ぼけヴォケ!

認知症患者と介護家族はいかにしてボケツッコミスキルを入手したか。
慢性骨髄性白血病発症。目指せ分子遺伝子学的寛解維持。

節分。

2009-02-03 | Weblog
この時期になると落花生が近所のスーパーの棚を占領する。
本来撒く豆は大豆なんだろな、と思っていたら、最近は大豆をメインに「福豆」とかいう小さなパックになったやつを撒くところもあるらしい。
衛生的には悪くないんだろうが、風情としてはどうなんだそれは。
きちんとそれ専用の商品があるというのも、なんだかそれで本当に厄払いになるのかと、えらく微妙な気分になるものである。


プライベートブランドメインの安売りスーパーにも、「恵方巻注文承ります」という広告がレジカウンターに貼られていた。
うまく考えたものである。
必ず、精算時に目にするのだから。客に対するアピール度はかなりのもんである。


『豪華ファミリー恵方巻二本セット』

 ほうほう。


『13種類の具沢山!』

 豪華と言うだけのことはあるやね。
 数は不吉だけど。


『総重量1キロ!』

をいこらちょっと待て。

恵方巻というのはご存じのとおり、太巻き一本をその年の恵方に向かって、無言で、食べきるというものである。
1キロなんて食えるかい。
大食いチャンピオンでも連れてこないと食べきれそうもないとは。
恵方巻とは言えないんじゃなかろうかと思ったり呆れたり。

まーくん。のこと。

2009-02-02 | Weblog
まーくん。は、おかんさまのお友達の子である。

ワタクシメが小さかった頃。
おかんさまがお友達の家に遊びに行くのに、よくワタクシメも連行されていた。
家に子ども一人を置いておくよりもよかろうという、おかんさまの判断には。
まーくん。と、そのお姉さんの存在も影響していたのだろう。
ちょくちょく連行されていたこともあり、まーくん。とは顔見知りであった。
だが、学年で二つ違うというのは、小さければ小さいほど大きな差である。
ワタクシメとまーくん。とは、さほど親しいというわけでもなかった。


そんなまーくん。を、ワタクシメは泣かせたことがある。


小学生は、全員自分の教室を掃除するわけではない。
一年生の教室は、上級生が掃除をすることになっていた。
たまたま、ワタクシメの教室の掃除に、まーくん。が来た。
一人として知っている相手のいない上級生の中に、たった一人知っている人がいる。
一年生だったワタクシメは、知り合いということが嬉しくて、つい、まーくん。に寄っていって、いろいろ喋りかけた。

まーくん。のクラスメートには、奇妙に思えただろう。
仲間の誰もが知らないちびが、自分たちの同級生に親しげに話しかけているのだから。

「まー。なんだよコイツ。どーゆー関係?」
「つきあってるのおまえら?」
「どこまでいってんの?」
……今思えば、くだらんことを言う連中というのは、いくつであっても、いくつになってもいるもんである。
ワタクシメは、何も思わなかった。何も考えてなかったともいえるが。

だが、まーくん。には、同級生に取り囲まれ、からかわれるのが耐えきれなかったのだろう。


まーくん。の目から、ぽろりと涙がこぼれた。


同級生に取り囲まれ、無言でくしくしと涙をこすり消そうする、その姿を見て。
ワタクシメは、まーくん。に、なんだかものすごくひどいことをしたように、ひどくいたたまれない気分になったのを覚えている。


それ以降、何度も掃除当番になったまーくん。は、ワタクシメの教室にやってきたが。
一言も、どちらからも、しゃべりかけることはなかった。


先日、まーくん。のお父さんが亡くなった。
ワタクシメにとっても、知らない人ではないが、仕事もあるのでお葬式には、おかんさまに代表して行ってもらった。


喪主の家族として、まーくん。たちは立派に、そして気丈にふるまっていたそうだ。
あの泣き虫のまーくん。が。
一滴の涙も浮かべることもなく。


遠ければ遠いほどいいが。
いつかは、ワタクシメも迎えねばならないその日に。
ワタクシメは、まーくん。のように、ふるまえるだろうか。

じょりじょり?

2009-02-01 | Weblog
Booじーちゃ。の日課は、朝食後の薬を飲んだ後に、髭を剃ることである。
なぜか、夕食後にも剃り始めますが。
そして、おかんさまに止められると、めっちゃ不機嫌になりますが。


器用なのか、不精なだけか。
鏡も見ず、食卓についたまま電気剃刀を、横顔の輪郭に沿って上下に動かすBooじーちゃ。
きれいに剃れてゆきます。ひたすら耳の脇ばかり。

…口の周りが剃れてませんが。

おかんさまにぐりぐりと顎周りまで剃り直されるBooじーちゃ。



そしてきれいさっぱりとなくなるもみあげ。


もみあげのなくなったBooじーちゃ。の顔は、驚くほど、Booじーちゃ。の、姉妹である叔母さんにそっくりになる。
きょとんとした、不思議にあかるい色の薄い目は、奇妙に少年じみてさえ見える。
ダダをこねるようになってから、妙に皺も薄くなり。
その風貌も頭の中身同様、やんちゃ坊主だった頃に戻りつつあるようだ。

ただひとつ、子どもと違うのは。
好奇心をいっさい持たず、腹がふくれたら、すぐに居眠りをはじめてしまうということだったりする。