乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『人情紙風船』は歌舞伎『髪結新三』(原作 河竹黙阿弥)をもとにつくられた映画だった!!

2009-11-11 | 映画


      『人情紙風船』は歌舞伎『髪結新三』(原作 河竹黙阿弥)をもとにつくられた映画だった!!





 ★★★★★ ★★★★★ + 心ばかり ★★★

 1937年 東宝

 監督 山中貞雄

キャスト

 河原崎長十郎(海野又十郎)

 中村翫右衛門(髪結新三)

 山岸しづ江(又十郎の女房おたき)

 霧立のぼる(白子屋の娘お駒)

 助高屋助蔵(家主長兵衛)

 市川笑太朗(弥太五郎源七)

 市川莚司(猪助)

 橘小三郎後の藤川八蔵(毛利三左衛門)

 御橋公(白子屋久左衛門)

 瀬川菊乃丞(6代目)(忠七)

 市川扇升(長松)



 本日昼、テレビ放映の映画『人情紙風船』を見た。

 何も知らずに題名にひかれて見た『人情紙風船』

 芝居調の早口で息つく暇も無いくらいの長い台詞。

 人と人の会話は人情味があり,一つ一つ丁寧に聞いていると静かではあるがコミカルで、わたしとしては笑いの渦がこみ上げる。

 出だし快調。

 若干 黒澤明の『どですかでん』と共通する部分がある。

     山中貞雄監督『人情紙風船』 は 1937年 
     黒沢明監督 『どですかでん』は 1970年

 いずれも東宝映画であったことを付け加えておきたい。



 新三、新三と呼ばれている。

 不思議に思い見続けていると,なんと!!!本当に『髪結新三』だった。

『髪結新三』とは歌舞伎でなじみの『梅雨小袖昔八丈』

 大家の小判を数える
「いのこでいこう。ひの、ふの、みの・・・・・・。」
の場面や
「おい!新三!!どうする気なんだよおお!」
なんて台詞も無いし,筋書きもずいぶん歌舞伎とは違う。

 映画『人情紙風船』は『人情』を軸に,全ての人間が『信念』を貫く。



『信念』

    新三は親分に対し
      娘を返せという申し入れを断る
    親分は新三に対し
      橋での殺害
    浪人は毛利三左衛門に対し
      白木やの娘を・・・A
    白子屋久左衛門年と白木屋お嬢様
      駆け落ち
    又十郎の女房おたきはAと手紙(毛利とのいきさつ)を知り,(元)武士の妻として心中

 全ての人間が『信念』に忠実生きているつもりが、人情にほだされ紙風船のごとくなるが方向に流される。

 全ての人物画が『信念』と『人情』に生きたがために招いた不幸。

 時として,物事の流れは広野人生を狂わすほどに残酷である。



 ここで興味深いのは、親分の娘を返せという申し入れに対し新三が断る場面以外は全て画面上は出てこないと言う点。

 素晴らしい。

 しっかりと原作をふみ、新三を中心にことを運ぶ。



 髪結新三!

 いわゆる悪党なのだが,粋できっぷのいい,性格が男前の男。

 その昔 悪の美学という美学が流行ったが,まさにそれである。

 加えるならば,今様のちょい悪おやじとは少し違った方向性だ。

 平たく言うなら歌舞伎『髪結新三』で出てくる初鰹が髪結新三の性格に通じると感じる。

「粋な男になりますよぅ。」
と手早く髪を結い上げながらの歌舞伎上の新三。

 親分に切られる身の上を知りながら全ての懐の金銭を仲間にくれてやる。仲間に頼まれた傘を
「この傘を◯◯に必ず返しておくんなせい。」
と相手方子分に託し 負けの果たし合いに挑む映画での新三。

 芝居と映画の表現の違いはあるが、わたくしの思い描くカッコイイ新三なのだ。



 面白かった。見て良かった。

 歌舞伎とは全く違った脚色で感動に値した。

 1937年にこのような素晴らしい映画があったのだ。

 録画しなかったことが悔やまれてならない。

 映画を見てからこれを記録している夜11時に至っても、歌舞伎『髪結新三』を思い浮かべ、映画『人情紙風船』の余韻に浸るわたくし。

 わたくしは映画『人情紙風船』が好みの映画であり、映画『人情紙風船』自体 邦画の中でも名作の一つと考えている。



 今回もここではあらすじを省かせていただいております。

 この記録もわたくし独自の感想ですので、まちがいやお気づきの点がございましたら,お教えいただけましたら嬉しいです。

 最後までおつきあい下さいまして,ありがとうございました。

コメント (5)
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沈黙の塔 一日目3  【イラン 沈黙の塔近くにあるアーブギール&バードギール】  イラン 

