ぼけヴォケ!

認知症患者と介護家族はいかにしてボケツッコミスキルを入手したか。
慢性骨髄性白血病発症。目指せ分子遺伝子学的寛解維持。

年越し。

2008-12-31 | Weblog
振り返れば、あっという間のことだったのような気がする。
今年が?
うん、そんなこともあるが。
それよりもむしろ、ひしひしと感じられてならないものがある。
Booじーちゃ。の認知症の症状の悪化が。


2年前の大晦日のことである。
おかんさまの実家、つまりBooじーちゃ。の家では、毎年恒例となった年越しの準備が行われていた。
旧い家の常で、めっさ高い天井の近くに吊ってある神棚も。
埃をとって注連縄を張り替えねばならぬ。

神棚の掃除は当主であるBooじーちゃ。の役目である。
がんとして譲らないのだからしかたがない。


よろよろする足が心配で、梯子を支える役をかってでたワタクシメ。
「じーちゃん、だいじょうぶ~?」
「あー」びし。

…びし?

次の瞬間、ワタクシメの頭上に降って来やがりましたよ。
神棚が。

よろよろしていたBooじーちゃ。が、神棚に体重をかけ。
天井から吊っていただけだった神棚が人間の重みに堪えるわけもなく。
あっさりと役目を放棄して、重力の法則に身を委ねた根性無しだったとは、後ほどわかったこと。

まな板の面積六倍以上、厚さ二倍以上の杉板で作られた神棚と。その上に飾られていた注連縄、宮形、榊の混合体は大変痛うございました。
Booじーちゃ。だけは落としませんでしたが。ええ。
えらいぞワタクシメ。

結局その家で暮らすのは無理と、今の家につれてくるきっかけにもなった出来事でありました。
もう、Booじーちゃ。本人は忘れてることでしょうがね。


それでは、来年もよろしく。よいお年を。

Tea? or Coffee?

2008-12-30 | Weblog
三時のお茶はここのところ、コーヒーがメインである。
いつまでもほったらかしていると、昼寝が夜中に突入し。
丑三つ時にむっくり起き上がって徘徊を始めてしまうBooじーちゃ。も、起こしてもれなくお相伴をする。

マグがたまたま人数分そろわなかったので、Booじーちゃ。の分は、湯飲み。
アメリカンにした。

全員が揃わないうちに、さかさかと飲み干すBooじーちゃ。

コーヒーだけでは胃に良くないからと。クリームと、オヤツの皿を持ってきたおかんさま。

さかさかとオヤツをたいらげるBooじーちゃ。

Booじーちゃ。「おい。おれにもコーヒーくれ」

おかんさま、コーヒーを湯飲みに注ぎたしてやり。自分のオヤツを食べはじめる。
ふと顔を上げると、おかんさまのマグに手を伸ばすBooじーちゃ。

おかんさま「Booじーちゃ。これ(マグ)は、あたしの。Booじーちゃ。のぶんは、こっち(湯飲み)」
Booじーちゃ。「これ(湯飲み)はコーヒーだないよ。お茶だがね」
おかんさま「違うよ」
Booじーちゃ。「ちごわんて」

すったらもんだら。


年を取って。コーヒーの香りすらも判別できなくなったためか。
湯飲みに入っているものはお茶だという固定観念のせいか。
ともあれ、そんなことで言い争い、かりかりするくらいなら。
最初から湯飲みになどコーヒーを淹れなければよいのである。

禁句。

2008-12-29 | Weblog
還暦とは、十干十二支が一周し、生まれた年の干支に戻るということだ。
六十歳を迎えた方が赤いちゃんちゃんこを贈られるのも、「赤ん坊にもどる」という意味が込められているという。
地方によっては、さらに、八十八歳などに紫のちゃんちゃんこを贈るところもあるようだ。

我が家のBooじーちゃ。も、還暦をはるかにぶっちぎって、もはや紫のちゃんちゃんこが近い。
しかし、今頃になって子どもに返ったようだ。

食べ物を見ると我慢がきかず、目の前にあるものすべてを食べ尽くさないと止まらない。
自分の非を認めず、他人に責任をしらしらとなすりつけなさる。
すぐにばれる嘘をつく。

あまりにも、思い通りにならないその様子にぶちきれたおかんさまが一言。
「どういう躾をされて育ったんだか、親の顔が見てみたいわ!」

おかんさま。あなたはそのBooじーちゃ。に躾を受けて育ちました。
おかんさま。ワタクシメはそのBooじーちゃ。に躾を受けて育ったおかんさまの躾を受けて育ちました。


それに、親の顔が見てみたいと言われましても。
ずっと見てきたじゃありませぬか。

ワタクシメの曾祖父ことMEGAじーちゃ。は、小学生のワタクシメとプロレスをするほど元気でございましたが何か。

雪黒。

2008-12-28 | Weblog
買い出しはおかんさまとワタクシメのツートップ体制である。
まれに、Booじーちゃ。がついてくることもあるが。
たいていは、おとんさまがBooじーちゃ。のお守りをしていてくれる。
一人にしておくと、何をしでかしてくれるかわからないからだ。
一人にしておかなくても、時たま脱走してくださりますが。

本日は衣料品の買い出しである。
等圧線が東西に日本列島を輪切りにしているため、急激に我が家のある地域も冷え込んできた。
ほかほかぬくぬくなマイクロフリースは何枚か買っておきたいところ。

おかんさま「で、サイズはなんだっけ?EX?」

おかんさま。なぜにマイクロフリースが目肩腰に効きそうなサイズになりますか。
脳内がビタミンイエローなアリ○ミンの錠剤が雪崩れていく情景で埋め尽くされそうになりますが。


ともあれ、目的物を入手して帰還。
さっそく家計簿をつけていたおかんさまが何やら見つけた模様。
「ねぇ、これなんて読む?」
おかんさま。その家計簿に書き入れているのは、我が家の中でもおかんさまたった一人だと思います。
自分で書いた字が読めないと?

ワタクシメがのぞき込んだそこにあったのは、本日の購入品目欄。


[ユキクロ]

識別。

2008-12-27 | Weblog
おかんさまとあねうえどの、ワタクシメの三人の声は、非常に似通っているらしい。
話し方も似ているのか、電話を通すと全く区別がつかないとか。
親戚、友人だけでなく、かつてはあねうえどのの男もだまくらかしたことがあるくらいだ。
もっとも、それは騙される男の方が悪いという気もするが。

ともあれ、そんなこんなで勘違いしたおかんさまは、三姉妹を詐称して自分一人若い気でいる。

三姉妹ではなく、「おしまい」なんじゃねーかとか。
気が若いのではなく、精神が未熟なんじゃないかとか。
そんな陰口をきくような真似など、我が家の家風にはない。
言いたいことは面と向かって言っている。


風邪をひいたあねうえどのの声が出なくなった。
仕事にならないというので、休むという連絡を職場にせばならぬ。
しかし、当人の声が出ないのでは、無言電話か朝っぱらからのイタ電にしかならない。
代役を頼まれたのはいいが。このとてつもなく似ている声では。
「…仮病と思われるんじゃない?」

結局、おかんさまが電話をした。休みの理由も言わず。
いいのかそれで。