熊野権現縁起絵巻 和歌山県立博物館蔵
『パイドン』 31 プラトン著 (シミアスがソクラテスに対して「今、私は、恥じることなく質問致しましょう。後になって今言わなかったと、自分自身を攻めることがないように。」)
プラトン著『パイドン』 P.88-92
(五)間奏曲1。白鳥の歌
ソクラテスの長い沈黙の後、シミアスとケベスの反論が起こる。
シミアス
よくわかりました、ソクラテス。
では真実を、お話ししましょう。
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一方ではお答えいただきたいと思いながら、一方ではこんなご不幸な時、・・・・・・・・・・・
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ソクラテス
静かに笑い、そうしてこう言われました。
ソクラテス
おやおや、シリアス。
不幸とみなしてないことを他の人々に説得するのは、きっと難しいだろうね。
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(前回30で書いたように、ソクラテス自身が死を受け入れ恐怖の状態ではないということを言うため、次のように話す。)
僕は予言の点では。かの 白鳥よりも劣ると考えられているようだ。
白鳥は、死ななければならないと気づくと、それ以前にも歌っていた歌を、特に力いっぱい、また極めて美しく歌うのである。
この鳥は、アポロンの使いなのだが、その神に近づくのを喜ぶのである。
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シミアス
よく言ってくださいました。
ではどう言う点であなたが困難を感じているか、言いましょう。
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明確な知識をこの世で得ることは不可能である。
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事柄の事実がどうであるかを他人から学ぶか、自分自身で発見するか、あるいは、もしこれら二つの方途が不可能であれば、人間の言論のうちからとにかく最善で最も反駁(はんばく)され難いものを自分の身に引き受けて、あたかも筏に乗るようにこの言論の上にのろ危険を冒しつつ人生を渡り切らねばならないのです。
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今、私は、恥じることなく質問致しましょう。
後になって、今言わなかったと、自分自身を攻めることがないように。
ソクラテス・・・・・・・・・・・
(後になって)
このケベスを相手に考察しても、十分に語られるとは思えないからです。
(ケベスを下に見ているのではなく、ソクラテスに対しての言っておきたいシミアスの弁論)
反駁(はんばく)
[名](スル)他人の主張や批判に対して論じ返すこと。反論。
「例をあげて反駁する」
『パイドン』魂の不死について
プラトン著
岩田靖夫訳
岩波文庫 青602-2
他 Wikipediaなど
『パイドン』 1〜30 プラトン著 (長くなりますので、「1〜30」を一旦まとめてみることにしました。)
『パイドン』 31 プラトン著 (イリアスがソクラテスに対し「今私は、恥じることなく質問致しましょう。後になって今言わなかったと自分自身を攻めることがないように。」)