2009-11-11 | イラン2007~2010(6回)


      沈黙の塔 一日目3  【イラン 沈黙の塔近くにあるアーブギール&バードギール】  イラン 



 イランのヤズドにある沈黙の塔の近くにはゾロアスター教信者の住居跡(山部&平地部)やアーブギール&バードギールなどが見られます。

 真ん中のお椀のような形のものが、アーブギール。

 アーブはペルシャ語で水(アーブという語はイランでは毎日水を買うので、覚えていました)の意味です。

 アーブギールはいわゆる水取り場です。

 その昔カナートから水をひいたかどうかは、わたくしにはわかりません。


 アーブギールの両脇二本の塔はバードギールです。

 沈黙の塔(鳥葬近くで)鳥を見て空を仰ぐ・・・と言いたいところですが,実はバードは風。

 風取りの塔です。


 ヤズドの現在住まわれている町ではこういった形のアーブギール&バードギールに似た形のものを屋根などに設けられている家を度々見ますが,ここの場合はどうなのかはわたくしにはわかりません。

 尚 砂漠でアーブギールを地面上に良く見かけることを考えると、上のものとはまた別であるとも考えられます。


 砂漠で見るイランの空は美しいです。

 吸い込まれるようなブルーは見事です。

 ただ、同日同様に写真を写しても方向や砂嵐や砂塵のため,刻々と空の色はうつろぎます。

 不思議ですね。


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沈黙の塔 一日目2  【高い方の沈黙の塔に登る。そして、アクシデント】(写真12枚) イラン

2009-11-11 | イラン2007~2010(6回)

       沈黙の塔 一日目2  【高い方の沈黙の塔に登る。そして、アクシデント】(写真12枚、一部重複あり) イラン


     

 ヤズドでのわたくしの楽しみの一つは『カナート』を見ること、もうひとつはゾロアスター教関係の所をおとづれることであった。

 イランではゾロアスター教関連の遺跡などが多いが、ヤズドではその数は一気に増える。

 沈黙の塔、拝火殿、チャクチャク、ゾロアスター教信者のイスラム以降に造られた墓などがそれである。

 ただ、かって骨を入れられたというオスワリ(骨壺)をおさめる納骨堂をヤズドで見ることができなかったのは残念だった。

『納骨堂』においてはケルマンシャーの『テヘラーズ』やシーラーズのナクシェロスタム近く車でほんの10分内に『オストダーン』がある。

 『オストダーン』の岩陰に入り込んだ壮大な納骨堂を見たのは、タクシー運転手も初めてだという。

 今回『納骨堂』においては今回のイランで上の二ヶ所を写真に撮ってきたので,機会があればいずれ紹介させていただきたいと思う。



 高い方の塔




 高い塔から見た低い塔




 高い塔から見た住居跡か・・・。




 登りの途中に見上げた高い塔。




 登りの途中に見たもの。

 手を洗う所か?或は 火が焚かれていたのか?

『チャクチャク』に行った際,やはり崖の頂上のよう名所にあったが,途中で手を洗う所と火が焚かれている所を見た。

 詳しくはわたくしにはわからない。




 沈黙の塔には二日続けていった。

 一日目は高い方の塔を登る。

 高い方の沈黙の塔の入り口は写真のようなもの。

 そしてこれが思わぬアクシデントであることに気づくまでに,それほどの時間は要さなかった。

 塔の入り口はわたくしの胸の高さ以上の位地に設けられ、今のわたくしのは中に入ることができなかったのである。

 夫だけが中に入り,30分以上の時間を待たされるはめに陥る。

 悔しい思いをしたので,翌日 もう一度沈黙の塔を訪れた。

 二日目には低い方の沈黙の塔を登ったが,こちらは難なく中に入ることができた。

 低い方のようすは、後日紹介させていただきたいと思います。


      

 ここからは前回紹介させていただきましたが、かって鳥葬が行われた沈黙の塔近くモトクロスごっこをするイランの若者。












      


 なお 現在奈良の興福寺では『お堂で見る阿修羅』が公開されている。

 阿修羅はアンコールワットなどではアスラーと呼ばれる。

 このアスラーは,元はゾロアスター教の最高神であるアフラ・マズダのアフラからアスラーに転じたとも言われているとのこと。

 アフラ・マズダは以前にこのブログ『ゾロアスター教の墓』で紹介させていただいた人物の顔を持った鳥のような絵柄で表された神。(TBあり)

 知人の受け売りのため、詳しくはわたくしにはわからない。



 今回は写真も含め長くなりましたので、ゾロアスター教については次回記録したいと思います。

 よろしければ,次回も見ていただけましたら嬉しいです。

 最後までおつきあいいただきまして,ありがとうございました。

      

コメント (2)
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