別居のための住まいを決めてきた私に、夫は酷い罵声を浴びせた。
「おまえのせいで人生がめちゃくちゃになった、どうしてくれるんだっ」「おまえがきちんとしないから、仕事ができないじゃないか」「おまえが俺を怒らせるんだっ」「おまえみたいなでくのぼうには話しても無駄だと思うが」「頭が悪すぎるんだよな」「おまえが俺を病気(鬱)にさせたんだ」「おまえのせいでいつも俺は下痢だ」「よくあんなまずい物作ったな」「おまえは自分のしたことが恥ずかしくないのか、そうか、馬鹿だからな」「想像力のない奴は何話してもわからない」「おまえの親の教育が悪かったんだろうな」「おまえの精神は下劣だ」「おまえ、最低じゃないか、これじゃあ豚以下だろ」…このようなことを「ええっ?」とか「おらぁっ」など挟みながら延々ヤクザ言葉で怒鳴り続け時々テーブルを叩いた。そして昔のことまで掘り起こし、「だいたいおまえのあのときの言葉はなんだ」「あのときおまえは、こんなことしたな。まったく信じられない奴だ」「ああ言ったのに、違うことをした」「おまえはあのとき約束したはずだ。おまえは嘘つきだ」…些細なことをよく記憶して延々と私を責めた。
私はひたすら下を向いて能面のような表情でいちいちうなずいた。「そうだね」「馬鹿だよね」「私はダメ人間だから」と。夫が怒鳴り始めて2時間近くたっていた。とにかく別居するのだから、夫の気の済むまで言いたいことを言わせればいい、そして私は自分がいかにダメ妻かを夫に納得させよう、これは作戦だ、そう思ってひたすら耐えた。
そして夫は言った。
「実は結婚の前からおまえのこと、おかしいと思っていた」「あのとき、おまえは俺の言葉を勘違いしていた」「結婚すべきじゃなかったんだ」「この結婚は間違っていた」と。
この言葉は私をざっくりと切り裂いた。血の気が引き体中が冷たく震えた。
どうして今更こんなことを言うのか?じゃあ結婚する前に言ってくれればよかったのに。最初から私の勘違いだったの?この時間はあなたにとって何だったの?
最悪だ。
私の無表情で凍りついた目から涙が流れた。その後も夫が何か言っていたような気がするが、覚えていない。漸く夫が悪態をつきながら部屋に戻っていった。
その日は眠れなかった。そして次の日、むくんだ顔のまま仕事に出かけた。
仕事が終わり、私は重い足をひきずるようにして家に帰った。ああ、今日もまた傷口に塩を塗り込まれるような暴言を聞くのか。何とか耐えられるだろうか。突然暴力を振るわれたらどうやって逃げよう…。
家に帰ると夫が「おかえり」と私を迎えた。テーブルには夫が料理した夕食が並んでいた。私は顔を引きつらせながら「夕飯作ってくれてありがとう」と言った。食欲もないままお箸を手に取ると、夫がしゃべりだした。
「昨日は悪かった。まさか本当に別居しようとするなんて思わなかったんだ」
すかさず私は「でもあなたが別居しようって言ったんだよ」と答えた。「そうだけど、あんなの売り言葉に買い言葉じゃないか」「でも私のせいで人生がめちゃくちゃになるって言ったよね、だからもう私と生活しない方がいいよ。私と一緒にいることであなたの人生を壊したくない」「もっと自分が変わるように努力すればいいんだよ」「もう私はこれ以上変われない。ダメ人間だから」「そう開き直るなよ。俺も変わるように努力するよ」「あなた、私のせいで病気になったって言ったよね。私と生活しているともっと病気が酷くなるよ。もうあなたの病気がこれ以上酷くならないようにしたい」「…。」「私みたいな馬鹿な人間と一緒にいない方がいいよ」「いや、おまえの馬鹿さは仕方ないよ。俺はもう慣れた」
「でももう私、なんかおかしくなりそう。今のままだと自分が壊れるような気がする」「じゃあ一緒に壊れよう、いいじゃないか、それも」(『はぁ~っ??ジョーダンじゃないよ~っ!!壊れてるのはおまえだけだ~っ!!』←私の心の叫び)「そして心新たにやり直そう。俺も反省したよ。愛が足りなかったって」(『はぁ??アイが足りない~??それどういう意味ぃ~?』←私の心の叫び)「でもあなた言ったよね。この結婚は私の勘違いだって。この結婚は間違いだったって」「………。」
私はいかに自分がダメかを強調し、夫はなぜか優しくフォロー(にはなっていないけど)するような会話が続いた。そして夫は言った。「まあ、今すぐにじゃなくてもいい。明日になればまた心も変わるかもしれないよな、うん」
その夜はやけに静かだった。
この夫の変わりようが気持ち悪かった。穏やかな振りを装って、いきなり刺されたらどうしよう…。この日もあまり眠れなかった。
そして何日か、この暴言と説得?が繰り返された。私の精神状態は極度に張りつめ不眠が続いたが、もう心は決まっていた。夫がいくら優しい言葉を使っても、いくら反省の言葉を並べても、もう何も信じられなかった。私にはわかっていた。もし夫の優しい言葉を鵜呑みにし、別居を取りやめたらどんなことになるか。しばらくは優しいかもしれない。しかし夫が気遣えば気遣うほど、恐ろしい反動がいつかくる。そして言うのだ。「俺がこんなに優しくしてやったのに」と。
私は目の下に隈を作りながら、仕事の合間に不動産屋へ契約金を振り込み、契約書はもし夫に取り上げられると困るので、事情を話して不動産屋で預かってもらった。そして引越し業者に見積もりを頼んだ。
