★夫の認知症進行挽回作戦
退院してからひと月以上、夫はだんだん以前の状態に近づいてきた。
初めはまったく無表情だったが、私が仕掛けたことに反応し時々笑う
ようになった、でも、一人でテレビを見て笑うことはない。
今家でするレッスンは、声のトレーニング、歌(これは私のオリジナル
トレーニング)など。それから「外の脳」と言われている手や、指などを
刺激するように色々な方法を工夫している。また、足を弱らせないために
軽い体のレッスンは、必ず一緒に号令をかけて声を出すようにしている。
それはいかにも能里子風でユニークだが、その時は楽しそうで、よく
笑ってくれる。
最近ソシアルダンスも取り入れた。二人で競技用ダンスを6年間踊って
いたのに、ジルバも踊れなかったが、少しづつ思い出したようだ。
疲れないように、飽きさせないようにと、顔色を見ながら行っているが
デイホームへ行かない日は、必ず毎日レッスンしている。
精神科の主治医は「2・3か月かけて元に戻るような目表を立てたら」と
アドバイスして下さった。心理のプロとして諦めずに、いろいろ工夫しな
がら取り組んでいる。
主治医の松沢病院の先生は多分2年程前に「奇跡に近いかも知れない」と
夫を診てそう言って下さった。認知症歴満12年で91歳7か月、プロ
だからできたのかも知れない。でも、こんな対応法をすればとか、こう
すれば素直になる、嬉しい感情を高める、また、上記のような希少経験も
大変な介護をしご苦労している方に、きっとお役に立てると思っている。
「認知症を幸せに長生きさせる介護」ようなタイトルで本を書きたい。
著書43冊、国立図書館には36冊内蔵、取材、執筆記事、連載執筆
もありキャリアのある私でも、この時代なので無理かもしれない。
でも(いつか必ずなど)と、インナーヴォイスが囁くので、希望的観測
している。