和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

つまみ読書。

2010-06-29 | 短文紹介
買っても読まずに積読で、眠らせている本が多いことに気づく頃、それじゃ、つまみ食い式にところどころ読み齧っても、それはそれでよいじゃないか、と思うようになりました。
まあ、そういう本の一冊が、末延芳晴著「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」(平凡社)。こういうのを摘み食いする醍醐味というのも、あります。
それを、あとで、通読しようとは思いながら、すっかり忘れておりました。
そんなおりに、毎日新聞2010年6月27日(日曜日)の「今週の本棚」。その「この人・この3冊」を見たら、末延芳晴選で「寺田寅彦」の3冊が取り上げられておりました。

その3冊目に、何と夏目漱石の「吾輩は猫である」を持って来ている、その取り合わせ。面白く、楽しいなあ。おもいもかけない取り合わせに、梅雨時のジメジメを忘れる気分。

ということで、まず、末延芳晴氏が選ぶ「寺田寅彦」の3冊を並べてみましょう。

1、 寺田寅彦全集第一巻 随筆一 創作・回想
2、 寺田寅彦随筆集第三巻 (岩波文庫)
3、 吾輩は猫である   


その注目の「吾輩は猫である」を末延氏は、どう書いていたか。

「夏目漱石は、『吾輩は猫である』の最終章で、寅彦がモデルとされる水島寒月に、地方の高等学校の学生だったころ、バイオリンを買ったときの苦労談を語らせている。漱石の筆は嫌味なほど面白おかしく誇張されている。俳句や小説の話から人としての生き方まで、寅彦は圧倒的に漱石の影響を受けていた。そんな寅彦が、漱石に対して優越性を示すことができたのは、バイオリンを弾くことと西洋音楽に対する知識であり、寅彦は機会を見ては、バイオリンや西洋音楽の話を漱石に聞かせ、音楽会にも誘った。そうしたこともあって漱石は、多少の羨望を交えて、バイオリンに取り憑かれた寅彦を戯画化して描いたのではないだろうか。」

う~ん。とりあえず末延芳晴著「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」を取り出してきたのですが、さて、ここまでかなあ(笑)。まずは、直接に寺田寅彦を読む方がよい気がしてきます。それとも「吾輩は猫である」の方を読み返す方が、読み甲斐がありそうな、気がしてきたりします。
コメント
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