別居宣言から1週間がたっていた。
「おまえのせいで人生がめちゃくちゃになった、どうしてくれるんだっ」「おまえがきちんとしないから、仕事ができないじゃないか」「おまえが俺を怒らせるんだっ」「おまえみたいなでくのぼうには話しても無駄だと思うが」「頭が悪すぎるんだよな」「おまえが俺を病気(鬱)にさせたんだ」「おまえのせいでいつも俺は下痢だ」「よくあんなまずい物作ったな」「おまえは自分のしたことが恥ずかしくないのか、そうか、馬鹿だからな」「想像力のない奴は何話してもわからない」「おまえの親の教育が悪かったんだろうな」「おまえの精神は下劣だ」「おまえ、最低じゃないか、これじゃあ豚以下だろ」…このようなことを「ええっ?」とか「おらぁっ」など挟みながら延々ヤクザ言葉で怒鳴り続け時々テーブルを叩いた。そして昔のことまで掘り起こし、「だいたいおまえのあのときの言葉はなんだ」「あのときおまえは、こんなことしたな。まったく信じられない奴だ」「ああ言ったのに、違うことをした」「おまえはあのとき約束したはずだ。おまえは嘘つきだ」…些細なことをよく記憶して延々と私を責めた。
私はひたすら下を向いて能面のような表情でいちいちうなずいた。「そうだね」「馬鹿だよね」「私はダメ人間だから」と。夫が怒鳴り始めて2時間近くたっていた。とにかく別居するのだから、夫の気の済むまで言いたいことを言わせればいい、そして私は自分がいかにダメ妻かを夫に納得させよう、これは作戦だ、そう思ってひたすら耐えた。
そして夫は言った。
「実は結婚の前からおまえのこと、おかしいと思っていた」「あのとき、おまえは俺の言葉を勘違いしていた」「結婚すべきじゃなかったんだ」「この結婚は間違っていた」と。
この言葉は私をざっくりと切り裂いた。血の気が引き体中が冷たく震えた。
どうして今更こんなことを言うのか?じゃあ結婚する前に言ってくれればよかったのに。最初から私の勘違いだったの?この時間はあなたにとって何だったの?
最悪だ。
私の無表情で凍りついた目から涙が流れた。その後も夫が何か言っていたような気がするが、覚えていない。漸く夫が悪態をつきながら部屋に戻っていった。
その日は眠れなかった。そして次の日、むくんだ顔のまま仕事に出かけた。
仕事が終わり、私は重い足をひきずるようにして家に帰った。ああ、今日もまた傷口に塩を塗り込まれるような暴言を聞くのか。何とか耐えられるだろうか。突然暴力を振るわれたらどうやって逃げよう…。
家に帰ると夫が「おかえり」と私を迎えた。テーブルには夫が料理した夕食が並んでいた。私は顔を引きつらせながら「夕飯作ってくれてありがとう」と言った。食欲もないままお箸を手に取ると、夫がしゃべりだした。
「昨日は悪かった。まさか本当に別居しようとするなんて思わなかったんだ」
すかさず私は「でもあなたが別居しようって言ったんだよ」と答えた。「そうだけど、あんなの売り言葉に買い言葉じゃないか」「でも私のせいで人生がめちゃくちゃになるって言ったよね、だからもう私と生活しない方がいいよ。私と一緒にいることであなたの人生を壊したくない」「もっと自分が変わるように努力すればいいんだよ」「もう私はこれ以上変われない。ダメ人間だから」「そう開き直るなよ。俺も変わるように努力するよ」「あなた、私のせいで病気になったって言ったよね。私と生活しているともっと病気が酷くなるよ。もうあなたの病気がこれ以上酷くならないようにしたい」「…。」「私みたいな馬鹿な人間と一緒にいない方がいいよ」「いや、おまえの馬鹿さは仕方ないよ。俺はもう慣れた」
「でももう私、なんかおかしくなりそう。今のままだと自分が壊れるような気がする」「じゃあ一緒に壊れよう、いいじゃないか、それも」(『はぁ~っ??ジョーダンじゃないよ~っ!!壊れてるのはおまえだけだ~っ!!』←私の心の叫び)「そして心新たにやり直そう。俺も反省したよ。愛が足りなかったって」(『はぁ??アイが足りない~??それどういう意味ぃ~?』←私の心の叫び)「でもあなた言ったよね。この結婚は私の勘違いだって。この結婚は間違いだったって」「………。」
私はいかに自分がダメかを強調し、夫はなぜか優しくフォロー(にはなっていないけど)するような会話が続いた。そして夫は言った。「まあ、今すぐにじゃなくてもいい。明日になればまた心も変わるかもしれないよな、うん」
その夜はやけに静かだった。
この夫の変わりようが気持ち悪かった。穏やかな振りを装って、いきなり刺されたらどうしよう…。この日もあまり眠れなかった。
そして何日か、この暴言と説得?が繰り返された。私の精神状態は極度に張りつめ不眠が続いたが、もう心は決まっていた。夫がいくら優しい言葉を使っても、いくら反省の言葉を並べても、もう何も信じられなかった。私にはわかっていた。もし夫の優しい言葉を鵜呑みにし、別居を取りやめたらどんなことになるか。しばらくは優しいかもしれない。しかし夫が気遣えば気遣うほど、恐ろしい反動がいつかくる。そして言うのだ。「俺がこんなに優しくしてやったのに」と。
私は目の下に隈を作りながら、仕事の合間に不動産屋へ契約金を振り込み、契約書はもし夫に取り上げられると困るので、事情を話して不動産屋で預かってもらった。そして引越し業者に見積もりを頼んだ。
別居宣言から1週間がたっていた。