そのアシュラムはガンジス河を望む、小高い山の上にあり、シバナンダとは
雰囲気が全然違って、和やかで明るかった。嬉しいことに私が求めた瞑想の時間が
早朝と夕方2回もあった。私は毎朝夕必ず休まずに、瞑想のクラスに参加した。
瞑想はまだ暗い早朝に始まるが、鐘の合図とともにそれぞれのコテージから
毛布を被った人達が、ぞろぞろメディテーションホールに集まってくる。
初めて瞑想に出席した時私達は「咳をしてもクシャミをしてもすぐ退場するように」
と注意を受けた。室内はほの暗くシーンとしていて、厳粛なようでも暖かい雰囲気で
とても心地よかった。少し音がすると誰かが「ビーク・クワイエット」と必ず
言ったが、途中で退場する人もいた。ヨーガとヒンズー教の聖地なので、対岸の
ヒンズー教寺院からコーランが聞こえ、とても幻想的だった。
時間は60分、瞑想の終わりを告げるのはアルナ先生の「オーム―」と唱える声
だが、身じろぎもせずに座っていたのに、その満足感は素晴らしかった。
その後ヨーガアーサナの指導が行われた。
※瞑想やヨーガアーサナを行われたメディテーションホール
※早朝ヨーガアーサナ
※先生のポーズ
※生まれて初めて寝て足を組めました
驚くと同時に嬉しかったのは、アーサナの最後にリラクゼーションがあり、それは
私が考え自分の教室で指導している方法と、まるで同じだったからだった。
リラックスの時にシュラフにくるまっている私達が面白いのか、男性の先生は時々
私達を見てはクスクス笑っていた。また私はインド人の先生に習ったので、ポーズは
全てサンスクリット語だった、英語でのレッスンと共に全部理解できたのも
とても嬉しかった。長期間の修行者が多く、「1週間だけの修行」と言うと、全員が
大変驚いたようだ。その頃日本人女性などいないし、ほとんどがヨーロッパの男性達で
私達は先生方にも、スタッフにも、修行中の人達からも興味を持たれたらしく、いつも
特別扱いを受けた。粗末なコテージにエキストラベッドを入れて、3人で過ごしたが
本当に楽しかった。
朝夕の食事はあるが昼はなく、3人で馬車に乗りリシケシの街まで行ったり、ガン
ジス河の対岸にあるお店が沢山並んでいる賑やかな所に行ったり、ヒンズー教の寺院
を見学したりした。聖地のため、肉、魚、お酒、たばこもないようだった。
どこを歩いても男性達がニャニャしながら何人も付いてくるので閉口したが、蛇使い
に追いかけられて、キャーキャー悲鳴を上げながら逃げたのも懐かしい思い出だ。
男性の先生は、車で美術館やいろいろなところへ連れて下さったし、瞑想指導の
アルナ姉妹のお部屋に食事や、お茶に招かれたりした。また夕方ときどき、ギター
を弾いて歌っている男性達に誘われて、一緒に歌ったり、また日本の曲を弾いて
くれたりしトワイライトのガンジス河が見えるベンチで、片言の英語の会話も
とても楽しかった。