文庫本になる前は高かってんで』

と、とある古本屋の棚からとりだしたのは

牧村史陽編「大阪ことば事典」。

うん。気になるじゃありませんか。
はい。本棚に、未読の牧村史陽編「大阪方言事典」がある。
うん。どうやらこれで、読みごろを迎えられた気がします。

「大阪ことば事典」にさきだつ「大阪方言事典」(杉本書店)には
いろいろな方の推薦文が載った小冊子がついておりました。
パラリとめくって、その中のお一人
安部宗一良(産業経済新聞社論説部長)の推薦文を
この機会にひろってみます。

「・・・大阪弁は普及したが、昔の船場言葉と島の内言葉の差、
良家のダンサン、オエサン言葉と職人言葉や、色町言葉の差
ということになると、大阪生れ、大阪で育った私自身でさえ
もう区別がつかない。・・・・

私は自分の生れた郷土の言葉が滅びてゆくのが悲しかったが、
戦後牧村さんが大阪ことばの会の世話をし、機関誌『大阪弁』を
編集して来られたことによって、大へん慰められて来ている一人である。

それがこんどは、その『大阪弁』に載っていた『大阪弁集成』を
さらに整理訂正の上・・・発刊されることになったと聞いて、
まさにわが念願成れりといった感にうたれた。

こういう仕事は、アホかスボケかスカタンでなければやれないものである。
しかも牧村さんが、この仕事を世のスカタンに代ってやり遂げられた
ことに対して敬意、いや畏敬をさえ感じるのである。大阪人として、
私はこの人を大阪に持っていることを誇りに感じると同時に、
このスカタン性をもっと私にも植えつけねばならないと考えさせられた。
・・・・・」(昭和30年)

うん。「アホかスボケかスカタンで」なければできなかった
事典というのが、世の中にはあるんですね。

コメント
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